MS Operative Theory
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ジムの開発①
——地球連邦軍主力MSの方向性を決めた、スタンダードな量産MS——
RGM-79(ジム)は一年戦争後期からU.C.0080年代後期まで、地球連邦軍の主力量産MSとして採用されていたMSシリーズである。
ジムは「一年戦争最強」とも呼ばれる試作MS、RX-78(ガンダム)を量産仕様化したMSで、ルナ・チタニウム合金やコア・ブロック・システムなど、コストの高騰に直結する機能や装備を排除、頭部や兵装もシンプルなタイプに再設計するなど、徹底した簡素化が図られていた。
しかし、カタログ・スペックはガンダムと比較しても低下しておらず、むしろセンサー有効半径など一部の機能は向上していた。さらに1機あたりの最終的な生産コストはガンダムの二十分の一にまで抑えられていたといわれる。
一般にジムの開発は、試作機であるガンダムの開発と運用試験結果を基に行われたと考えられている。しかし、現実にはガンダムのロールアウト(U.C.0079,07,07)以前から、開発は進んでいたのである。これにはMSを主力兵器とするジオン公国に対抗するためにも、主力となる量産MSを必要とした地球連邦軍の事情があった。
初期のジムの開発は研究開発データを期に行われた。この中でジムは上述のように、ガンダムをシンプル化する方向で開発が進められている。また、RGM-79系列の形式番号が与えられている機体は、一般的な量産仕様のジムとその改修機、バリエーション機だけではない。
量産仕様のジムに先行して、RX-79[G](陸戦型ガンダム)をベースとしたRGM-79[G](陸戦型ジム)や、陸戦型ジムと似たフォルムを持つ宇宙仕様のRGM-79[E](先行型ジム)( RGM-79[E]は後のRGM-79C(ジム改)に酷似した外観だったとも言われる)も開発されている。
このように「RX計画」が統合された「V作戦」を中心にジムの開発が進み、サイド7ににおいてRXシリーズのテストが行われていたU.C.079,08、ジムの試作1号機が完成した。ジム・シリーズは各スペックが平均的なレベルを持つ汎用MSで、「特徴がないことが特徴」とまで言われる。
これは、ガンダムから複雑かつハイコストなシステムを排除した結果といえるが、その一方で、カタログ・スペック上はジオン公国軍のMSと互角以上の戦闘能力を与えられていた。また、RXシリーズ同様、戦闘機に近いコックピットを採用していたことから、戦闘機パイロットからの兵科転換が容易というメリットもあった。
しかし、当初は量産を急いだための性能の低下や、ガンダムのテスト・運用データを把握していなかったことなどから、ハード、ソフトの両面で不具合が多発していたことも事実であった。この傾向は初期に生産され、ソロモン戦やア・バオア・クー戦に投入された「先行量産型」とされるタイプで顕著に見られ、ジム=低性能というレッテルが張られる一因となった。それでも10月には本格的な量産が開始され、一年戦争末期の大規模戦を支え、戦後も改修型が使用され続けたのである。
補足事項
——ジム系以外の地球連邦軍の量産MS——
一年戦争以降、RGM系MSに絶大な信頼を寄せていた地球連邦軍だが、ガンダムの直系に当たるジムだけで量産MSが十分であると考えていたわけではなかった。
そのため、ジムの開発と並行して、支援機であるRX-77(ガンキャノン)とRX-75(ガンタンク)の量産も進めていた。地球連邦軍は白兵戦用MSと支援MSを組み合わせた運用に積極的であり、特に固定式火法を持つキャノン・タイプMSは、ザンスカール戦争時でも使用されていたとされる。
■量産型ガンタンク
RX-75(ガンタンク)の量産仕様機。コア・ブロック・システムと空間運用能力が排除されほか、搭乗者一人でドライバーとガンナーを兼ねることができる。120mm低反動法は長砲身化されたうえ、給弾システムと弾倉も大型化されるなど、より砲戦に特化した機体となっていた。
■ガンキャノン量産型
ガンキャノンはガンダムと同じくハイエンド機であったため、量産化に手間取った。このため、ジムと部品の60%を共有化したRGC-80(ジム・キャノン)や、同じくジムの部品を流用したRX-77D(ガンキャノン量産型)など、ジム系MSとの互換性を持つ機体が量産されることとなった。
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