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SAO<風を操る剣士>

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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第六章 《圏内事件》
  第44話 リズのお願いクエスト1

 
前書き
今年最後の更新です。長い、しかも次回は戦闘シーンが多いので二つに分割しました。
毎度同じ事を書いてますけど、いいタイトルが思いつかない! この一言に尽きます。

※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。 

 



 時刻は午前十時。リズからクエストの説明――といっても、クエストを受ける場所しかリズは知らなかったのだが――をしてもらったあと、俺たちは目的のクエストの場所へ向かった。
 その目的の場所とは――
「なあ、リズ。本当にこの層で金属が貰えるクエストが発生するのか?」
「うるさいわね。あたしだってお客に聞いた情報だから、本当にあるか分からないのよ」
「リズさん……」
 ――第四十七層。つまりはフラワーガーデンの層ということだ。
 この層に金属なんてあるとは思えないので聞いたんだが……リズの情報も当てにならないということか。
 なら(あらかじ)め言っとけよ、という気持ちをグッと抑え、情報が確かなのかアルゴにメッセージを送り確認することにした。
 けれども受信不可。フレンドリストで場所も確認してみたが、アルゴの事を確認できない。……ということは、多分だがクエストか何かで迷宮にでもいるのだろう。
「アルゴさん。なんて言ってきました?」
「いや、受信不可だった。またあとで送ってみる」
 そのメッセージをリズに気づかれないように送ったのだが……ウィンドウ画面を視覚化しなくても見えてしまうシリカにはバレてしまったらしく、やはりリズの情報に不安を感じたのかそう聞いてきた。
 ちなみに『お前の情報は信用できないから、情報屋に情報を聞くよ』とはリズに向かって言い出しにくく……そこまで思ってはないのだが、アルゴに聞くと言うと、リズにそういう意味にとられてしまうんじゃないかと思う。
 そう思ったのはシリカも同じらしいので、俺たちはお互いに《聞き耳》スキルがお互い820以上で修得できるようになる《聞き耳》スキルのModの《サイレントボイス》という、喋り声を限りなく消すものを使っていた。

 シリカ曰く、『silent(サイレント)』というのは『音をたてない、声を出さない』という意味らしい、つまり英語訳では『音をたてない声』ということになる。
 この訳の分からないスキルがなんで《聞き耳》スキルにどう関係あるかというと――この《聞き耳》スキルのMod、実は数少ない『同じスキルを持った者同士』を前提に修得するModなのだ。
 その効果は《聞き耳スキルを持つ人以外には自分の声が聞こえなくなる》というものだ。
 効果による声の聞こえる大きさは、《サイレントボイス》を習得しているプレイヤー同士は普通に聞こえるようになり、あとは熟練度に応じて聞きにくくなるらしい。先に修得した俺がシリカを試しに話したが、『少し聞きにくかったです』と言っていたことから、多分400以下のプレイヤーはほとんど聞き取れないだろう。
 ――ちなみにModというのは、スキルMod……Modify(モディファイ)の略で、各種スキルの熟練度を上げていくと一定の数値ごとに修得チャンスを与えられる、いわば《スキルの強化オプション》の事だ。
 例としては《索敵》スキルでの《索敵距離ボーナス》《応用機能:追跡》。《片手剣》だと《クイックチェンジ》というものから《クリティカル率上昇》や《ソードスキルの冷却(クール)タイム短縮》などがある。
 このスキルModは修得チャンスが何回もあり、初めから選べるModもいくつも存在するが、熟練度が上がってくるにつれて選べるModも増えていくので、同じスキルを上げている人でも、そのスキルの上級者同士で同じ機能を持っているプレイヤーはほとんどいない。
 なのでほとんどこのModの追加機能は、シリカと話すためだけに修得したようなものなのだ。……こんなパーティー全体がとっていなければ使えなく、しかも《聞き耳》スキルのMod――こんなの修得する方がおかしい、普通なら。
 それでもなぜ俺たちが修得したかというと……コンビで行動するときは何かと便利であったりするのだ。モンスターに気づかれないように指示を出しながら動けたりとな。

 と、《サイレントボイス》を使ってシリカと話していると、リズが急に静かになった俺たちを疑問に思ったのか、
「あんたたち、急に黙っちゃってどうしたの?」
 と聞いてきた。
 なのですかさず俺はシリカの背中でメニューウィンドウを触るための指を隠し、まず最初に夫婦特権《相手のウィンドウを自由に出来る》ということを利用し、俺のウィンドウの左上を押しシリカのウィンドウにして、画面下部にある《サイレントボイス》のMod《発動/解除》のボタンを押す。
「いえ、何でもないですよ」
 そしてシリカが自分の《サイレントボイス》が解除されたことを、場をつなぐと同時におこない。俺はその間に自分のを解除する。
「そうそう」
 最後に俺がリズの気を引き、その間にシリカが自分の《サイレントボイス》を発動するために出していたウィンドウをしまう。
 ……行動してから気づいたが、ついにここまでの息の合った行動を何も言わずに実行できるようになっている自分たちに驚いた。
 戦闘中は気づかないものだが、改めてこの一年でシリカとのコンビネーション(りょく)が自然と上がってたんだな。
 ――そんな事を感じながら、俺はリズとシリカの後ろを歩きながら、二人について行った。



====================



「あった! ここよ、ここ!」
 リズについて行くこと約十分。俺たちは北の端にある《巨大花の森》に入った。
 それからさらに三回ほどの戦闘をはさみながら十五分ほど歩くと、名前の通り巨大な花や木などで埋め尽くされている森の中でも、他の木より一回り……いや、明らかに二回り以上デカい大木があった。
 そこを指さしリズが『ほら、あったでしょう』と、ドヤ顔と見つけた喜びの嬉しさが混ざった表情で言った。
「……確かに家で聞いた内容と同じく大きな木はあったけど、これからどうやってクエストを受けるんだ?」
 そのまま俺たちは大木(たいぼく)に近づき、俺は木に手をあててそう言った。
 手をあてたら、クエスト発生の『!』のマークが出るかと思ったが、そういうわけでもないらしい。
「そうなのよね……。ここからどうすればいいのか……」
「リズ……お前、マジで何にも分からずクエストを受けに来たのか? こう言っちゃなんだけど、普通はもっと情報を集めてからくるぞ」
「わ、悪かったわね! でもこのクエストの情報は、お客さんの一人が情報屋から買った情報だって言って、剣の強化の時に五百コルほど足りないから、お金のかわりに聞いた情報なの」
「……アルゴから?」
「そう。しかもお客さんのお金が足りなくなった理由が『アルゴの情報を買ったから』らしいわ。だから、その情報をあたしに聞かしてくれたら、その分安くしてあげるって言ったの。――それで情報を話し終わったその人が、最後に『俺にはレベルが高すぎた』とか言ってたから、多分受けられなかったんじゃない? だからそんなに詳しい話は聞けなかったの」
「そうか……」
 アルゴがこのクエストに関する情報を売ったのか。……それなら、もっと詳しい説明があるはずなのだが……。
 ――と、少しアルゴの情報に関して不思議に思っていると、つい少し前に送信が可能になったので、アルゴへ送ったメッセージの返信が丁度よく届いた。
「悪いリズ。メッセージが届いたから見るぞ」
 礼儀として、一応リズにそう言ってからメッセージを開いた。
『シュウ助。そのクエストに関しては、あまり情報が入ってないんダ。理由は二つほどアル。――一つはその層はいわゆるデートスポットと言うことで、あまり男だけのプレイヤーが近づかなイ。つまり大半が男という攻略組は、イコールその層にもほとんど近づかなイ』
 確かに攻略組がこれないんじゃ、六人パーティーでも平均レベル65というのは受けられないのとほとんど同じだろう。今の攻略組のレベル平均からして、レベル70くらいなら攻略組の中でも上の方だしな。
『二つ目は期限が五十六層の主街区の有効化(アクティベート)から二か月と決められていることダ。しかもクエストに関しての情報を手に入れるのに、かなり苦労すル。その為、ほとんどのプレイヤーは知ることもできないで終わル――ものだと思ったんだけド……シュウ助、このクエストについてどこで聞いたンダ? 正直、期間限定ということと簡単、しかも情報入手は自力じゃ苦労するという理由で、オイラもこの情報は高額で売ってたんだケド……。まあ何にしてもシュウ助が知ってる以上の事で、お金を取れるような情報はないヨ。最後にこないだのご飯のお礼としてオマケで教えるけド。受ける前に必要なことは――』
「は? なんじゃこりゃ?」
「どうしたの?」
「いや……なんでもない」
 メッセージの最後に書いていたことに、思わず声をあげる。
「そう? ならいいけど…………あれ? シリカは?」
「へっ?」
 リズの言葉を聞き、俺も辺りを見渡すがシリカの姿がない。
 なので俺はメニューウィンドウを出しシリカの居場所を確認する。
「えっと……この木の俺たちのいる場所から、ぐるりと半周したところにいるな」
「つまりこの木の反対側ってこと? なんでそんなとこにいるのよ?」
「さあ?」
 とりあえず俺は、リズと首を一緒に傾げながらシリカの所に向かうことにした。



「あ! お兄ちゃん。やっと来たんだ」
 シリカと合流すると、シリカが「あと少し遅かったら電話するところだったよー」と妹モードで言ってきた。
 ……いや、シリカが勝手にいなくなっといて、遅いと文句を言われなきゃいけないんだ。――という考えが頭に浮かんだのだが……俺はものごとに集中してると、どうも無意識に返事をしてしまうことが結構あるので、ここで素直に言葉を返せないのだった。
「……シリカ。お前こんな所で何してるんだ……?」
「いや、とりあえず木を一周してみようかと思って、来てみたら……」
 そう言って木に向かって指を向ける。シリカの指の先を見ると――
「扉?」
「そう。この扉が何かクエストに関係してるかも、と思って」
「多分そうよ! シリカ、よく見つけたわね!」
「ちょっと、リズさん。なんで頭を()でてるんですか?」
「それはね……」
 ――大木にボス部屋に入るための扉までとは言わないが、結構なの大きさの扉があった。扉は(こけ)などで完全に大木と同化していて、シリカに言われなければ気づかなかっただろう。
 その扉を見つけたシリカを、リズが頭を撫でながら褒める。
 そのあと二人は何かしら喋っていたのだが……なんか会話が女子のノリになって来ていたので、思考を切り替え、先ほどのアルゴのメッセージを思い出す。
(……アルゴの言った通り、大木に扉があった。……と、いうことは)
 二人をよそに大木に近づき、扉に()れる。
 すると『パーティーメンバーのレベルの平均が指定より高いのを確認しました』という言葉の文字が現れたあとに、『!』というマークが出て、クエスト承諾に関する情報が俺の前に出現した。
『この扉を開けるためには《ワシバチの蜜》をパーティー人数×30消費するか、または合言葉を言ってください』
 うわっ、マジで合言葉が必要なのかよ。こんなセリフ言うのは嫌だぞ。……いや、セリフ自体はそんな問題はないが、言った後のシリカたちの見る目を考えると嫌だ。
 だからと言って、今から《ワシバチの蜜》――花形モンスターと一緒に出現する蜂の姿をしたモンスターのドロップアイテム――を、今持ってる分を差し引いても、集めるのに何時間かかるか分からない。
「開けー、ゴマ!」
 なので仕方なく。そう、あくまでも仕方なく合言葉を言うことにした。(けっ)して、一度は言ってみたかった、なんて思ってはいない。……ホントダヨ?
 ――ゴゴゴゴゴッ……
 と、合言葉を確認したのか、俺の前に出ていたクエストに関するメッセージは消え、音を鳴らしながら扉が開く。
 ……どうやら、アルゴが言ってたことは本当だったらしい。というか、嘘だったら絶対に後で何かしら恨んでいたと思う。
「な、なーんだ。扉を開けるために言ったんだ……。突然叫びだすから、頭がついにおかしくなったんじゃないかって思っちゃった……」
「あたしもです。でも良かった。お兄ちゃんが扉が開かないからって、そんなベタベタな言葉を突然叫んだんじゃなくて……」
 喋り合いをやめて、後ろから俺の元に来て言われた二人の言葉が、心にグサグサと刺さるのはなぜなんだろう?
「は、ははは……そ、そんなことあるわけないじゃないか。ちゃ、ちゃんと分かったうえでのことだよ……」
 なぜが自分から出ていた声は震えていた。
「あれ? でもどうしてあんた、扉の開け方知ってたのよ?」
「リズがさっき『このクエストは情報屋の情報だ』って言ってたから、情報屋に聞いて教えてもらった」
 さっき聞いた事を元に、リズに誤解が無いように伝える。
 するとリズはどうやら納得したようで、
「へー、まあ分かったんだったら良かったわ。――さあ、行きましょ!」
 扉の中へ歩き始めた。
 そのリズのあとを、俺とシリカもすぐに追った。





 
 

 
後書き
感想や間違いの指摘など待ってます!
今回は説明が多くてすいません! ……まあこの小説は説明がほとんどなんですけどね。
次回の更新は年明けてから少ししてからかもしれません。一週間はあけませんけどね。
それではよいお年を! これからもよろしくお願いします! 
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