SAO<風を操る剣士>
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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第六章 《圏内事件》
第42話 情報交換
前書き
かなり久しぶりの更新です。……待っていた人や覚えている人がいるのか怪しいですけどね。
相変わらず、いい話のタイトルが思い浮かびませんでした。
※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。
2024年04月11日木曜日――最前線・第五十九層
俺とシリカは今、最前線の迷宮に行く前の道あたりで、アルゴと一緒に昼ご飯を食べる場所を探していた。
なぜアルゴが一緒にいるかというと、情報交換のためだ。
家を買ってから数日、シリカと二人で新しい家での暮らしを楽しんでいた俺達だったけど……第五十七層の攻略が終わり、いつものごとく五十八層の《街開き》と同時に《フィールドボス》へ直行したのち、前にシリカに言った通り迷宮に入り少し攻略して出てきた。
そしてこの層――つまり五十九層でもフィールドボスを倒したのだが……今回のボスには手間取ってしまったので、この層では最初に迷宮に入るプレイヤーとしては行かないことにしたので(安全第一の為)、アルゴを呼んで昼飯がてら情報交換をと思って場所を探していた……のだが……
絶好の場所だな――と、思える場所に、すでに先客が二人いた。
その二人は気持ち良さそうに昼寝をしている。
俺たちがその寝てるプレイヤーたちに近づいて行くと、一人が《索敵》スキルの接近警報でもセットしていたのか、俺たちが近づくとすぐに気づいた。
もう一人はそれでも起きない。
そして起きた一人が寝てるプレイヤーを見て――
「まさか本当に寝ちまうとは……」
――やれやれといった感じに呟く。
「こんにちはキリトさん。――気持ち良さそうに寝てますね、アスナさん」
俺の隣でシリカが起きたプレイヤーのキリトに、寝ているプレイヤー……アスナを見てそう言った。
するとキリトは本気で面倒くさそうに答える。
「ああ、疲れてるんだろうな。……でも、これだけの人数が近づいてきたのに起きないってことは、《圏内PK(プレイヤーキル)》に合う可能性があるってことだぞ……。ここで寝てみろって言ったの俺だし……」
つまり、アスナが起きるまでガードしなきゃいけないわけだ。流石に疲れてる人を起こす気になれないしな。
「まあ、ガード頑張れ。せめてもとは言わないけど、少しくらいなら食べ物を食べさせてやるよ。少し話したいこともあるし……ココの場所良いか?」
そう俺が聞き、キリトは縦に頷く。
「にゃハハ、ありがとナ。キリ坊」
「失礼します」
なので俺とシリカ、そしてアルゴはそれぞれ近くに座り、木曜日なのでシリカが今日作ってきたお弁当を出し始める。
お弁当の中身を覗いて見ると、おにぎりに卵焼きなどといった和風のメニューだ。
そのメニューを見て、キリトとアルゴが驚いた顔になる。……まあ、SAOでは珍しい(というかアルゴまで驚くんだったら無いに等しいのかもしれないな)和風メニューだし、驚くのも無理はないのかもしれない。
シリカはそんな驚いているキリト達と俺におかずを盛った小皿と箸をそれぞれに配る(箸や小皿はいつも多めに持っている)。
キリトとアルゴはその小皿を受け取ったあとに、顔を見合わせて躊躇いながら「いただきます(ス)」と言って、おかずを口に運ぶ。
すると――
「………………」
「あの……美味しくありませんでした?」
食べたあと、黙ってしまった二人に心配そうに聞くシリカ。
そんなシリカの言葉に二人は首を横に振る。
「そ、そんなことないぞ、シリカ! 美味しいから、つい……」
「オイラもダ。この前より腕をあげたナ、シーちゃん。今度、店でも開いてみたらどうダ?」
「え、遠慮しときます……」
断りつつ、二人に美味しいと言われてシリカは安心したようだ。二人の感想を聞いてから、食べ始めたシリカに続き、俺も食べ始める。
――うん。卵焼きも、ちゃんとダシの味があって美味い。おにぎりも塩加減バッチリしていて、文句の付けどころがなく美味しい。
「……なあシリカ。一つ聞いていいか?」
俺と同じようにおにぎりなどを食べていたキリトだったが、何か疑問にあった所があるらしくシリカに話しかけた。
「なんですか、キリトさん?」
「この卵焼き……ダシが入ってないか?」
どうやらSAOではあまり食べられない、ダシの味に疑問を感じたらしい。
「はい。シュウさんが釣ってきた魚を使ってダシを作って、それを入れてみました」
「じゃあ――」
ダシの疑問が解けたら、まだ聞きたいことがあるらしく再びシリカに質問をして「あ、それはですね――」と、聞かれたことを丁寧に答えるシリカたちを横に、俺はアルゴとの情報交換を開始した。
「ほらアルゴ。これが迷宮までのマップとこないだ頼まれていた情報だ」
「ありがとウ。シュウ助。……ヨシ。ちゃんとオイラが頼んでいた通りの情報ダ」
送ったデータを確認して、笑顔でお礼を言ってくるアルゴ。
「それは良かった。一日中ずっと見張っていた甲斐があるよ。……でも、もう勘弁だからな」
俺が毎回アルゴに伝える情報は、主に俺たちが集めたマップデータと危険な場所の情報がほとんどだ。
しかし今回は違った。
――発端はクリスマスのキリトの尾行。あれでアルゴは俺たちの《隠蔽》スキルが高いことが分かったらしい。
その為、三日前の夜にアルゴから俺たち宛ての『仕事を手伝ってくレ』というメッセージが送られてきた。
その内容は『あるギルドの行動を一日見張って、オイラに教えてほしイ。手伝ってくれたら、後日三万コルを渡すヨ』とのことだ。
まあ個人的な感想として、アルゴからのメッセージに書かれていたギルドからして、内容の危険度は三万コルでも足りないと思ったのだが……そこは友達の頼みということもあり、文句は言わなかった。
「ああ、わかったヨ。ありがとナ、シュウ助。……ホラ、これが今回のお礼のコルダ」
「ありがとな。――あとはシリカのお弁当を食べた後にするか」
「そうダナ」
====================
「さて……ご飯も食べ終わったし、本題に入ろうか」
「本題? さっきのアルゴとの情報交換が本題じゃなかったのか?」
俺が食べ終わった後にそう言うと、キリトが首を傾げながら言葉を返してきた。
「確かにアルゴとはあれは本題みたいなものだったけど……他にも話しておかないといけないことがあるんだよ」
「もしかして、五十八層の迷宮区に先に行ったことカ?」
「それとも、フィールドボスのことか?」
「……シュウさん。二人ともすでに知っているらしいです……」
「なんとなくそんな予感はしたけど、俺が話す前に言おうとしてることを言わないでくれるかな! ……まあ、話すことが減って助かったけどさ。そうだよ、その二つの事だよ」
「……というか、アルゴさんは分かりますけど、キリトさんはどうしてあたし達の事を分かったんですか?」
「いや、普通にシュウたちが長期クエストから帰ってきた時期と、フィールドボスが倒されるようになったのがほとんど同じだし気づくだろ」
リズが気づいたのと同じ理由で気づかれていたようだ。
「まあ、俺はシュウたちがやっていることに文句を入れるつもりはないよ。迷宮の事に対しても、ボスに関してもね。……文句が無いわけじゃないけどな」
「オイラ同じ意見ダヨ」
「そうか……」
「ただ、出来ることならフロアボスの攻略とレアアイテムの宝箱をとっておいてほしいくらいだな」
「迷宮のマップデータも欲しい所ダナ。そうしたら他のプレイヤーがどれだけラクになるカ……オイラにも儲けがでるシ」
こいつら、ちゃっかり文句言ってるじゃねぇか……!
「『文句は言わない』って言ってたのに、しっかり文句言ってますよね。お二人とも」
「ああ。しかもアルゴに関しては、お願いまでさらりと言ってきやがった」
俺と同じことを思ったのか、俺の耳元まで顔を近づけてきて、ぼそりと呟くシリカに同じくらいの声の大きさで同意する。
「でもまあ、こんな文句なら可愛いものじゃないか」
「……そうですね」
「おい。二人で何話してるんだよ」
俺とシリカがコソコソと話してるのが気になったのか、キリトが少し眉をあげて言ってきた。
「いや……なるべく今二人が言ったことを心がけようかなって話してたんだよ。……まあいきなりは無理だけどな」
そうキリトに言い返す。
するとキリトは「気が乗らないなら出てこなくてもいいぞ」と言ってくれた。
言い方や口調は厳し目だったが、いくらレベルが高くてもやる気がないならボス攻略では命を落としかねない。なので、キリトなりの俺たちに対する優しさだと俺は思った。
「……ありがとな」
「ありがとうございます。キリトさん」
シリカもキリトの優しさだと受け取ったらしく、一緒にお礼を言う。
「……何に対してのお礼だよ」
「色々だよ。い・ろ・い・ろ」
「そうかい。――なら今度なにか奢ってくれよ。店は俺が紹介するから。なんなら、こいつの見張りを代わってくれるだけでもいいぞ」
「奢るのに関しては良いけど、今はシリカの弁当で我慢しろ。店はあとでメッセージで情報送ってくれ。試しに一回食いに行く。……見張りに対しては『ふざけるな』と返しておくよ」
「ごめんなさい、キリトさん。これからあたしたち用事があるんです。……それに、アスナさんにあまり顔を合わせたくないので……」
シリカが俺の『ふざけるな』と言った事に、すかさずフォローを入れる。
ここまで俺の言いたかったことが分かってしまうとは……さすがだ。
「そうなのか」
「はい。――シュウさん、そろそろ……」
シリカが俺の名前を呼びながら顔を見てくる。その意味をすぐに俺は、
「ああ。じゃあ、そろそろ行くよ」
「おう。じゃあなシュウ、シリカ」
「またナー」
シリカに頷き返してから立ち上がり、二人に別れを言った。
そのあと、シリカが二人にお礼を言い、二人に「お弁当美味しかった。ありがとう」などのお礼を言われながら、その場所から離れた。
後書き
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