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ヘタリア大帝国

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TURN110 法治その十

「死刑はなくとも裁判、そして実刑判決だからな」
「そこまではと思いまして。確かに宮廷への工作は許してはなりませんが」
「それはその通りだ」
「ですがそれでも」
「そうだ、謝罪位で済ませてだ」
 そしてだというのだ。
「話を収めるべきだ」
「ですがそれでは」
「軽過ぎるのでは」
 ハルと宇垣はあくまで言う。
「宮廷への襲撃、そして帝への不敬行為です」
「許せてはおけません」
「ですから謝罪ということで」
「それで非を認めさせるのだ」
 五藤と伊藤も反論する。
「それでいいのでは?」
「穏健にいくべきだ」
 今は発言せず、こうした閣議では常だが国家元首として閣僚達の議論に任せている帝の御前において閣僚達は二つに別れていた、その中で。
 やはり議論を見守っている柴神と日本が東郷と山下に問うた。
「二人はどう思うか」
「この場合は」
「謝罪か処罰ですか」
「どちらがよいかというのですね」
「私達は今回は票決に参加しない」
「そうさせてもらいます」
 何故そうするのかもだ、柴神と日本は二人に話した。
「今回は諸君等で決めるべきことだ」
「そう判断しましたので」
「そうですか、だからですか」
「それでなのですか」
「任せる、全てな」
「そうさせてもらいます」
 彼等は二人にこう告げてそしてだった。
 東郷と山下に判断を委ねたのだった、その委ねられた二人はというと。 
 少し考えてからだ、こう答えたのだった。
「謝罪でいいかと」
「私もそう思います」
「それは何故だ」
 柴神は謝罪でいいと答えた二人に問うた。
「何故それでいいか」
「はい、確かにカテーリン書記長は思わぬ工作を仕掛けてきました」
「それは我々の尊厳を傷つけるものでした」
「恐れ多くも帝を害しようとするということは」
「あってはならないことです」
 二人もこう考えていた、このことはハル達と同じだ。 
 だがそれでもだとだ、二人は言うのだ。
「ですが他国の国家元首を処罰することは出来ません」
「属国ではないですから」
「裁判にかける権利もありません」
「そうしたことを考えまして」
 だから日本側がカテーリンを処罰することは出来ないというのだ。
「それはソビエト人民のすることです」
「日本帝国のすることではありません」
「ですから今回はです」
「謝罪のみということで」
「そうですか、わかりました」
 日本は法的な問題から答えた二人の話を聞いて言った。
「お二人はそう考えられますね」
「しかしそれでは他国にしめしがつかないのでは」
「よくありませぬ」
 ハルと宇垣は国家の尊厳から語る、そして。
 五藤と伊藤はだ、政治から語るのだった。
「いえ、処罰までいくとソビエトからの反発が予想されます」
「この場合は穏健である方がよいかと」
 尊厳と政治、そして法律だった。この三つの問題になっていた。
 しかし票はもう決まっていた、政治的判断を言う五藤と伊藤、法律から言う東郷と山下が謝罪でよしとしている、反対派はハルと宇垣だ。
 四対二。これで決まりだった。
 帝はそれを見届けてから一同に告げた、その告げた言葉はというと。
「私は謝罪でよしと判断します」
「帝はそう思われますか」
「それでしたら」
 ハルと宇垣も聖断ならばと言う、彼等も忠臣である。
 それでだ、こう言ったのだった。 
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