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ヘタリア大帝国

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TURN110 法治その一

                     TURN110  法治
 モスクワ陥落の報はすぐに全世界に伝わった、セーラとイギリス達はその報をロンドンで聞き驚きの声をあげた。
「モスクワが陥ちたのかよ」
「はい、間違いありません」
 イギリス妹が自分も驚きを隠せない顔で兄達に報告する。
「モスクワのエイリス大使館から枢軸側に抑留される直前の報告です」
「それで大使館の連中はどうなったんだ?」
「彼等はすぐに解放されました」
「それで無事だったんだな」
「はい、彼等は」
「ならいいけれどな、それでもな」
 イギリスは驚きを隠せないまま言う。
「まさかモスクワがこうも簡単にな」
「かなりの激戦でしたが」
「それでもソビエト軍は負けたんだな」
「ドクツ軍とイタリン軍もです」
「イタリン軍はわかるけれどな」
 イギリスは彼等については全く気にしていなかった、負けて当然だというのだ。
「それでもな」
「ソビエト軍の敗戦はですか」
「ここまであっさり負けたか、ドクツ軍もいて」
「枢軸軍の戦術が水際立っていたとのことです」
「あの長官か」
 イギリスは東郷のことだと察してそして言った。
「ソビエトもしてやられてるんだな」
「それでモスクワもです」
「陥落してか」
「今ソビエト軍はロシア平原に再集結しています」
「そこでもう一度決戦か」
「その考えの様です」
「まだ数はソビエトの方が多いよな」
 イギリスは妹に彼等の数のことを問うた。
「モスクワが陥落しても」
「はい、まだかなり」
「その数でまた戦うんだな」
「しかし何故かです」
「何故か?モスクワの他にまだ何かあるのかよ」
「ソビエト軍の艦艇、新造のものの何割かが配備先が不明です」
 イギリス妹は怪訝な顔になり兄にこのことを報告した。
「そのロシア平原のソビエト軍主力にも回されていません」
「予備戦力として置かれてはいないのですか?」
 ロレンスがその報告に問い返した。
「そうではないのですか?」
「予備戦力としても表に出る筈ですが」
 だがそれでもだというのだ。
「出ていません」
「それはおかしいですね」
「カテーリン書記長とミーリャ首相、そしてロシアさん達もです」
 イギリス妹はさらに話す。
「時折何処かに行っていますし」
「そのことは前から不思議に思っています」
 これまで沈黙を守りイギリス妹の報告を聞いていたセーラも言う。
「モスクワから時折消息を絶ちますね」
「情報部も何処に行っているのか確かめられません」
「そうですね、おかしなことに」
 セーラは眉を曇らせながらイギリス妹と話す。
「何処に行っているのでしょうか」
「あの国は秘密星域もあるわ」
 エルザはここで言った。
「だからそこにいてもね」
「わからないのですね」
「ええ、全くね」
 困った顔で、だ。エルザは自分が知っている中にないその秘密星域のことに眉を顰めさせて言うのだった。
「これではいざという時にそこに逃げられたら」
「どうしようもないのですね」
「そうなのよ」
 エルザは彼女が知っている宇宙の宙図を頭の中に出しながら話した。
「だからあの国は厄介なのよ」
「その秘密星域の場所もわからない」
 モンゴメリーも苦い顔で言う。 
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