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トライアングラー+α

作者:ゴリ蔵
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四話

『だから!こないだはたまたま!』

「たまたまも何もないじゃない!グレイスが来てくれなかったどうするつもりだったわけ?」

『てか初めて会った相手にそこまで求めるな!この鬼畜が!』

「鬼畜ってアンタね!」

電話の相手はもちろんバリーだ。

シェリルは自分よりも少しだけ大きい頭を思い浮かべて、殴るふりを見せた。

「まぁいいわ…そこまで怒るほど子供じゃないしね…この埋め合わせはいつかしてもらうわ。」

と言うことは次があるということだ。

「また呼ぶから、じゃあね。」

それだけいうと、電話を切った。

「…ったく…なんでかしら…あいつになら…」

大きくかぶりを振って、ストレッチを再開した。




「なんなんだよアイツ…」

まだ耳のキーンと言う音がとれないが、とりあえず次はあるらしい…

「ん?なんだこの感じ…なんだか…」

違う違うと手をヒラヒラさせて、携帯をベッドに投げ捨てる。














SMS 道場


「うぉぉ!!!」

「ほいさ!」

今日何回目かわからない組み手で、アルトは、畳にぶん投げられた。

「クソー!!なんで一本もとれないんだよ!」

「ハッハッハ!甘いよアルトくぅーん!」

かれこれ二時間はやっているが、アルトはすでにバテているのに、バリーは全く息を切らしていない。

「ミシェル!ルカ!退屈だから三人でかかってこいよ!」

「うえ…マジかよ俺バリーさんから一本も取ったことないし…」

「そんなの僕も同じですよー!」

「ゴチャゴチャうるせー!さっさとかかってこい!」

トントンと軽くジャンプを繰り返しリズムを取る。

「一発でも入れたらお前ら昼飯おごってやるよ。」

もちろんヘッドギアをつけて、グローブ越しであるから、命の危険も少ない。

「いやぁ!!」

最初はアルトだ、何の考えも無しに右ストレートだ。

「甘い!」

ジャブでカウンターを決めると、今度はルカがタックルをかけてくる。

これも難なく前蹴りで制すると、最後にミシェルがローキックで腿をねらってきた。

「ほいさ!」

ジャンプで避けて、着地の勢いのままローリングソバットでフィニッシュ。

「はい、おしまい!お前ら弱すぎだろー」

「痛てて…バリーさんが強すぎんだよ…」

「大体バジュラ殺しにこんなの必要なのかよ!?」

最早おきまりの文句だ。

「健全な魂は健全な肉体に宿るってな。いつかわかるよ、俺も最近やっとわかってきたところだ。」

三人は、訳が分からないようだ。仕方のないことだまだ16歳そこらの高校生だ。

(まぁ俺がこいつらぐらいの頃はリングに上がってたけどな…)








「へぇ…アルトの奴あんな突っ張ってても弱いんだ。」

「いや…俺が強過ぎんのかな…フッ…」

余裕のスルー

「いや!スルーすんなよ!」

思わず突っ込んでしまった。

「てかよ…普通にこんなところ居ていいのかよ銀河の妖精様が。」

「いいのよ、リハまでに戻ればいいし…逆に、リハまでは暇だから…」

マネージャーも随分放任だな…

「それより…」

バリーは、周りをキョロキョロしだした。

「なによ。」

「お前って本当に有名なんだな…俺あんましテレビとか見ないけど、一瞬でわかるぐらいだし…」

「それ、アルトにも言われたわ…フロンティアの人間はメディアに疎いのかしら?」

シェリルなりに皮肉を込めて言ったつもりだろうが、当のバリーは意にも介していない。ホットドックに下鼓を打っている。

「まったく…アタシのすごさがわからないようね…じゃあコレ。」

そういうと、紙切れを一枚出してきた。

「これ…今度のライブか?」

「ええ…こないだのリベンジライブよ!」

前回のライブでは、バジュラの襲撃によって、じゃまされた。

「ほう…仕方ないな…非番だし行ってやるよ。」

「当然じゃない!それに…アルトとランカちゃんも呼んであるしね…」

喜びと、何故か寂しそうな表情…そのときはなんにも気にかけていなかった。








SMSロビー


「バリー。ちょっといいか?」


「なんすか旦那」

珍しくオズマが周りを気にする様子を見せ、コソコソ話し始めた。

「お前…たしか教員志望だよな…教育実習とか行くのか?」

「そういえば…そろそろ受け入れ先の学校決めねーと…」

「美星学園はどうだ?」

「あそこはアルトとかいるし気まずい…」

そこでオズマがバリーの口を押さえた。

「今度ランカがな‥そこに転校することになったんだ…その…お前に監視兼で、美星学園に長期の教育実習生として、潜入してほしいんだが…」

「俺がっすか?」

「アルトやミシェルじゃ信頼できん!」

呆れたようにため息をついたバリーに、オズマは隊長とは思えない平身低頭で、頼んでいる。

「わかりました…旦那にそこまで言われたらやるしかないっすね…」









「フロンティア大学からきました!バリー小島です!主にパイロットコースの体育を担当します!よろしくお願いします!」

数日後、すでに教壇に立っているバリーがいた。


「バリーさん!?」

「なんでここに…」


動揺を隠しきれないミシェルとアルト…単に知っている人が来て良かったと思っているルカとランカで表情が全く違うが、来てしまったものは仕方がない。


結局単位を担保に、引き受けてしまったのだ…

「全く…あのシスコン隊長が…あれじゃアルトもまだまだチャンスないな…」

屋上でタバコをふかしながら、独り言を言う。

「まぁ…乗っかってやるよ!」

そう言ってタバコを捨てた。…しかし、冷静に考えると、学校でタバコはマズい…


「…学校では辞めるか…」

さっき捨てた吸い殻を携帯灰皿にしまって、屋上を出た。

明日からは、SMSのバリー小島大尉であり、バリー先生だ。

 
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