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トライアングラー+α

作者:ゴリ蔵
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三話

「やっぱバイクって気持ちいいのね!」

1日付き合えと言われ、とりあえずバイクをかっ飛ばしたが、なんだか釈然としない。

「ねぇ!次はあそこ行きましょ!」

しかし、普段テレビなどで見る、大人な感じのシェリルノームとは違った、無邪気なシェリルは…

「何してんの!早く出してよ!」

なんというか…イイ…

「そんなおいそれとついてっていいの?俺がさっきのやつ達とおんなじような輩かもしれないぞ?」

「無い無い。アナタSMSでしょ?」

そういえば今日はSMSのジャケットに軍パンという恰好だった。 

「早乙女アルトって知ってるでしょ?アタシ知り合いだから、SMSがどんなところかも知ってるわ。民間軍事プロバイダーのスタッフが誘拐なんてできるわけないし。」

「それはそれは…」

今度から非番の日はジャケットを脱ぐことにした。

「はい!説明終了!次行こう!えーっと…」

「バリーだ。さぁ捕まってろよ?」

そういうと、スロットル全開に回した。









「すごいのね…ここ。」

1日中引き回されて、すでに、日が暮れ始めたが、最後に連れて行きたい場所があったのでフロンティアの郊外にある、丘の上だ。


「俺は一番好きだ。良くロードワークで来たりするしな。」

スーパースターとは、たまに、ストレスを発散したいものだとよく言うが、それに自分が付き合わされただけであろう。

「じゃあそろそろ送ってくから帰ろうか。」

「ちょっと待って!」

ヘルメットに手をかけたところで、呼び止められた。

「今日はその…ありがとう…」

意外と素直なもんだな…

「助けてやったのは偶然だし、それを見捨てるほど落ちちゃいないからな…」

不意に端末が警報音を鳴らした。

「召集!?…ミシェルか!」

『バリーさん!こないだの残党だ!すぐ戻ってくれ!』

「くっそ!こんな時に!シェリル!とりあえず近くのシェルターまで送る!そこで隠れてくれ!」

「う…うん…」

シェルターまでは、そう遠くはない。









「遅いぞ!バリー!」

「その分仕事するから勘弁してくれ旦那!ルカ!状況は!」

「バジュラは少数ですが、母艦が控えてる可能性もあります!」

「了解!すぐ出るぞ!アルト!」

「はい!」

緊張のためか、少し声が裏返った。

「お前の初陣だ!暴れるぞ!」

「ビビるんじゃねーぞ?アルト姫!」

「うるせぇ!」

「ゴチャゴチャ言うな!スカル小隊!出撃!」

「イエッサー!」


小隊のバルキリーが一斉に発進した。


「スカルリーダーより各機!バジュラの総数は10体程度だ!一機二殺で行くぞ!」

「旦那!一番槍は俺にやらせてくれ!」

バリーのバルキリーが先頭に出て行く。

「アルト!よく見とけ!これがバルキリーの戦闘だ!各機フォローよろしく!」

バリーのVFー24は、特殊仕様になっている。まずは、ほかの機体では、小型のナイフを装備してあるが、バリー機には、特別に長いナイフとなっている。人間の白鞘のような形をしている。その他、拳の部分には、手甲でコーティングされ、バリーの得意な格闘戦を生かせるような機体になっている。

「うぉぉ!!!」

順調にバジュラを駆逐していく。白鞘でバッタバッタと斬っていく。

「すげぇ…これがバルキリー…」

「ボケッとするな!次くるぞ!」

「全機展開!突撃ラブハート!」

「うぉぉ!!!!!!!!!」








「デルタ1より各機!宙域のバジュラの全滅を確認。直ちに帰還してください。」

戦闘は瞬く間に終わり、余計な犠牲者も出さずに済んだ。

「スカルリーダーよりスカル5!よくやったぞ。」
「旦那が誉めるなんて珍しいもんだ!」

「何を言うか!スカル4!貴様も初陣にしてはよくやった!後で二人とも一杯おごるぞ。」

「やりぃ!スカル5、これより帰還する!」

帰還すると、しばらくアルトは座ったままだった。


「アルト。とりあえず飲めや」

バリーが、コーラを持って現れた。

「バリーさん!」

はっとしたが、すぐに疑いの目に変わる。バリーには前科がある。

「もうそんなことしねーよ!しかしまぁて…初陣で討伐できればいい方だよ。腰が抜けて立てないだろ。」

「…まだまだ情けないです…」

「なっはっはっは!若いねぇ!…っと誰だ?こんなときに。」

バリーの端末が、着信音を鳴らした。

『ちょっとアンタ!どういうつもりよ!こんなところに置いていって!』

「シェリル?」

「やっべ!忘れてた!」

『もう良いわよ!グレイス呼んだから!アルトも居るのね…今度会ったらただじゃ置かないから!』

一方的に怒って、一方的に切られた。さすが歌手、良く通る声で、バリーの鼓膜を突き破らんばかりの声であった。

「バリーさん…シェリルと知り合いだったんですか?」

「まっまぁな…そんなことより…手出せ、アルト。」

そう言うと、拳を出してきた。

「お疲れ!」

グータッチだ。この意味が分かってる他の面々も感心したような顔をしている。

これは、バリーが認めた相手に見せる行動だ。初陣で早くも認められたのだ。

「明日からもガンガンしごくからな!覚悟しておけ!」

そう言って去る背中が小さいはずなのに、やけに大きく感じたのは気のせいだろうか…ともあれ、アルトの初陣、バリーのスカル小隊復帰戦は、上々の成果をあげ、成功に終わったのだった。



 
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