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一からWeb小説を書いてみる

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書きだす前の心構え
  書き出す前に

 
前書き
 面白いWeb小説を読んでいると自分でも書きたいと感じる機会が生まれてくることがあります。こんなときに思い浮かぶのは、大体クライマックスに近い部分です。
 そのとき頭の中ではかわいいヒロインに告白されたり、ラスボスを必殺技で撃破していたり、あるいは主人公が名演説をやっているかもしれません。
 しかし、物語には「冒頭」から書き出すという宿命があり、そのシーンを描く前に燃え尽きてしまう事例が多々存在しています。
 そこで、数々のハードルを回避しつつ一番書きたいシーンにたどり着く方法を考察していきたいと思います。

追記
現在基本的な書き方を掲載し終え、順次改訂しています。主に前半部分を改訂しました(2014年7月5日改訂) 

 
○はじめに

 小説の書き方を考える前に、小説の特徴と言う物を考えていきましょう。ネット小説がどんなものでどんな人が読むというのを解れば、自ずと求められる書き方が解ってきます。私のこの文章を読んでいる方は、それほど文章や小説の選び方が一般的ではないと思いますので、一般的な小説(ラノベ)の選び方とネット小説の選び方も考えてみます。

○ラノベの特徴

 ラノベとして有名になったスニーカー文庫、電撃文庫など角川書店が主導するライトノベルの特徴は以下のようなものに代表されます。

○かわいい女の子が表紙、挿し絵にいる
○主題に近い扱いで恋愛が扱われる
○短文かつフリガナが多く、文章的な作法が緩い

 もちろんこれに反論できる作品(敵エースとの勝負に命を捧げたエースが顔だけを表紙に乗せた犬村小六の夜想曲etc.)もありますが、平均的に売れた作品を挙げるとやはり以下のようになり、女の子ありきなのがわかると思います。

「ゼロの使い魔」……ツンデレご主人様のルイズが表紙と文中の大半を占めており、主人公であるサイトの行動にヤキモキ
「涼宮ハルヒの憂鬱」……主人公が事実上の神様であるハルヒや、彼女に集まった特別な人たちに振り回される話だが、何故か相手は美少女ばかり。表紙には男がほぼ出ない。
「ソードアート・オンライン」……廃人ゲーマーキリトを慕う多種多様な女の子たちが物語を回すので、表紙ではキリトと一緒に必ずヒロインが顔を出す。

 また、文章作法に厳しくなく、短文が多めであるというのは読みやすいということでもあります。中には異様に長かったり複雑な文章で読者を翻弄するもの(川上氏の通称鈍器シリーズ、西尾維新の物語シリーズetc.)も混じりますが、ライトノベルの名前通り、大半が軽く読むことが出来ます。


○ラノベの読者層と選ばれ方

 ライトノベルのライトには文章が軽いという意味の他に、青少年などの軽い(ライト)ユーザーに向けた本であるという意味もあるそうです。実際、学校という日常と特別な能力や展開を引っ張ってくる非日常の交錯や、鉄板と化したファンタジーな異世界などは、ゲームなどが身近な学生を狙うのに向いていると思えます。
 ライト層に売り込み支持を集める、ライトな小説。これがラノベの正体であるということです。

 では、ライト層に上手く売り込むために著者(作家)が出来る事とは何でしょうか?いかに若者を惹きつけるかということを考えて見れば、以下の幾つかに絞られるでしょう。

○わかりやすいあらすじを作る
○本文で複雑な構文を作らない
○女の子を可愛く魅せる

 ライトノベルの絵師はランダムで付けられるものだそうですし、アニメ化を個人が主導することなど出来ません。ということは小説を手に取りやすくし、読者が好む展開を選ぶくらいしか手はないと言うことになります。
 しかし、結局のところ絵師と編集と出版社の方針によって、売れる、売れないは大幅に変化するのでロビイストをやってれば一番上手く行くという事態も起こりえます。(その代表例がMF文庫からオーバーラップ文庫に移転したインフィニット・ストラトスでしょう)


○Web小説の特徴

 ところで、基本的にこの先で触れるWeb小説はどのような存在なのでしょうか。
 まず、有名な作家に化ける人や私みたいな素人などが様々に作品を書くので、玉石混合であるのは非常に有名です。Webという媒体を用いている都合上、パソコンやスマートフォンなどの電子端末を上手く扱える層が中心となり、大体はラノベの読者層と重複する中高生から20代の青年層までのライト層です。展開などではラノベと同じようになる傾向が強く、それを期待する読者も多いでしょう。本文は小難しくない方が歓迎されます。よって特徴は以下の通りになり、ラノベとほぼ同一になります。

○女の子が本文中で多く登場
○恋愛が大きな要素を占める
○文法作法が緩い

 選ばれ方もラノベと同じですが、幾つか違う点があります。それが、挿絵が存在しないことと、宣伝も全て自分で打つ必要があることです。
 しかし、個人で打てる宣伝と言ったらブログ、Twitterなどある程度絞られてしまいます。そうすると大半の方は自分の宣伝領域であるそれらの活性化から始めないといけないでしょう。
 ですので、本文やあらすじの重要性がより高まります。
 しかし、あらすじと本文ではやはり本文の方が重要度は高いのです。ビニールで覆われているわけでもなければ、立ち読みにお金が掛かるわけでもないものですので、当たり外れの確認のために本文をすぐに読みだしてしまう人が多くいるからです。
 ですので本文一発勝負になる可能性も高く、それを重視するならプロローグから1話にかけての重要度が一番高くなるでしょう。同じ蛇尾なら竜頭蛇尾であることを目指すべきだという考え方が成立しうる珍しいジャンルです。


○ネット小説の選ばれ方

 ところで、仮にあなたが名作と言っていい、出版できるレベルのオリジナル小説を書いたとします。これをそっくりこのサイトに一括で投稿したら一週間でどれくらいの読者が読んでくれるでしょうか?

 ……おそらく、一〇〇人読んでくれていたら上出来という程度になると思います。

 言うほどの出来ではないから、ということではありません(前提として出版レベルのものですので)。単に知られていないからです。どれほど名作であっても、人に見てもらえなければただの文章にしかなりません。今では世界的な絵画の制作者が、生前は貧困にあえいでいたという歴史上のエピソードが如実にそれを示しています。
 ネット小説も本質的にはライトノベルと変わりません。人気を得たかったら評判を作っていく必要があります。評判を作るためには、その前提となる質と効果的な宣伝、そして時間が必要です。この三つが正しく並行して成長しないと売れる作品へと育ちはしません。
 大手小説投稿サイト「小説家になろう」の説明にも書いてありますが、読者が集まる小説というのは、上手な作品ではなく「宣伝が上手な作品」です。それをふまえた上でどちら側を目指すのか考えながら執筆、投稿するようにしてください。


○宣伝を活用して評判を作りたいあなたへ

 上記で紹介した質、宣伝、時間の三つが一応揃っていれば、おそらくだれでも売れる小説家になれるチャンスを作ることができます。
 その場合中心点が作者の構想ではなく読者の感想と評判になるので、「売れる小説」を書きたいのか、「書きたい小説」を書くのかで書き方の方向性が変わってきます。
 書きたい小説ならば書きたいことを前提に自分が納得した作品を書くための整理が必要ですが、売れる小説であれば読者の評判を良くするための工夫や望まれた展開への修正なども必要になってきます。

 この作品で解説したいのは書き始めるまでの作法、つまり質を上げていく方法です。ですのでこの先の文章では前者の書きたい小説を優先しています。
 効果的な宣伝方法については語りません。というより私も語れません。ですので、読者の視点を中心に幾つか注意点に触れるだけにとどめておきたいと思います。

 まず、読者はその作品のことを知らないという前提で作品を作ることを忘れないでください。作者が読者層を最初に予想できないのと同じように、読者は最初のページを開くときにおいて、誰もその作品についてわかっていません。ですので、感想とユーザー自身の評判が物を言います。
 よって、レビューやコメントで悪口を書かれる、文字数に比べてアクセス数が少ないなどの、評判を悪くする要素がある作品はそれだけで敬遠される可能性があるということを肝に銘じてください。
 ちなみに、アカウントが喧嘩中で炎上しているなどといった場合は、必ず炎上が作品側に飛び火します。同じように、批判的な読者が作品を書いてみた場合、必ずと言っていいほど批判的な感想をくれる読者が集まります。
 仮にあなたがアカウントは炎上中だけど作品は多くの人に読んでもらいたいと考えていたり、批判はするけど批判はされたくないという場合は、諦めて投稿するアカウントを新設しましょう。
 もっとも、されたら嫌なことはしないことが原則です。ネットでも基本は変わりません。その点は常に忘れないようにしてください(以前やったらトラブル相手の作品が停止して、こちらが炎上しました)。

 次に、あらすじと第一話で読者のハートを掴んでください。竜頭蛇尾なら途中までは確実に読んでくれる人がいますが、蛇の頭から入ってくれる人は殆どいません。書いて投稿した後も、必要なら改定してしまいましょう。売れるためには外聞は重要ですが恥は投げ捨てる必要があります。 
 

 
後書き
 書いてあることは読み辛いおかげで殆ど理解できないとは思いますが、読者の反応を予想して書くことの大切さだけは伝わったと思います。宣伝して人を集める場合にも、名作を作りたい場合にもこのことは忘れてはいけません。 
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