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ヘタリア大帝国

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TURN107 母と娘その九

「トライアスロンをしてです」
「トライアスロン、あの競技か」
「それで一度お姉様の頭の中を空にしてはどうでしょうか」
「スポーツをすると頭の中がそうなるな」
「はい、そしてです」
「そこでか」
「洗脳を解かれてはどうでしょうか」
「そうだな」
 東郷もクーの言葉を受けて考える顔になった、そして言うことは。
「一度やってみるか」
「それではですね」
「実は明日はオフだ」
「あっ、実は明日してみようとかと提案するつもりでした」
「そうか、ではだ」
「当直の人以外はですね」
「丁度当直は首相だ」
 彼だというのだ。
「あの人はご高齢だからな」
「トライアスロンは無理ですね」
「それと酋長さんだからな」
 ギガマクロも当直だというのだ。
「他にはケツアルハニーさんもだな」
「あの人は足は」
「ないからな」
「不思議なことに歩いておられますけれど」
「どうも突っ込んではいけないことの様だな」
「そうみたいですね」
 ケツアルハニーだけでなくハニワ族全体についての謎だ、足がないがそれでも歩けるということは。
 そうした話をしながらだ、東郷は再びクーに言った。
「あの人達以外の面々が参加してだ」
「そしてですね」
「そうだ、それからだ」
 どうするかというのだ。
「スカーレットに仕掛けよう」
「そうですね、では」
「これならいけるかも知れない」
 確信はない、だがそれでもだというのだ。
「やってみよう」
「それでは」
 こうしてトライアスロンが開催されることになった、全員水泳にマラソン、それに自転車をフルですることになった、全員まずは露出のあまりない、下は半ズボンの様になっているワンピースの水着だ。男も上半身を覆っていないだけで同じデザインの水着だ。
 その水着を見てだ、ランスは憤懣やるかたない顔で言う。
「何だよ、水着っていうのはな」
「ああ、ビキニだよな」
 フランスがランスに応えて言う。
「それかスクール水着だな」
「そうだよ、あんたもわかってるな」
「俺はその道でも通だからな」
 優雅な仕草で出した言葉である。
「水着にも造詣が深いんだよ」
「凄いな、あんたとは気が合いそうだな」
「そうだな、まあとにかくな」
「ああ、それでだな」
「この水着にしたのはな」
「どうしてなんだよ」
「水の抵抗が一番なくてな」
 それに加えてだというのだ。
「乾くのも早い記事だかららしいな」
「おい、それでか」
「それでらしいんだよ」
「あの、トライアスロンですから」
 発案者のクーが言って来る。女もののワンピースのままだ。
「少しでも余計な抵抗を抑えないと」
「完走出来ないっていうんだな」
「水泳だけならともかく」
 これも相当なものだが、というのだ。
「後でマラソンと自転車もありますから」
「その二つもあるからか」
「はい、水泳もです」
 水の抵抗を少しでもなくしてだというのだ。 
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