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ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―

作者:Nation
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月光校庭のエクスカリバー
  第33話

 
前書き
前回投稿した曜日をはき違えていたせいで遅れる所でした。

是非見ていってください。 

 
 球技大会が後数日に迫った日の昼休み。
 当日まで日が無いということで練習にも熱が入っている。主に部長が。
「お前ら、今日も部活か?」
「ああ、球技大会に向けて練習中だ」
 カレーパンを頬張る松田の問いに答える。
「オカルト研究部が球技大会に力をいれてるのかよ。てか、お前たちの部ってスペック高いよな」
「まあね」
 俺を除いて全員悪魔だからな。口には出せないから適当に相槌を打つ。
「イッセー、朔夜。気を付けろよ。お前たちに変な噂が流れてるから」
 元浜がメガネを上げながら出だす。
「なんだよ。元浜・・・」
「噂?どんなのだ?」
「まず、美少女をとっかえひっかえしている野獣イッセー。二大お姉さまであるリアス先輩と姫島先輩の秘密を握り、それをネタに鬼畜三昧のエロプレイ!」
「そして野獣の性欲は美少女転校生であるアーシアちゃん向けられる特別授業と称し行われる教育と言う名の調教。鬼畜イッセーの美少女食いは止まらない!」
「なっ!?」
 これはひどい。幾らイッセーがエロの権化と称されいようとそんなことはしていない。
 今度は俺の方を向き続ける。
「次に朔夜は、学園のマスコットである搭城小猫ちゃんを毒牙にかける。小柄であることをいいことに、無理やり組み伏せ貪る変質者」
「『先輩・・・やめてください・・・』と懇願する小猫ちゃんを無視し、そのロリロリボディを食い荒らす。っとこんなところか」
 ・・・仮にその噂の俺が真実だったとしても、小猫を組み伏せることはできない。
 身体強化を行ったとしても筋力では小猫に勝てない。
 そもそも俺はそんなことをやってないが。
「一応、聞いといてやる。誰が流した?」
 大体予想は着くが。
「俺たちが流した」
「一緒に流した木場とのホモ疑惑は一部の女子に受けがいいぞ」
 判決、有罪。
「イッセー」
「おう」
 ドス!ドッ!ドゴ!ドガ!
 俺とイッセーはこのバカ二人をボコボコする。
 ちゃんと加減はしているから大丈夫だ。
「うぉ・・・なにを・・・する・・・」
「それはこっちの台詞だ。なんてモノ流してやがる。名誉棄損だぞ」
「・・・イッセーはともかく、朔夜の方は信じられていないぞ・・・」
「俺は信じられてるのか・・・」
 その辺は普段の行いの差だろう。
 回復した松田と元浜が食い掛かる。
「それにな!このくらいしないと嫉妬でイカれてしまいそうだ!」
「否、もうすでにイカれているかもしれん!」
 再度、頭をイカせれば一周回ってまともになってくれないだろうか。
 無理そうな気がするし、今日は昼にも部室に集まるよう部長からの指示がある。
 ほんと、力が入っていると思う。
「イッセーそろそろ行くぞ」
「ん、そうか。悪い、俺たち部活の集まりがあるから」
「昼休みにも集まるのか。精が出るね」
「お前らそんなにスポーツマンだったか?」
「部長命令だ」
「それにやるからには勝つつもりだ。俺たちは」
「熱血くんだな。イッセーがエロ以外で燃え上がるなんて事、少し前までなかっただろう」
「変わったよな。あれか?生乳見ると変わるのか?」
「生乳は何度見てもいいものだけどさ」
「「死ね!」」
「あほやってないで行くぞ」
 二人の怨念をバックにアーシアの元に向かう。
 教室の端でクラスの女子と共に昼食をとっていた。
「おーい、アーシア。ご飯食べたかー?」
 イッセーが声をかける。
「アーシア、彼氏が呼んでるわよ」
「かかかかかかかかか彼氏っ!!??」
 隣にいた女子―桐生藍華の言葉にアーシアが一気にオーバーヒートを起こしてしまった。
「違うの?いつも二人でいるからてっきり付き合ってるのかと」
 そう見えてもおかしくない。
「そうなんだ。でも傍から見たらあんたたち毎晩合体してるカップルよ。いっつも二人でいるじゃん。それに親公認で同居してるんでしょ?男女が同じ屋根の下で夜にやることと言ったらそりゃねぇ?ちなみに『裸の付き合い』を教えたのも私よ。堪能した?」
 桐生はいわば女版の三バカトリオだ。女子からは『匠』と呼ばれている。
 どうやらこいつが、兵藤家子作り騒動の元凶らしい。
「やっぱりあれはお前か!ていうか合体ってなんだ!ロボットじゃないんだから!それに俺はそこまで破廉恥じゃね!そりゃ俺だってエロいことはしたいがアーシアにそんなことできね!」
「そういうことだ。部長もいるからな」
 アーシアはともかく、イッセーはそう見てない。
「でもアーシアってあんたのことが―――」
「わあぁぁーーー!!!桐生さぁぁん!やめてください!!」
 何かを言いかけた桐生の口をアーシアが塞いだ。何を言おうとしたかはわかるが。
「い、イッセーさん!すぐに行きましょう!」
「アーシア!?」
 イッセーの手を掴むと引っ張るように教室を出て行った。
「ありゃりゃ。行っちゃった」
「恋愛において、勝手に気持ちを言うのはどうかと思うぞ」
「てっきり言ってると思ってね。で、実際のとこどうなの?」
 どう、というのはイッセーとアーシアの関係だろう。
「見ての通り、イッセーはアーシアとそういう関係になりたいと思ってはいるがそれ以上に助け守ってやらないといけないと感じてるからそう見ていない」
「ふーん。それでも『裸の付き合い』とか色々教えてるからそのまま食ってると思ったけど、案外ヘタレ?」
「あれでも一線は弁えてるからな。親とかも気にしてるし。まぁ親は早く孫が見たいそうだが。後は部長もいるというのもある」
「リアス先輩が相手じゃ難しいわね。友達としてはアーシアの恋が実ってほしいんだけど」
「その辺りは当人次第だろう。それじゃ、俺も行く」
「引き止めちゃってごめんねー」


 ◇◆◇


 イッセーたちに追い付き部室につく。
 すでにほかのメンバーはそろっているようだ。
 そして部員以外の人物が男女一名ずついる。
「生徒会長・・・?」
 女性の方はこの学園の生徒会長である支取(しとり)蒼那(そうな)先輩。
 良く言うとクール、悪く言うと冷たい印象を受ける日本人離れした風貌の持ち主。
 学園では部長、朱乃さんに次いで人気があるらしい。
「あれ?リアス先輩、俺たちの事話してないんですか?まぁ、気付かない方もおかしいけどさ」
 もう一人の男の方が言う。
 こっちは最近生徒会に書記として入った(さじ)元士郎(げんしろう)
「サジ。私たちは『表』ではお互い干渉しないことになっている。それに兵藤君は悪魔になったばかり。彼は当然の反応をしているだけ」
 イッセーの事を悪魔、と言うように彼女たちも悪魔だ。
「彼女の本当の名はソーナ・シトリ―。上級貴族シトリ―家の次期当主ですわ」
 朱乃さんが説明を入れてくれる。
 部長の家であるグレモリー家、ライザーのフェニックス家同様72柱の一つで序列12番目の君主の位を持つ悪魔だったか。
 そしてほかの生徒会メンバー全員が彼女の眷属悪魔で構成されているらしい。
「この学園はグレモリー家が実権を握っていますが『表』の生活では生徒会―――すなわちシトリ―家に一任しておりますの」
 すなわち、学園の運営はシトリ―家が握っているという事になる。
「会長や俺たち眷属悪魔が日中働いているからこそ平和な学園生活が送れるんだ。ちなみに俺は二年生で『兵士』の匙元士郎だ」
 イッセーと同じ兵士か。
「奇遇だな!それも同学年なんて!」
 それを聞いたイッセーは親近感がわいたんだろう。すこし嬉しがっている感がある。
 なんせ部長の兵士の駒はイッセーにすべて使っており兵士の悪魔は居ないと思ってたところに同じ学年にいたんだ。
 だがイッセーの感情とは裏腹に匙は溜息を吐く。
「はぁ。俺としては変態三人衆である兵藤と同じだなんてひどくプライドが傷つくんだが・・・」
「なんだと!」
 イッセーが言い返す。
 あれは、イッセーを見下している。おそらく駒を複数使ったんだろう。
 生徒会は現在8人。会長と匙を除いたメンバーが兵士以外の駒だったとしてもイッセー同様8個の駒が使える事になる。
 だが、イッセーも駒を8個使った悪魔だ。駒価値だけで図るのなら兵士の時点でイッセーに勝ることはできない。
「やるか?俺は最近悪魔になったばかりだが兵士4つを使用した悪魔だ。兵藤なんかに負けるかよ」
 やはりと言うべきか、イッセーの事を兵士と言うだけで低く見てたようだ。
「忠告だ。兵士と言うだけで駒を複数使った自分より下だと思わない方がいい。イッセーは駒8つの転生悪魔だ」
 転生に同種の駒が複数使えるということは8つある兵士は幅が広いことになる。ライザーの眷属のように1つもいればイッセーのような8つなんてこともある。
 まぁ、そもそも駒価値なんて転生時の測りだ。その後の成果でそれよりも上がったり下がったりする。
「こいつが駒8つ!?いや、そもそもなんで人間の望月がここにいるんだよ!?」
 予想外の事実に驚愕したのか匙が反射的に言い返してくる。ここは少し意趣返しをさせてもらおうか。
「なんだ、会長から聞いていないのか?まぁ、考え付かない方もおかしいが。
 オカルト研究部所属、グレモリー眷属に懇意にさせてもらっている半人前魔法使いの望月朔夜です。よろしくお願いします」
 後半は会長にも挨拶を兼ねているので丁寧に言う。
「は!威張っていた割には半人前かよ。虎の威を狩る狐か?」
 事実と言い返しをしただけなんだがな。
「おやめなさい。今のあなたでは二人に勝てません。兵藤君が駒8つを消費したのも事実です。それにライザー・フェニックスを倒したのは兵藤君で、ライザー・フェニックスの女王を倒したのは望月君です」
「な!?信じられん・・・」
 疑う目で俺たちを見ている。
「それに、今回は学園を根城にする上級悪魔同士、新しく下僕にした悪魔を紹介する会合です。私にあまり恥をかかさないでください」
 会長が匙を諭した後、俺たちに視線を向ける。
「ごめんなさい兵藤一誠君。望月朔夜君。アーシア・アルジェントさん。うちの眷属は貴方たちほど実績がありませんので、失礼な部分が多いのです。できれば、同時期に悪魔になった者同士、仲良くしてください」
 俺は悪魔じゃないんですが、と言うのは無粋か。
「サジ」
「え、あ、よろしく・・・」
 会長に言われて渋々挨拶をしてくる。
「はい、よろしくお願いします」
 それにアーシアが屈託ない笑顔で返し、手を差し出した。
「アーシアさんなら大歓迎だよ!」
 表情が一変し、分かりやすい笑顔でアーシアの手を握り返した。
 その対応にすぐさまイッセーが行動に起こした。
 匙の手をアーシアから離させるとその手を強く握っている。
「ハハハ!俺の事もよろしくね、匙君!つか、アーシアに手を出したらマジで殺すからね!」
「うんうん!よろしくね、兵藤君!つか、金髪美少女独り占めですか!噂通りの鬼畜君ですね!天罰でも起きないかな!」
「・・・わかりやすいな。お前ら」
 二人して手に力を込め張り合っている。
 二人は同じ人種なんだろうな。そんな感じがする。
「あれがすみません」
「こちらこそすみません。時に、望月君は悪魔にならないのですか?リアスの駒はまだ空いていますが」
「現状予定はありませんね。抵抗はありませんが人間でいることに未練があるので」
「そうですか。と言うことはまだ勧誘の余地はあると・・・」
「ちょっとソーナ!朔夜は私のよ!」
「だから俺はまだ悪魔になる気はないと・・・」
 紹介の場が勧誘の場に変わってしまった。
 何と言うか、どっちもこの主にしてこの眷属ありと言う感じだ。
「くっ。お前たちよりも俺たちの方が強いんだからな!」
 握力勝負を終えた匙は手を軽く押さえながら捨て台詞を言っている。
 こっちもひと段落したのか、会長が紅茶を一口飲み言葉を綴る。
「私はこの学園を愛しています。故にこの学園を脅かす者は誰であろうと許しません。この場にいる者たちでも、リアスだろうと同様です」
 さすがは生徒会長をしている人だ。本当にこの人は駒王学園を大切に思っているんだろう。
「ルーキーの紹介はこの辺でいいですね。では私たちはこれで失礼します」
「会長―――いえ、ソーナ・シトリーさん・・・シトリ―さま。よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします!」
「これからもよろしくお願いします」
 改めて頭を下げて挨拶をする。
 イッセーたちからすれば主の友人で、上級悪魔だ。だから改めて挨拶をした。
 俺も世話になっている先輩の友人である。だがそれ以上に、特待生である俺は学校運営をしているシトリ―家のお蔭で通えているようなものだ。無礼をするわけにはいかない。
「ええ、よろしくお願いします」
 会長は微笑み返したのち、部長に目を向ける。
「球技大会、楽しみね」
「ええ、負けないわよ」
 部長と言葉を交わして、匙と共に部室を後にした。
「ふぅ・・・。朔夜知ってたのか?生徒会が悪魔だってこと」
「ああ、気づいてたし部長に確認も取ってたからな」
「教えてくれよ!」
「気付けるようになるためにあえてだ」
 実は言い忘れていたことは内緒だ。当時、イッセーはチラシ配りに必死だったし。
「さて、最終ミーティングをするわよ。相手が生徒会だろうと負けないわ!」
 
 

 
後書き
念のため言っておきますが、朔夜を悪魔にする予定はありません。天使にする予定もありません。
戦術の幅が広い朔夜とソーナは相性がいい気がしますが。

感想お待ちしております。

ここまで読んでいただきありがとうございました。 
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