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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?

作者:海戦型
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12回目の一騎打ち

 
前書き
ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー

調べてみたら何故か平坂黄泉を発見。\(◎)/<カッコヨイダロー!! やだ、カッコヨイ・・・

そういえば未来日記のケータイ破壊=死って似たようなもんどっかで見たな・・・

電蜂だ!・・・ってあのラノベ、ハイスクールD×Dの作者が書いてたの!?

以上、海戦型の「こんな連鎖反応は要らない」のコーナーでした。電蜂、知ってる?

12/21 ザッフィーの行動にミス発見したので修正 

 
私は何と幸せな騎士なのだろう。
遙か過去より続く果て亡き旅路の終幕を締めるのが、これほど素晴らしい騎士だとは。

膨大なアドレナリンが前進を駆け巡り、心臓の送り出す血液が全身を沸騰させる。限界まで酷使される筋肉が痛みと歓喜の悲鳴を上げ、もっと前へと狂ったように叫ぶ。

「血沸き肉躍るとは、まさに今この時の事よ!!」
「せあッ!!」

空を切る刃と刃の激突は戦場音楽を奏で、まるでそれ自体が演劇の一幕であるかのような錯覚を与える。二人の剣士は何所まで力強く、美しく、可憐に舞い続けた。




「綺麗・・・」
「おいおい、あの剣どんだけシグナムと相性がいいんだよ・・・ありゃ相性補正で相当能力がブーストされてっぞ?」

あの後完膚無きにまで敗北し、伝説の「話せばわかる」を使用して天文学的確率で説得を成功させたヴィータが呟く。ちなみに魔力を相当使ったらしく騎士甲冑はあちこちが修復できていない。
残滓であるヴィータは知る由もないが、今のなのはは管理局の「四星の麒麟児」に戦闘のイロハを叩き込まれた上にクロエ道場を生き残り、ある意味原作以上の修羅場をくぐっていた。ヴィータが勝てなくとも無理はない。

なお、四星の麒麟児の実力は今の所一人当たり原作A's終了時点でのなのは・フェイトの2人分に相当する実力があるが、そんな事実を知っているのはどっかの引きこもり転生者くらいである。

二人以外の残滓の騎士はというと、ザフィーラは横槍が入らないように待機、シャマルは怪我人(ヴィータとこれから出るであろう一人)治療のためにこちらへ向かっている。死した存在が今を生きる人間の命を奪うなどあってはならないと考えたため、最初からリッターは誰かを殺傷する気はない事は既になのはに伝えてある。

幾度となくぶつかる二つの剣士になのはは嘆息を漏らした。自分には、今のあの二人の間に割って入るだけに実力が無い。魅せるだけの技量もない。それをハッキリ感じ取れた。

「はぁ・・・私もあれくらい戦えるようになりたいなぁ」
「あの黒いのそんなに強いのか?」
「・・・黒いのじゃなくてクロエ。私のお兄ちゃんだよ」
「ヒッ!?申し訳ございませんでしたぁっ!!」

ヴィータ、もはや完全に調教済み。




しかし演劇に終わりが訪れる様に、2人だけの決闘も終わりが訪れる。

「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・!!」
「フーッ・・・・・・フーッ・・・・・!」

歴戦の猛将であるシグナムも体力が無限にあるわけではない。それは体が未成熟なクロエも然り。既にかなり長く戦っている二人には体力の限界が見え始めていた。

「随分・・・疲れている・・・ようじゃないか?」
「それはお互い様だ・・・このままでは埒が明かない」
「なれば、もう一度受けてみるか?我が必殺剣を!!」

シグナムの持つラグネルが白熱し、抑えきれない烈火の炎が生物であるかのように荒れ狂う。体力的にも魔力的にもこれが最後の一発となるだろう。愛剣レヴァンティンをも超える神の一振りへ薪をくべる様に余ったカートリッジを無理やり砕いて放出した魔力を注ぎ込む。
魔力の反動で全身に凄まじい負荷がかかるが、むしろ騎士道の最期を飾るのならばこうでなければ面白くない。

このぶつかり合いが最後になることを悟ったクロエも頷くようにエタルドに魔力を注ぎ込む。シグナムの真赤な炎とは対照的に蒼く静かで、しかし激しい熱さを宿したエタルドの切っ先が人生最大の難敵へと向かう。


「・・・来るがいい、烈火の騎士よ!」

「推して参るぞ、漆黒の騎士ッ!!」



直後、二つの神撃が海鳴の空で激突した。


二つの光を遮るものは何もなく、沈みゆく太陽の光さえも霞む閃光を町中に撒き散らす。



~八神一家(海鳴市海岸へ向かう道)~

「な、なんやあのごっつぅデカい光は!?」
「なんという・・・!恐ろしい量の魔力と魔力がぶつかっているのか!!」
「だが、あの光は・・・」
「キレー、だな」
「はい・・・」
(・・・私は、どうすれば・・・?教えてください、はやてちゃん・・・)



~海鳴市上空・都市部~

「あの魔力光はこの前の坊やか・・・やれ、あの一撃で結界が砕け散ったようだぞ?」
「相手は誰かしらね・・・ってそんなこと言ってないで、どうする気?」
「ん、俺は襲撃犯を追いかけるからお前さんは偽リインフォースを食い止めとけ」
「了解。それにしても、ニルスはこの忙しい時に何所で油売ってんのかしら?」
「どうせ小学生くらいの女の子の世話を焼いてるんだろ。子供に懐かれる速さだけは宇宙一だしな」
「そーいえばスクライアの里でもあいつが歩くだけで子供の行列できてたわね。変なフェロモンでも出してるんじゃないの?」



~海鳴市上空・海岸沿い~

「ほぉ・・・神々の黄昏というのはかくも美しいか。小僧め・・・この我に賛辞を贈らせるとはな」
「うおぉ~!?雷刃を名乗るこのボクの目を以てしてもまぶしぃ~~!?」
「・・・阿呆か貴様は。眩しいと思うのならば目を逸らさんか」
「でもここで逸らしたら負けたような気が・・・」
「大丈夫です、レヴィ。今のあなたの力では逆立ちしてもあそこで戦う御人には敵いません。つまり、最初から負けています」
「がぁ~~~~ん!!うう、そんなことないもん!頑張れば勝てるもん!たぶん!きっと、おそらく・・・」
「・・・む?あちらから血の匂いがするな・・・人死にでもあったか?」



~海鳴市・住宅街~

「・・・少し、急いだ方がいいかな。ユーリちゃん空飛べる?」
「はい、飛べますよ。どうしたんですか?」
「うん・・・急いで君を友達の所に送り届けないと同僚に迷惑がかかるかもしれないから。ごめんね、僕の都合で急がせることになって?」
「・・・お兄さんは親切なんで許してあげます」
(・・・ってあれ?空飛べるんだ!?冗談のつもりだったのに・・・地球の人って凄いなー!)
  ↑未だにユーリが普通の人間ではない事に気付いていないニルス




膨大な魔力と魔力の激突によって起きた均衡は、今度は一度目ほど長く続かなかった。
ぎり、ぎり、と金属を削る音を立てて押し込まれる剣は―――シグナムのラグネル。

「な・・・お兄ちゃんが押し負ける・・・!?」
「いけーシグナムー!!そのまま押し切・・・」
「・・・」
「二人とも頑張れーッ!!」

無言のプレッシャーに2秒で負ける騎士とはどうなのだろう。

と、そんなことを話している場合ではない。燃え盛るラグネルが突如爆発的な炎を放った。

「私は・・・この剣の事は知らん・・・だが・・・ッ!!」


私の後ろに蒼い髪の剣士がいる。剣を通して伝わってくる魂が、この技を撃てと叫んでいる。この剣にて多くの敵を討ち果たした異界の英雄が、お前ならできると激励する。ならば、やってやろうではないか。

クロエ、お前の後ろにも見えるぞ。深い藍色の髪を揺らす、黒鎧の剣士が。それがお前のエタルドに籠る英雄の想いか。・・・ふっ。事ここに至って尚、諦めてはいないようだな。

ならば、これを受けろ。そしてそれでも立っているのならばお前の勝ち。立っていなければ、私の勝ちだ!


「天・空!!一閃ぇぇぇえええええんッッ!!!」
「・・・ッッッ!?」

ラグネルの力が、爆発した。

拮抗が完全に破れる。

虚空を踏みしめていたクロエの脚が空を切った。

空を照らす紅と蒼の炎が下した判決。


虚空を弾丸のような速度で吹き飛ばされるクロエはそのまま付近の高層ビルに激突し、それでも止まらず突き抜けた先に存在したビルの外壁にクレーターの様な破損を及ぼし、ようやく止まった。

磔にされた聖者の様に指一つ動かさないクロエ。それが勝敗を物語っていた。



























「ご、ふっ・・・やれやれ・・・まったく、この土壇場で、そんな真似・・・手癖が悪い、な・・・」






シグナムのバリアジャケットに一直線の切れ目が入っていた。その切れ目は胴体を貫き背中まで貫通し、彼女のはるか後方にある電波塔を中ほどから綺麗に切断していた。

天空一閃によって押し負けるまで、クロエの抵抗がやけに弱かった。その理由をシグナムは今理解した。

ラグネルとエタルドの力は互角である以上、正面からぶつかっては相打ちになる可能性が高い。だからこそ、クロエはダメージ覚悟で敢えて吹き飛ばされたのだ。
そして、吹き飛ばされた際に散った魔力光に紛れて、渾身の力で空を切る斬撃「飛斬一閃」を放った。

余りにも切り口が鮮やかであったため、シグナムは吹き飛ぶこともなく静かに―――斬られていたのだ。
非殺傷設定であるとはいえ、魔力刃が人体を貫通すればそのダメージは計り知れない。切断面から痛烈な痛みを感じる。同時に魔力の漏洩も。どうやら斬撃の一部がリンカーコアを掠ったらしく、既にシグナムは碌に魔力の制御もままならなくなりつつあった。

『シ、シグナム?決着はどうなったのですか!?』

毛利に響くシャマルの声、先ほどから微動だにしない私の様子を不審に思っての事だろうが、既にシグナムに満足な返事をするほどの余裕はなく―――

「すま、ない・・・負けた、よう・・・だ・・・・・・」

足場が消えたようにシグナムの身体が自由落下を始める。それを、下に回り込んだヴィータはそっと受け止めた。その瞳にはやんちゃな子供の面倒を見る年長者の様な優しさが籠っている。
ビルにめり込んだクロエの方にはなのはが、そしてシャマルとザフィーラは治療のためここに急行中。

仮にもベルカの将、子供に負けたとあっては小言の一つや二つ聞かせるべきなのだろうが、シグナムの顔を見てヴィータは苦笑するしかなかった。

「まったくよー・・・気持ちよさそうな顔しやがって。これじゃ怒るに怒れねぇぜ」

どうやらクロエの方は意識があるらしく、涙目になって容体を気遣うなのはにか細い声で返事を返している。


この勝負、僅差ではあったが高町黒衣の勝ちだ。
その戦いの結果に、シグナムは一片の悔いも持っていないだろう。 
 

 
後書き
すまんな皆・・・超展開になってでも完結させないといけない事情があるんだ。
駆け足だが許してくれ。事情が片付いたら番外編とか追加するから。
別にこの作品を書くのに飽きたという訳ではないから、そこは勘違いしないでくれ。 
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