義手
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第四章
「よし、起きたか」
「命に別状はないってわかっていたけれど」
「それでも起きてくれたらな」
「ほっとするわね」
「僕確か」
「ああ、御前はマフィアの構想に巻き込まれたんだよ」
「それで撃たれたのよ」
この辺りの事情もだ、両親は彼に話した。
「けれどもうな」
「大丈夫よ、右手もね」
「右手?」
彼はここで自分の右手のことを聞いた、今ある右手はエドワードの右手だとだ。そして右手を移植した後のエドワードのことも。
「叔父さんはもう」90
「もうここにはいない」
「マフィアからも抜けたみたいよ」
「いいだろ、あんな奴がいなくなっても」
「迷惑をかけてばかりだから」
だからだとだ、両親は彼に清々したといった感じで話すのだった。
「これで厄介者がいなくなった」
「本当によかったわよ」
「そうなんだ、けれど」
「御前の気持ちはわかる」
父はジョージがエドワードと親しかったことは知っていた、それで息子の気持ちを汲んでこう言いはした。
「しかしあいつはな」
「マフィアで」
「そうだ、悪い奴だったからな」
「いなくなってよかったのよ、まああんたに片手をあげたことはね」
「巻き込んでくれたことだがな」
「よかったわ」
このことはいいとしてもだった、二人はエドワードをあくまで厄介者としていた。
それでだ、こうも言うのだった。
「もうこれでな」
「いいのよ」
「そうなんだ」
「ああ、御前もあいつのことは忘れろ」
「いなくなったからね」
死んだと思えというのだった、実際に両親の顔は清々としたという感じだった、そして彼が退院すると彼は何処にもいなかった。
その日から会うことはなかった、それは彼がハイスクールを卒業してカレッジに入学してもだった、エドワードはいなかった。
就職してもだ、彼に会うことはなかった。
しかし生きているのなら、だった。彼は叔父に会いたかった。
それで就職して金がある程度溜まったところでだ、興信所に行き彼の写真を持って行ってそれで頼んだのだった。
「十年前の写真ですけれど」
「この人をですね」
「はい、探して下さい」
こう興信所の人に言うのだった。
「是非共」
「何か写真に映っていない特徴はありますか?」
「右手がないです」
自分の右手を見ながらだ、ジョージは興信所の人にこのことも話した。
「片手です」
「片手ですか」
「若しかすると右手は義手かも知れないですが」
それでもだというのだ。
「元の手ではありません」
「わかりました、では」
「御願い出来ますか」
「はい、探してみます」
興信所の人はこう答えた、だがアメリカは年に百万も行方不明者が出る国だ、その中には嫌な事件が関係している可能性も高い。
ましてエドワードは元マフィアだ、ジョージはこうしたことから彼が見つからない可能性も覚悟はしていた。
だがそれでも希望は持っていた、それで興信所に頼んだのだ
それから暫く経ってだ、その興信所から連絡があった。携帯に出ると興信所の人がこう彼に言って来たのだ。
「アイダホの田舎町ですが」
「そこにですか」
「はい、それらしき方がおられると」
そうした情報があるというのだ。
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