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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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二部:絶世傾世イケメン美女青年期
  百十六話:確認と狼狽

 女であることをバラしたにも関わらず信じてくれなかったカールさんに、散々胸の感触を確認されてしまった私ですが。

 ……いやいや、落ち着け。
 (さらし)をきっちり巻いてるんだし、さっきの発言も疑問形だったし!
 まだ、わかってないかもしれないじゃない!
 揉まれたところで、男のだと思われてるなら、まだ

「す、済まねえ!!おら、……おら、てっきり!!そんなわけねえって!!」

 ダメだった。

 まだ微妙にわきわきと指を動かしながら、真っ赤に茹で上がった顔でカールさんが弁解してます。


 ……うう、揉まれた。

 踊り子さんたちにもされてたけど、男に!
 好きでも無い、付き合っても無い、ただの顔見知り程度と言っていい、男性に!

 思いっ切り触られて、撫で回されて、揉まれた!!

 気付くなら、触る前に気付けよ!
 気付かないなら、最後まで気付くなよ!!

 散々触った後で気付くって、どうなの!?
 あそこまで触らないと、気付かないものなの!?
 疑惑を持った時点で、やめろよ!!
 確認のために、触り倒すなよ!!

 ていうか私が逃げなかったら、まだ揉み続けてたよね!?
 わざとなんじゃないの、もう!?


 怒りだか羞恥だかよくわからない感じで私も真っ赤になり、涙目でカールさんを睨み付けます。

「……カールさん……」
「済まねえ!!本当に、済まねえ!!嫁入り前の、娘っ子の、む、むむ、胸を、あんな、……あんな!!……い、意外に、すごく、大き」
「カールさん!!」

 指を動かしながら遠い目で言うな!!
 思い出すな、忘れろ!!

「す、済まねえ!!……そ、そうだ!あんなことしたからには、責任だ!責任は、取るから」
「要りません!!」
「ドーラさん!!おらの、おらの嫁さ来て」
「行きませんから!!ちょっと落ち着いてください!!」

 勝手に揉んでおいて嫁に来いとか、どこが責任だ!

「だ、だども!!あんなことさして、なにもしねえってわけには」
「嫁には行きません。それより、カールさん」
「な、なんだべか」

 口調を改めて正面から見据える私に、カールさんも姿勢を正して答えます。

 相変わらず顔は真っ赤というか、完全に女を見る目になってますけれども。
 嫁には行かないから、その目はやめろ。

「……殴ってもいいですか?」
「……ん、んだ!いくらでも、気が済むまで、殴ってけれ!おら、ドーラさんになら、いくらでも」
「いいから黙ってください。行きますよ」


 まるで被虐趣味でもあるかのような誤解を招くカールさんの発言は気になったが、何もしないままでは私の気も収まりそうに無いので。

 村人にしてはやけにハイスペックなカールさんであれば、この程度なら死にはしないだろうというくらいの力を込めて、カールさんの体が気持ちよく宙を舞う程度に、一発。
 思いっ切り殴り飛ばして、手打ちということにしました。


「カールさん。大丈夫ですか?」

 奴隷時代に問題を起こしそうな新入りを相手に色々やってきた私が、今さら手加減を間違うとは思えないけれども。
 一応、生存確認として声はかけておきます。

「……っつー……。き、効いただ……」
「大丈夫ですね。見た目でわかると困るので、少しだけ治しますね。見た目だけ」

 吹き飛んだままの状態で地面に横たわるカールさんに歩み寄って膝を突き、殴った頬に手を当てます。

「ど!?どど、ドーラ、さん!?」
「勘違いしないでください。村の方に邪推されないように、見た目を治すだけです。動かないで」
「ん……んだか……」

 なんだか挙動不審になってるカールさんに構わず、ホイミを唱えて見た目をキレイに治療します。

「まだ、痛むと思いますけど。とりあえず、見た目だけはキレイになりましたから。では、私はこれで」
「ドーラさん!!待ってけれ!!」

 立ち上がろうとしたところで、カールさんに手を掴まれます。

「……なんですか?離してください」
「……おらが、頼んでおいて、今さらだども!化け物退治に行くのは、やめてけれ!!」
「……は?」

 本当に、今さら何を言ってるんだ、この人は。

「……そんなわけにはいかないでしょう。もう、村長さんともお話しして、正式にお引き受けしたんですから。そのために来たんですから、私は」
「だども!ドーラさんが娘っ子だったなんて、おら知らねかったから!ドーラさんを行かせるくらいなら、おらが」
「ダメです。それをさせたくないから、村長さんは私たちに大金を払ったんです。私も納得してお受けしましたし、女でも私はあなたよりも強いです。だから」
「だども!!おら、ドーラさんに、あぶねえことさ、して欲しくねえ!!おら、ドーラさんが」
「私は。旅をしてるんです。望んで、旅をしてるんです。危ないことは、いくらもあります。この程度、危ないうちにも入りません」
「だども、ドーラさん!!」
「私がすることは、私が決めます。昨日会ったばかりの、さっきまで私を男だと思い込んでいた、あなたに。口を出されたくありません」
「……ドーラさん……」

 私の手を掴むカールさんの力が緩んだところで、手を振り払って今度こそ立ち上がります。

「……ご心配頂いたことは、ありがたく思います。でも私たちは、明日にはお別れする、すれ違っただけの関係ですから。私のことは、忘れてください」

 できれば、触った感触も込みで!
 全て、記憶から抹消してください!!

「ドーラさん……おらは……」
「では、本当にこれで。いつまでもそのままでは風邪を引きますから、カールさんも早く帰ってくださいね」


 まだ何か言いたそうなカールさんを置いて、宿への道を戻ります。


 ……カールさんを殴り飛ばした後は、一時的に冷静になってたが。

 ……揉まれたんだよなあ。

 ……パパンとママンの可愛い娘として、清楚なキャラは守っていきたかったのに!
 何も、あんな、通りすがりみたいな人に!

 スペックは高かったから、農村の働き手という縛りが無ければ、能力的には旅にも連れていけたかもしれないけど!
 色々と心配してくれたし、いい人ではあったけど!
 でもあんなデリカシーの無い人は、やっぱりお断りです!!

 大体なんだよ、さっきまで男と思ってた相手に、胸揉んで惚れるってなんだよ!
 そのままプロポーズとか、意味がわかりませんから!!


 ……ていうか、そんなにわからないもの?
 いくら、晒を巻いてるからって。
 あそこまで、……しつこく!!触らないと、わからないもの??

 そこまで誤魔化せてるなら、いっそわからないまま終わらせてくれても、良かったんじゃないの?
 どうなの、これ??

 と、歩きながら自分でも感触を確かめてみますが。

 ……よくわからない。
 何も着けてない時とか、普通に女物の下着を着けてる時よりは、まあ固いけど。
 すごく固いってほどでも無いっていうか、比較対象が無いことには……。

 ……ヘンリーって、どんな感じだったっけ?


 と、思ってると、ちょうどいいところに。

「ドーラ!」
「……ヘンリー」

 ヘンリーが現れました。

「……ヘンリーが、いる」
「お前が遅いから、探しに来たんだ。……どうした?何か、あったか?」

 ヘンリーがなんだか怪訝な顔をしているようですが、今はそんなことよりも。

「ヘンリー。ちょっと、触ってもいい?」
「……は?」
「あ、嫌?ならいいの、ピエールに頼むから。そうだ、たぶん大丈夫、ピエールでも。ちょっと小さいけど」

 無理矢理は良くないからね、ピエールなら私がちゃんと頼めば、嫌とは言うまい。
 よし、ピエールにしよう、そうしよう。

「……待て。なんだかわからんが、俺にしろ」
「いいの?」
「……いいよ」
「ありがとう。じゃ、ちょっと失礼」

 同意が得られたところで、ヘンリーの胸を触って確認します。

 ……うん、固い。
 これは、固い。
 これに比べたら、やっぱり晒を巻いてても、十分に柔らかいかもしれない。

「……おい。……何、してるんだ……?」
「ちょっと。確認」

 でもなあ。
 ヘンリーだからなあ。
 男性だからって、ここまで鍛えてる人ばかりでは無いし。
 ヘンリーと比べて柔らかかったからって、それがどうだと言うのか。

「……確認?……何の?」
「……固さ?……柔らかさ?」

 ヘンリーを触りながら自分のも触って比べてみますが、やっぱりよくわからない。
 私が女だから、自分だからわからないのかも。

「おい、ドーラ。本当に、何して」
「ちょっと、ごめん」

 ヘンリーの手を取って、自分のに押し当てます。

「な……!!」
「……どう?」

 やっぱり、わかるものなんだろうか。
 晒を巻いてても、触ったら。

「お、おい。ドーラ?」
「あ。あと、そうだ」

 当てるだけじゃ、わからないかもしれない。
 確か、こんな感じで、手が動いて、指も。

「……!!」
「……どう?」

 カールさんにされたことを、ヘンリーの手を動かして再現してみましたが。
 ヘンリーの返事が無いが、どうなの?
 わかるの、わからないの?

「……ヘンリー?どうなの?」
「……ドーラ。お前、自分が何やってるか、ちゃんとわかってるか?」
「なにって?」
「だから。自分が何やってるか、見てみろ。ちゃんと」

 なにって。
 そんなのちゃんとわかって、確認して、確認させて……


 …………何した、私!!

 え、触らせた?
 撫で回させた?
 揉ませた!?

「……!!」

 一瞬で真っ赤になり、ヘンリーの手を離して距離を取り、胸を押さえる私。

「……戻ったか」

 ヘンリーも真っ赤ですが、私が動揺し過ぎているためか、なんとか落ち着こうとしてくれているようですけれども。

「……う……」
「待て。落ち着け」

 ……そんなこと言われたって、言われたって!
 …………無理です!!

「……う、うわーーん!!ごめんなさいーー!!」
「待て。大丈夫だから。大丈夫じゃないが、大丈夫だから。たぶん」

 ヘンリーが何を言ってるかわからないのは、私が動揺してるせいなのかどうなのか。

「違うの!!これは、違うの!!そうじゃないの!!」
「わかった。わからないが、わかった。だから、落ち着こう。な?」
「違うの、違うの!!私、そんなんじゃないの!!」
「わかってる、わかってるから。違うんだよな?」
「うわーーん!!お父さん、お母さん、ごめんなさいーー!!私、汚れちゃったーー!!」
「汚れたって、おい」

 普通にお付き合いするならともかく、あんな、痴女みたいな!
 付き合っても無い男を撫で回した挙げ句、自分で触らせるとか!!
 その前は変な人に触られてるし、完全に私、汚れてしまいました!!

「うわーーん!!もうやだ、死ぬーー!!お父さんのところに、私も行くのーー!!」
「落ち着け。とりあえず、落ち着け。俺も落ち着くから、お前も落ち着こう」
「やだーー!!無理ーー!!」


 と、散々取り乱す私をまたヘンリーが抱き締めて宥めてくれて。


「……落ち着いたか?」
「……はい……」

 本当にすみません。
 色んな意味で、すみません。

「……で。結局、何がしたかったんだ?あれは」
「……えっと」

 触らせてしまった事実はもうどうしようも無いので、折角だから聞いてみようか。

「……晒を。巻いてるんだけどね?」
「……そうか。それが?」
「……あの。……どうだった?」
「どうって。何が」
「だから。……感触が」
「……着けてない時よりは柔らかさは落ちるけど、弾力があるってか……詰まってる感じで、これはこれで」
「ち!!違う!!そんな、具体的な描写を求めてるわけじゃない!!」

 ていうか、着けてない時の感触をいつ……!!
 …………添い寝か!!

「……じゃあ、何だよ」
「だ、だから!……わかるもの?巻いてても、触ったら。女だって」
「そりゃ、わかるだろ。よっぽど小さけりゃ別だが、お前の場合は、その、……かなり、大き」
「わかったもういい!!もういいから!!……そう、やっぱり……わかるんだ……」
「何を、そんなに気にして……まさか」
「……」
「……触られたのか?」
「……」
「……誰に?」
「……」
「……アイツか?あの、カールとかいうの」
「……!」

 なぜ、わかったし!

「……そうなんだな。……あんな感じで、触られたんだな……?」
「……」

 何も言ってないのに……!
 なぜ、わかりますか……!
 そして雰囲気が、すごく怖いんですけれども……!!

「……よし。()ってくる」
「やめて!!殺さないで!!殺しは、良くないです!!」

 私を抱き締めてた手を離して歩き出そうとしたヘンリーに、縋り付いて引き留めます。

 縋り付く私を、ヘンリーが苦しそうに顔を歪めて見下ろします。

「……ドーラ。庇うのか?……アイツを」
「そうじゃなくて!!ヘンリーが!!」
「……俺が?」
「ヘンリーに、人殺しとか、して欲しくない!!」

 カールさんが、殺されるかどうかよりも!
 正直、そっちのほうが気になります!!

 必死で取り縋りながら、涙目でヘンリーを見上げてますが。
 もうだいぶ暗くなってきたのでよくわかりませんが、またヘンリーの顔が少し赤いような。

「……俺が?」
「うん!ヘンリーが!だから、やめて!私のために、そんなことしないで!」
「……だけど」
「カールさんなら、もう自分で殴っといたから!思いっ切り!だから、大丈夫だから!」
「……」
「ヘンリー……!お願い……!」

 モモを求めて訪れた片田舎の農村で、殺人に手を染めるとか!
 殺さないまでも、それに近いくらいに痛め付けるとか!
 本当に、やめてください!!

「……わかった。……もう、この村で一人になるなよ。次は、たぶん無理だ」
「うん!」

 またヘンリーに強く抱き締められて、腕の中でほっと息を吐きます。


 はあ、ひとまず惨劇は免れた。
 ヘンリーと一緒にいればカールさんと物理的に接触するようなことももう無いだろうし、そう長くいるわけでも無いし!
 これでこの件は、もう大丈夫だろう!

 あとは、モモだ!
 もうすぐ迎えに行くから、もう少しだけ!
 待っててね、モモ!! 
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