GOD EATER ー荒ぶる神々と抗う幻想ー
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St1.悲劇
俺の名前は神城ヒビキ。居住区で生活しているごく普通の一般人だ。
いや、もう一般人ではないな。
なぜならさっき、俺の元に一通の手紙が来たのだ。
『神城ヒビキ様
貴方は、このたび新型神器の適合候補者として選ばれました。
なので、今日から一週間以内にフェンリル極東支部までお越し下さい。
そこで、神器の適合試験を受けて頂きます。
適合試験に合格した暁には、貴方をゴッドイーターとして極東支部に配置します。』
………俺は目を疑った。
なんと、俺に適合した神器が見つかったのだ。
しかも、新型神器と来た。
これはもう内心ガッツになっても不思議じゃないだろう。
「よーし、これはもう今日行こう!決まりだ!!」
俺は荷物をまとめて、フェンリル極東支部に向かう準備をした。
ゴッドイーターになると、命の危険が出てくるが、その分かなりの生活を保証される。
少なくとも、今のこの居住区生活よりはいい暮らしができる。
「おーい!ヒビキ!!」
俺が外に出ると、明るい栗色の髪の少年が走ってきた。
俺の幼馴染、藤木コウタだ。
割とすぐに親を失った俺はこいつの家でよく世話になっていた。
関係としては親友というよりもう兄弟みたいなものだ。
「おっ、コウタ!!あのなー!俺さー!!」
「ヒビキ、見てくれよ!!フェンリルからの通知がきたぜ!!」
「マジで!?俺もだよ!!」
「ヒビキも!?やったな!!」
「あぁ!これから楽しみだな!!」
コウタが持つ手紙には、俺のと同じ狼のマークが載っていた。
「コウタ、いつ行く!?」
「そりゃお前…もう今日行くしかないだろ!!」
「だよな!!だったら今から一緒に行こうぜ!!」
「そうだな!!」
俺は、コウタと一緒にフェンリル極東支部の方に向かって歩いていった。
ここから極東支部までは、歩いて三十分位で着く。
「そういやコウタ、お前どんな神器が適合したんだ?」
「遠距離型の旧型だって。ヒビキは?」
「なんと……新型なのだ。(ドヤッ」
「マジで!?いいなー!!」
「ま、これはもう俺の時代って感じ?」
「いや、俺も負けてないからな!!旧型なめんなよ!!」
俺達が、これからどんな生活になるかを話しながら歩いていたら、いつの間にか極東支部に着いていた。
俺達が入り口に入ると、警備員に止められた。
「すいません、ここから先は関係者以外立ち入り禁止です。」
「あっ、すいません。神器の適合試験を受けに来ました。」
俺達はさっきもらった手紙を警備員に見せた。
「……これは失礼しました。試験の部屋は一つ目の角を曲がって右です。」
「うん、分かった!」
俺達が曲がると、そこには係員の女性がいた。
「すいません、神器適合試験の部屋ってここですか?」
俺が尋ねると、係員の女性は頷いた。
「はい。あなた達ですね。新しい適合候補者二名というのは。」
「あぁ、そうだよ。」
「すいませんが、まだ準備中なので一時間程お待ち下さい。」
「分かりました。」
準備が整うまでの間、俺達はさっきの話の続きを始めた。
時間が立つのは早いもので、すぐに準備完了のアナウンスがかかった。
最も、俺達は移動してないからわざわざアナウンスまでかける必要はないんだが。
『藤木コウタさん。適合試験の準備が整いました。』
「よし…行ってくる!!」
俺はコウタを見送って、一人になった席で手紙をもう一度見た。
ーー新型神器適合。
俺にとって、この言葉はなんか優越感があった。
何にしろ新型神器は適合候補者が少ない。
多分この極東支部では俺が初めての適合候補者だろう。
「………お、終わったようだな…ってあれ?」
俺はコウタが出てきたので見てみると、右腕に赤い腕輪がされていた。
そして、コウタはそこを左手で抑えて苦しそうにしていた。
「コウタ、大丈夫か!?」
「痛てて…あぁ、ヒビキ。これヤバいよ。超痛い。」
「は!?」
「ま、痛いのは一瞬だから頑張れ!!」
「どう見ても進行形で痛み引きずってるよな、お前。」
『神城ヒビキさん、お願いします。』
「ほら、呼ばれたぜ。」
「あぁ……行って来る。」
俺はコウタの様子を見て少し不安になった。
何だ?適合試験って危険なのか?
俺が扉を開けると、そこは機械製の部屋だった。
そして、部屋の真ん中には謎の赤いケースがあった。
「ようこそ、人類最後の砦『フェンリル』へ。」
俺は声がした方を見ると、金色の髪をした白いコートに身を包んだ男性がいた。
「これから、適合試験を始める。心の準備が出来たら、中央のケースの前に立ってくれ。」
…………やっぱり何か危険なのか?
まぁ怖がっていてもしょうがないからすぐにやるけど。
俺がケースの前に立って見ると、ちょうど腕を置くための窪みらしい部分があった。
どうやら、ここに腕を置けばいいらしい。
「………では、適合試験を開始する。…右腕を置いてくれ。」
俺が右腕を置くと、俺の右腕がケースに挟まれた。
次の瞬間、俺の右手に激痛が走った。
「……ぐっ!?…うあぁぁぁぁぁ…!!」
「ヨハネス支部長!!大変です!!オラクル細胞、暴走してます!!」
「な……何だと!?」
右腕に激痛が走る中、俺は聞いてはいけない何かを聞いた気がした。
そして、ケースが開くと俺の右腕にはコウタと同じ赤い腕輪が着いていた。
だが、俺が痛む右腕を上げると、腕輪はボロボロと崩れてしまった。
そして、腕輪のあった部分が黒く変色していた。
「ヨハネス支部長!適合候補者……生存してます!!」
「何!?適合試験に失敗して生存だと!?」
俺は腕を見ていると、急に全身に激痛が走った。
俺はその痛みに耐えきれずに意識を失ってしまった。
俺が目を覚ますと、そこは研究所だった。
そして、目の前には眼鏡をかけた穏やかな感じの男性がいた。
「おっ、目が覚めたかい?」
「ここは………?」
「大丈夫、私の部屋だ。…おっと、自己紹介がまだだったね。私はペイラー・榊。よろしくね。」
「神城ヒビキ。…榊さん、俺は何でここに?」
「いや、君のメディカルチェックをするためにだよ。」
「ふーん……」
俺は寝そべったまま、さっきの事を思い出した。
あの後右腕ってどうなったんだ?
俺は自分の右腕を見てみた。
「……………!!!」
「ん?どうかしたかな?」
「な……何だよこれ!!」
俺の右腕は、肩まで赤黒い怪物のような物に変わっていた。
トゲトゲしいその腕は、人間の腕とは比べ物にならない位に禍々しい。
「あぁ、それが言いにくいんだけど……」
「何だ!?」
「君、アラガミ化しちゃったんだよ。」
それを聞いた瞬間、俺は地の底に叩き落とされた気がした。
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