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中二病が主人公になったら?

作者:アガセ
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第7話

"ウッヒョー!!ヒナたんと組めたお~♪グヘヘ♪"

というキモい主人公は置いといて・・・

何だかんだで、サバイバル演習が始まった。
お題は、『制限時間内にどれだけ相手から巻物を奪えるか』である。
ルールは簡単、『巻物を奪われたその時点で脱落』というものだ。

演習をやるとは言っていたものの、本格的な演習をアカデミーの敷地内でするには環境が適してないということで、第3演習場に場所を移してからの開始となった。


演習場内の森のとある場所にて、手を繋いでのんびりと歩いているモブキャラチームが1組。
おっと?モブ2人の顔が赤くなっている。リア充か?爆発しろ。
ん?今度は互いに向かい合って目を閉じ、顔を徐々に近づけていっているぞ?
さあ、口が触れるか触れないかというところで、

「永遠の夢に・・・終焉を与えよう!」
「「なっ!?」」

ブルァァァ、と唸り声を上げながら金髪の使徒が現れた。

「さあ、やるぞ!ヒナ・・・た?」

ヒナタは真っ赤になった顔を手で覆って、「いやんいやん」と首を左右に振っている。
・・・どうやらナルトは1人で戦うしかないようだ。

「ど、どうしてくれんだよ!せっかくイイ雰囲気だったのに!」
「そ、そうよ!そうよ!」
「ヤるなら放課後になってからにしろよ。一応、演習中だぞ?」
「お前こそ目障りなんだよ!この化け物め!」

モブ(男)が言った瞬間、液体窒素をかけられたかのようにその場の空気が凍りついた。

「・・・黙レ。殺スゾ?」
「「ヒィッ・・・!?」」

彼らはナルトの放つ殺気にあてられ、心臓を直に握られ今にも引き千切られそうな心境に陥っていた。

「・・・里を歩いているだけで石を投げられ、飯屋に行けば毒を盛られ、挙句の果てに、路地裏に連れ込まれてレンガや金槌で殴られる。
これが、ほぼ毎日だぞ!?ふざけんな!
オレが貴様らに一体何をしたってんだ!あ゛あ゛!?」

彼らは気圧されて声も上げられず、ただ震えることしか出来ないでいる。

「貴様ら・・・マジ許すまじ・・・!
爆ぜろ、貴様ら! 砕けろ、クズ共!Vanishment This World!」

ナルトの眼が赤と黒で描かれた雪の模様に変わり、世界はガラスが悲鳴をあげるように崩壊し、彼らを悪意と憎悪に満ちた世界へといざなった。

「こ、ここは、一体・・・?」

彼らの眼に映るは、よく見慣れた里の風景。
しかし、今まで見た風景と違って、月は禍々しく光っており、体にへばり付くような空気が漂っている。

「ようこそ、我が聖域へ・・・」
「「・・・!?」」

全く人がいる気配の無かった彼らの背後から急に声を掛けられ、彼らは一瞬飛び上がった。
振り返ると、そこには緑色の全身タイツを履いたナルトが立っていた。

「お、おい!?お前、一体何をした!?」
「・・・このオレが生み出した『幻想の狭間』に、貴様らを引きずり込んだだけだってばよ・・・。」

要するに、彼らに『月詠』をかけたのである。

「何なのよ、ここは・・・。気味が悪いわ・・・早く出してよ。」
「そ、そうだ!早くここから出せよ!」
「・・・そう簡単に出してたまるかってばよ。
何故なら・・・これから貴様らに報復するんだからなぁ!」

ナルトが指を鳴らすと、彼らの周りに数百人のキモい顔のおっさんが現れた。
しかも、全員ナルトと同じように緑色の全身タイツを履いている。
そして、鼻が曲がる程の加齢臭をモワモワと放っている。

「ボクの名前は、チ○クル!35才!ボク、緑色の妖精(自称)だよ!イイネ♪イイネ♪」
「「へ、変態だぁ!!!」」

モブ2人は悲鳴に近い声で叫ぶ。

「おい、チ○クル。」
「ん?何だい?」
「どうやら、彼らは緑の妖精さんに憧れているみたいなんだ。
どうか彼らも仲間に入れて上げて欲しいな~(ニヤッ)」
「・・・!?」

良からぬ事を聞いてしまったモブ2人は、見る見るうちに顔が青褪めていく。

「そんなのお安い御用だよ!
仲間が増えるのはいいことだ♪イイネ♪イイネ♪」
「それじゃあ、みんな・・・よろしく頼む!」

そう言い残して、ナルトがこの世界から去っていった。
そして、数百人のおっさんは「チ○クルチ○クルゥ~、クルリンパァ!」と奇声を上げながらモブ2人に勢いよく襲い掛かった。
モブ2人は、屠殺寸前の犬のような眼をしながら必死に叫び助けを求めた。
が、それに耳を傾ける者は誰もおらず、彼らは見るも無惨に弄られ、彼らは30分間、声にならない叫びを上げ続けた。


一方、現実では・・・

「やったー!巻物ゲットだってばよ!」
「良かったね・・・ナルト君っ!」

どうやらヒナタは完全に自分の世界に入っていたおかげで、さっきまでナルトがキレていたことに気付いていなかったみたいだ。

ちなみに、モブ2人は仲良く白目を剥いて、泡を吹いて失神していた。


ところ変わって、シカマル&いの組は、何故か巻物ではなくナルトを探していた。

「あーん、ナルトぉ・・・何処行っちゃったのよぉ・・・。」
「お前なぁ・・・一応演習中何だから、やることやろうぜ。」
「そんな事言ったってぇ・・・」

2人は同時にため息をつく。

"ホントめんどくせぇ~。だから組みたくなかったんだよ・・・。"
"あの子絶対ナルトを狙ってる。ナルトの魅力を知っているのは私だけだと思っていたのにぃ。"

理由は違えど、2人とも精神的に結構堪えているみたいだ。


「・・・ヘックシュン!」
「ど、どうしたの?・・・ナルト君・・・カゼ?」
「い、いや・・・多分誰かがオレの噂話でもしてんだってばよ。」

大丈夫だ、とナルトは満面の笑みをヒナタに向ける。
彼女はポッと頬を赤く染め上げる。
ナルトもそれを見て、明後日の方を向いて自分の頬をポリポリと掻く。

「さ、さっ!まだまだ時間もあるし、どんどん集めていくってばよ!」
「う、うん!」
「とりあえず、あっちの奥の方に巻物があるか見てくれ。」
「う、うん!い、いま見てみるねっ!」

ナルトに言われ、彼女はすぐに白眼を発動する。
発動してすぐ、彼らが探している物は見つかった。

「えっと・・・この茂みに入ってすぐのところに、巻物が落ちているみたい。
誰かが落としたのかな・・・?ちょっと、取りに行ってくるね。」
「おう!頼んだ!」

彼女はガサガサと茂みの中に入っていく。
だが、次の瞬間・・・

「きゃあーーーーー!」

ヒナタの悲鳴が聞こえ、ナルトは慌てて彼女が入っていった茂みの向こう側へ向けて駆けた。
駆けて行ったその先にいたのは、彼女を片腕で抱えている1人の男だった。

「ククク・・・流石は木ノ葉の里。平和ボケで暗部も使えなくなったか?」
「な、ナルト君っ!」
「・・・!?」

その男は額当てから察するに雲隠れの忍であることがわかった。

「日向の血継限界、白眼。
ククク・・・・・・これが3年前に失敗した小娘だとはな。」

まさかのイレギュラーイベント発生にナルトは少し戸惑うも、何とか平静を装ってみせる。

「お前ら、ヒナタをどうするつもりだ!」
「我らの狙いは白眼のみ。お前には悪いがここで死んでもらうぞ・・・。」
「『我ら』・・・だと!?」

すると、木陰に隠れていた忍が次々と現れた。

"敵は全部で11人・・・ちょっと分が悪いな・・・"

「に、逃げてナルト君っ!わ、私は大丈夫だからっ!」
「フン。オレ達が逃がすと思うか?やれ!」

1人の忍が瞬身の術でナルトの背後を取り、クナイでナルトの首を掻き切った。
が、次の瞬間、斬られたナルトが轟音とともに大爆発した。
爆発が起きた箇所には大きなクレーターが出来ており、仕掛けてきた男は下半身だけとなり、ドサッと音を立てて倒れた。
爆発の中心にいた人物は、あちこちに腕だったものや脚だったもの等、肉片が周りに飛び散っていた。

「な・・・ナルト・・・く・・・ん?」

ヒナタは一瞬、何が起きたか理解出来ないでいた。
しかし、周りに飛び散っているもの、そして、彼女の目の前にフワフワと降って来た数本の金色の糸が一瞬にして燃え尽き灰に変わったことで、その状況を理解した。
いや、してしまった―――とでも言うべきだろうか。
彼女は、目の前で起こった惨事に悲痛な叫びを上げて泣き出し、彼女の精神が耐え切れなくなってしまったのだろう、ぽっくりと事切れてしまった。

「フン、自爆したか・・・。まあいい。
仲間を1人失ってしまったが、目的は果たせた。
お前ら、帰るぞ!」

ハッ!、と彼の部下達は答え、去っていこうとした。
しかし、

「You still have lots more to work on・・・」
「・・・!?」

振り返れば・・・ヤツが立っていた! 
 

 
後書き
チ○クルとは、ム○ュラの仮面に出てくる、アレです・・・。
 
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