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BLUEMAP 改訂前

作者:石榴石
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番外編
  Trick or Treat!

 
前書き
ショートショート風味?(笑)
グダグダと書いただけなので読んで頂けたのなら幸いです(*´ω`*)

今年もあと少し。
どうぞよろしくおねがいします♪(*^-^*) 

 


「お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ?」
 となり町から一人でやってきた僕に、最初に声をかけてきたのは魔女の格好をした女の子だった――今夜はハロウィン。街灯と燃える火が石畳を照らすなか、切り裂き魔の仮装をしていた僕は彼女と出逢った。今宵限りの舞踏会に、街がさざめき始めた頃だった。

「な、何を。ぼ、僕の方が強いんだぞ!」
 ほうきで戦いの構えを見せる少女に対し、僕はすかさず爪を出す――大きくてボロボロな、皮製の手袋に付けた爪。といっても糸きり用の刃を改造しただけなので、少々格好悪い。

「うるさい。何そのカッコ。かっこわる~い」
 その一言で僕は既に負けたような気がして、無駄な抵抗はやめた。確かに僕の格好は悪い。はっきり言ってダサい。ぶかぶかのハットにだぼだぼのジャケット。父さんのおさがりだからだ。
 それに比べて彼女は……くやしいが、可愛かった。今までこんなに可愛い子にはあったことがない。
 薄い桃色の髪を二つ、赤いリボンでお下げに結っている。その髪はこれ以上はないって程に長い。紫色のマントに、同じ色のとんがり帽子。その先には流星のチャームがキラキラと、七色に光を反射しながら揺れている。
 そしてその瞳は、赤い。まるで魔力を秘めた石のようで、深いその輝きに吸い込まれそうだ。

「なにジロジロ見てんのよっ!」
 彼女の声で我に返る。頭一つ分ほど僕より小さな彼女は、頬を赤らめながらこちらを上目づかいに睨んでいた。
 僕は後ずさりながらも彼女のその表情に密かに見とれていた。
「もうっ! 聞いてんの!?」
 僕が返事に困っていると、彼女はさらに向きになって突っかかってきた。

 しばらくそのまま圧倒されていると、彼女は落ち着いた表情になった。
「……あんた、名前は?」
 彼女の顔がさっきより赤いのは気のせいだろうか。そして僕の顔も、熱くなってきたような気がする。顔だけじゃない。全身から熱気を発しているような気がする。
「ぼ、僕はジャック……切り裂きジャックだよ」

 何とか声を振り絞ったけど、彼女の思いとは違ったらしい。顔がしわくちゃに歪んでく。
「仮装の名前はわかってるわ! 私が知りたいのは、あなたのな・ま・え!」
 どうやら彼女は勘違いをしている。僕の名前は本当にジャックなんだ。でも……信じてもらえるかな?
「だから、僕の名前はジャックなんだよ! ……それに。人に名前を聞く前に、まずは自分から言うもんじゃないかい?」
少し言い方が悪かったかな? 彼女はふくれっ面になった。

「悪かったわよ。……私の名前はレナ。ねぇジャック。私、可愛いでしょ? だから、舞踏会に連れてって?」
 彼女は僕の心が読めるのだろうか。彼女は綺麗にそろった歯を出してキラキラとした笑顔を見せた。
 その言葉に内心ドキドキしていた。初めてだ、こんなの。
 そして彼女は、手の甲をこちら側へ突き出す。手を取れば、そのまま舞踏会へのエスコートが始まる。
「あ」 ――僕は自分の手にはめられたものが、少女の手を取るのにふさわしくないことに気が付いて、戸惑った。
 そうこうしていると、痺れを切らした彼女が僕の手を手袋から引っ張り出した。

「こうしていれば、手がつなげるでしょ」
 彼女はそっぽを向きながら、なんだか不器用に僕の手を掴んだ。
「どうせ舞踏会なんて行ったことないんでしょ? やっぱり私が連れてってあげるんだからねっ」
 勝ち誇ったように笑い、そう言うと強引に手を引っぱりながら彼女は歩きだす。
 僕の早まる鼓動をよそに、体はゆっくりと、どんどん前へ進む。その光景をみんなが見ているような気がする。
 顔の熱っぽさ、手の感触の中で頭がボーっとしていた。

「そういえば」 ――僕はあることに気がついて、ふとした瞬間に意識がはっきりする。
「舞踏会って、大人しか行けないんじゃなかったっけ?」
 僕たちは、まだ子供。

「じゃあ、約束ね。大きくなったら、その時は連れてってね」
 彼女は当たりまえかのように言うと、当たりまえのように笑った。この笑顔を僕は、その時も覚えているだろうか。その時になって見ないとわからないけど。

「……うん。約束するよ。大人になって、またここで会えたらね。その時覚えていたら連れてってあげる」
 僕は少し考えて約束をしたつもりだったけど、彼女は少し不満だったみたい。

「絶対よ?」
「うん……多分。僕、その時はもっとカッコいい服着てくるね」
 なんだか、僕はおかしなことを言ったみたい。それから一緒に、僕も笑った。


 
 

 
後書き
そうだ、話に入れたかったんだけど入れられなかった小ネタ。

「ジャック」という名前は結構色々あるなぁと思って・・・
「切り裂きジャック」は入れられたけど(#^^#)
『ジャック・オー・ランタン』だとかね。
あとは、腹黒いジャックだということで『ブラックジャック』(笑)
バイオレンス・ジャック・・とか(;´∀`)

今回はオリ小のBLUEMAPのキャラをパロって見たんですが、
本編とも若干つながってる部分もあるかな?^^
ネタバレって程にはならないけど。

ハロウィンとは相性のいい世界だったりします。
イメージとしてはそのままで、ジャックはかぼちゃのランタンで、赤目のレナは文字通り魔女。
吸血鬼みたいな男だってでてくるしね。
よく考えたら、それくらいしかなかったw

という事で本日はお開き♪
ありがとうございました<(_ _)>
 
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