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ヘタリア大帝国

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TURN94 ソビエト参戦その一

                 TURN94  ソビエト参戦
 ヒムラーはホットラインの向こうの相手にまずはこう言った。
「ああ、俺だけれど」
「ヒムラー総統ですね」
「うん、そうだよ」 
 こう軽い調子で相手に返す。
「元気かな」
「はい、私もお嬢様も」
「そう、それは何よりだよ」
「有り難うございます、それで今回の御用は」
「うん、君達を傭兵として雇いたいんだ」
 単刀直入に言う。
「俺達の為にね」
「私達レッドファランクスをですね」
「そうだよ、報酬は前払いでね」
「どれだけのものを」
「君達が望むだけの額でいいよ」 
 それだけのものを前払いするというのだ。
「それでね」
「気前がいいですね」
「それだけのことがあるからね」
 少なくとも直接戦うよりもずっと安く済むというのだ。戦争というものは直接すると非常に金がかかるものなのだ。
 それに比べれば、ヒムラーの今の気前よさの根拠はそれだった。
「だからいいよ」
「左様ですか」
「うん、それでどうかな」
「それならです」
 相手は笑って応えて来た。
「この額で」
「いいよ」
 ヒムラーは言われた額で快諾した。
「それでね」
「わかりました、それでは」
「じゃあ早速頼めるかな」
「お任せ下さい、あの東郷長官を攻めてですね」
「枢軸軍自体をね」
「特にあの長官をですね」
 相手は何故か東郷にこだわる。
「それで宜しいですね」
「確かにあの長官が枢軸軍の実質的な司令官だけれど」
 ヒムラーは相手の言葉にいぶかしむものを見て言った。
「何かね」
「何かありますか?」
「君ひょっとしてあの長官が嫌いなのかな」
「はい、大嫌いです」
 相手もきっぱりと言い切ってきた。
「この世で最も」
「おやおや、あの長官は女性に好かれるらしいけれど」
「私は嫌いです」
 相手は自分の性別も肯定しながら答える。
「あの長官は」
「それがどうしてか気になるけれど」 
 だがそれでもだった、ヒムラーはそれをよしとして相手にさらに言う。
「まあそれは聞かないよ」
「そうですか」
「俺には関係のない話みたいだからね」
「お言葉ですがそれは実際に」
「そうだね、だから聞かないよ」
 実際にそうしたヒムラーだった。
「それでだけれど」
「はい」
「君達には期待しているから。整備や補給のフォローもするよ」
 これも直接戦争に加わることよりもリスクが低いからだ。
「そのことも任せてね」
「わかりました、それでは」
「頼んだよ」
 こうしてヒムラーはそのレッドファランクスを雇った、これで彼は手を打った。
 ソビエトはシベリアに戦力を集結させていた、見ればかなりの大軍だ。
 それを指揮するジューコフは会議室で副司令官を務めるリディアとロシア達に対して強い声でこう言った。 
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