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魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~

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A’s編
  ドМなの?

 
前書き
本日二度目の投稿。
めっちゃツマンナイと思うので、「こんなん見てる暇なんかねぇよバァカ」って方はバックステップ☆
もしくはあとがきまで飛ばしてください!
作者的にしっかり設定を出しちゃいたいだけなんです。
もうご都合主義だなんて言わせない!

それではっ
 

 
数日後。
あれからずっと事件の片付けがあったせいで自由な時間がなかったが、今日はなんとか時間がとれたので、慎吾を呼び出した。

「陽龍、どうしたんだ?」
「お前に、話があるんだ」
「俺に?」
「いや、少し違うか。内山慎吾じゃない。用があるのは三島大吾(オレ)であり、連続通り魔殺人犯(おまえ)だ」

オレは慎吾をしっかりと見て、言う。
連続通り魔殺人犯。
両親と紗羅、そしてオレを殺した人間。

「・・・なんのことだ?いつもの冗談にしたって、殺人犯呼ばわりは酷いぞ?」
「わかってるんだろ?それとも、こっちの名前のが分かるか?なあ、どうなんだ、九十九(つくも)輝希(てるき)
「ああ、そういうことか。キミだったんだね」

突然、慎吾の口調が変わる。

「そっかそっか。ぜーんぜんそれっぽい反応がないから、もっと違う人だと思ってたよ。でも、これも因果かなにかかな?ねえ、そう思わない、大吾くん」

九十九輝希。
連続通り魔殺人犯の、名前。
あの日、オレが最後に教えてもらった、名前。

「オレがそんなこと知るわけねぇだろ。てか、話があるっつんてんだろ」

相手がコイツであるでいで、オレの口調も大吾の、少し荒いものになってしまう。

「なんでお前がココにいる。美愛が好きってんのは、どういうことだ」
「キミも会ったでしょ?エリザと、紗羅ちゃんに。転生させてもらったんだ。そして特典として、ボクは最後の人たちに会わない限り、記憶が戻らないようにしてもらった。
「俺」が美愛ちゃんのことを好きなのは本心からだよ。まあ、「ボク」も好意を持ってるけど。なにより、美愛ちゃんはボクの好きだった人に、そっくりだ」
「美愛が・・・?」
「そう。久しぶりに会えたお祝いに、ちょっとだけ昔話をしてあげるよ」


ボク、九十九輝希は名前からもわかるかもしれないが、あの村・・・九十九村の村長の息子だったんだ。
優しい家族に囲まれて育った。
そして、当時のボクには許嫁がいたんだ。
ボク自身、彼女のことが好きだったから別段反対もしなかったが、彼女は違った。
彼女には、好きな人がいたんだ。
ボクは自分の気持ちだけを押し付けるのが嫌で、両親に頼んで許嫁を解消してもらったんだ。
そして彼女は自由の身となり、好きだった人に告白した。
なんの奇跡か、その相手はボクの親友だった。
それを知ったときは羨ましくて、妬ましかったが、それ以上に幸せになってほしいと願っていた。
ボクの願い通り、二人は結婚して幸せな家庭を築いた。
ずっと、永遠に続くはずの幸せを築いていたんだ。
でも、その幸せは長く続かなかった。
親友が、彼女に暴力を振るうようになったんだ。
なんでも、職場で良好な関係を築けない八つ当たりらしかった。
ボクは止めた。
大切な親友に、そんなことをしてほしくなかった。
だからボクは願ったんだ。
元通りの、優しい親友に戻りますようにって。
願いはかなった。
親友は少しずつだが、良好な関係を築くことができていった。
そして、ボクは少し違和感を感じた。
どうしてあのコミュ力カンスト気味の親友が関係を築くことができなかったのか。
どうしてボクの願いはこんなにも叶うのか。
そんな時、思い出したんだ。
九十九家に伝わる伝説を。
なんでも、九十九の名を持つ人間は神から祝福され、願いが叶うと。
ただし、百人目の九十九の名を持つ者の周りには、不幸が訪れると。
そんな伝説だった。
ちょうど、ボクが百人目だったんだ。
つまりは、ボクのせいで彼女は幸せを壊され、親友は良好な関係を築けなかった。
そう、わかってしまった。
不幸は長く続かず、すぐに元に戻ったのだが、結局はボクのせいだった。
現実を受け入れると、なぜか頭の中がすっきりした。
つまりは、こういうことだろう。

ボクの傍に誰もいなければ、誰も不幸にならない。

その考えに至った次の瞬間、親友を見つけた。
会社の帰りらしい。スーツを着ている親友に話しかける。

「ねえ、いま、ひま?」

親友はボクを見つけて笑い、返事をしてくれる。

「こんなとこで会うなんて、珍しいな。今か・・・アイツが家で待ってるだろうし、これから来るか?」

親友の優しさに何かを感じるが、ソレを押し殺してボクは親友と彼女の住む家に行く。
そこにいる二人は、本当に幸せそうで。
その幸せを壊していいのか、不安になった。
でも、ここで壊してしまわないと、同じことが繰り返されてしまう。
だとしたら、ボクの手で・・・。

「ちょっと台所借りてもいい?なにか作るよ」
「え?そんなの、彼がしてくれるから座ってなよ」
「っておい、お前が作るんじゃないのかよっ」
「えー?わたしはー、お掃除とかして疲れちゃったんだけどー」
「何その超棒読みっ」

二人の夫婦漫才を見て少し笑い、すぐに終わるから。そういって立ち上がった。
そしてボクは台所に立ち、包丁を手に取る。
これで、二人を・・・。

「あれ、はやかったな・・・っておい!包丁持ったまんまこっちくんな!」
「包丁持ったままは危ないよ?」
「・・・・・」

ボクは何も話さない。
何も話さず、ただ包丁を構える。

「・・・おい、どういうつもりだ」
「どうもこうも、見てのとおりだよ。ボクが二人を(ころす)う。だた、それだけ」

そう言ってボクは素早く近づき、親友の腹に包丁を突き刺し、引き抜く。

「ぃ、いやぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁああぁぁ!!」

それを見た彼女が叫び、座り込んでしまう。

「ゆる・・・さ・・・ない・・・ッ!絶対に、許さない・・・ッ!絶対に、殺してやる・・・ッ!」
「・・・うん。絶対に、ボクを許さないで」

二人を巻き込んでしまったボクを、許さないで。
こんなにも狂ってしまったボクを、殺して。
そしてボクは、彼女も殺した。
さあ、ほかにも両親、村の全員を殺さなきゃ。
殺して、埋葬してあげよう。
あ、でもこれだけじゃツマンナイなぁ。
どうせだし、この村と同じ数だけ、ココに埋葬しよう。
そうすれば、誰も一人ぼっちじゃない。
誰も、寂しくない。
ねえ、そうでしょう?カミサマ。


「これが、ボクのつまらない昔話」
「そう、か。なあ、なんで最後の一人だけをあそこに埋めたんだ?」
「特に理由はなかったけど、多分・・・いや、やっぱり言わないでおくよ」

輝希はそう言って不敵に笑う。

「じゃあ、最後に一つ。ココにいるお前は、誰だ?オレの友達だったのは、誰だ?」
「・・・それは「ボク」でもあり「俺」でもある。まあ、どっちかってんなら、ココで生まれた俺、かな」

輝希は口調を慎吾のものへと変える。

「ならいい。じゃ、話しはそんだけ、帰ろうぜ、慎吾」
「・・・え?いや、あの、もっとなんかないの?ほら、文句とか」
「え、なに、文句言われたいの?ドМなの?」
「違げぇよ!?だって、俺はお前や家族を・・・!」
「ああ、殺したな。でも、それは過去(ぜんせ)の話しだ。今ここに居るのは内山慎吾。オレの親友だろ?」
「っ・・・ああ、そう、だな。さんきゅ、陽龍」
「美愛のこと、応援してるからな」

そう言ってオレたちは今までどおり笑いあった。
 
 

 
後書き
つまりは慎吾=連続通り魔殺人犯です。
あーすっきりした。
そして補足。
二人とも前世の記憶を取り戻してますけど、原作知識だけは忘れたままです。

あと、今気づいたんですけど、今回で111話目。わんわんわんですね。

それではっ
 
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