Black Engel and White Engels
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魔法少女はじめました
Opening
序「そこに至る道」
前書き
さてさて。
とりあえず、現在編はとりあえずここまでということで。
次回からは、なんでこうなったかのお話です。
ここはね
「そこに至る道」
1999年7月7日・2145・東京都檜原村
真っ暗にするために明かりもつけず、暗視装置付きの高倍率双眼鏡で4人の天使が拘束されている現場を見ていると、私はあることを思い出していた。
「そういえば、私は天使たちの正体を知っているのですよね。しかも、全員」
「そうなりますね。」
高倍率の双眼鏡を覗きながら、ケイトが答えた。
「全く、なんでこんなことになってしまったのだろうね。私はわかりませんよ。」
そう言って私は、ドリンクホルダーに置かれたコーラを一口飲んだ。
「私にも分かりませんよ。まぁ、あの4人が天使になった経過は知っていますけどね。あなたと一緒に、ですけど。」
そう言ってケイトは苦笑しながら、私の方を見た。
「全く。」
そう言って、私もケイトを見て苦笑した。
ケイトは今、編上げのブーツに迷彩柄の戦闘服、防弾チョッキ、メーキャップに青いベレー帽を被っている。この格好で、ケイトはカフジに潜入し、帯広に空挺降下しアラブ人とコミーを嬉々として粉砕してきた。
斯く言う私も、編上げのブーツに迷彩柄の戦闘服、防弾チョッキに黒のベレー帽をかぶっています。メーキャップはしていませんが。
ケイトはFN 5-7に89式カービン銃改を装備している。
私は同じようにFN 5-7にH&K MP7を携帯しています。
「いざとなったら、連中皆ぶっ殺しますけどね。」
そう言って、ケイトはウィンクをすると再度確認した。
ちらりと窓の外の目をやると、バレットM82対物ライフルを備えた部隊員が天使たちの方向に銃を構えています。
「彼らも嬉々としていますよ。あいつの頭を銃で吹っ飛ばすなんて、あの戦争で共産主義者相手にやって以来ですからね。一心不乱の大戦争ですよ。」
そう言って、ケイトはにやりと笑いました。その表情は、どこか死に神を連想させます。
最も、その表情は私も好きです。何が何でも対象を守ろうとする表情でもあるからです。
時刻は2150。行動開始時刻まであと10分。
10分後には一心不乱の大戦争になるでしょう。特殊部隊が殺到して、彼女たちを開放するでしょう。バレットの12.7X99弾であの男と怪物の頭を月まで吹っ飛ばし、5.56X45弾を全身に浴びせかけるでしょう。その点、我が部隊は容赦がありません。
カフジで、帯広で、旭川で、そして豊原で、チャーリーをぶっ飛ばしたやり方で。
私はその点は不安ありません。
座席のもたれ掛かり私はベレー帽を顔の前に被せ、昔を思い出していました。
1987年4月・東京都西東京市・私立学園幼稚舎
「今日から新しいお友達になる、久瀬絵里ちゃんです。みんな仲良くね。」
「はーい。」
あたしは今日からリリアン女学園の幼稚舎に入ることになりました。
これまではママと一緒に過ごしていたのですが、ママが仕事に復帰することになったので、この学園の幼稚舎に入ることになりました。
「はい。絵里ちゃん。ご挨拶。」
「き、久瀬絵里です。よろしくおねがいします。」
あたしは小さな声で、挨拶をしました。
実はあたしは、引っ込み思案なのです。
「うわぁ。絵里ちゃんって言うのだ。」
クラスのみんなに取り囲まれてもみくちゃにされてしまいました。
あたしはその勢いに飲み込まれてしまい、緊張と恐怖で泣き出しそうになってしまいました。
「あ、絵里ちゃん。久しぶり。」
そう言って声をかけてきたのは、昔からパパの友達でよくうちに来ていた平井百合子ちゃんでした。
「あ、ありがとう。」
知っている子にあって、私は涙が出そうな表情から少し柔くなりました。
「あ、ありがとう。百合ちゃん・・・」
やっぱりダメでした。
そのあとの思い出は、号泣するあたしとそれをあやす幼稚園の先生、そして私のそばにずっとついてくれた百合ちゃんでした。
「あ、華英ちゃんだ。」
休み時間になり、廊下に百合ちゃんと出ていると、パパのお友達の北小路華英ちゃんがいました。
「絵里ちゃん、知っている子?」
少しすねて百合ちゃんが言います。
「うん。あたしのお友達、ゆりちゃんもお友達になろう。」
その言葉がきっかけになったのでしょう。
百合ちゃんも華英ちゃんも第の親友になりました。今でも百合ちゃんと華英ちゃんとはよく遊んでいます。こういうのを「つるむ」というのでしょうか?
1999年7月7日・2150・東京都檜原村
私は、ベレー帽をずらしてちらりと夜光塗料が塗られたG-shockを見ます。
時間は2150。あと10分。
1989年4月・東京都西東京市・私立学園初等部
「みなさん。はじめまして。今日からあなたたちの先生になる。新井里美です。よろしくお願いします。」
初等部に入学しました。百合ちゃん・華英ちゃんとは同じクラスになりました。
「く、久瀬絵里です。よろしくおねがいします。」
あたしは小声で自己紹介してしまいました。どうしても、あたしは積極的になることができないようです。すこし、泣き出しそうになってしまいました。
「平井百合子です。よろしくおねがいします。」
「北小路華英です。よろしくおねがいします。」
2人は元気に、自己紹介をしています。あたしも2人のようになりたいです・・・・
休み時間になりました。
「あ、絵理ちゃんだ!」
後藤田蒔絵ちゃんがいました。
「あ、蒔絵ちゃん!」
2人も声を上げています。
パパの友達で、あたしが前から知っている百合ちゃん、華英ちゃん、蒔絵ちゃんが同じクラスに揃いました。
流石に幼稚舎のようにもみくちゃになることはありませんでしたが、それでも少し、クラスの人に囲まれてしまいました。
でも、もう泣くことはありません。涙ぐむことはありますが・・・
「絵里ちゃん、今日遊びに行ってもいい?」
蒔絵ちゃんが声をかけてきました。
蒔絵ちゃんの家は、ママが幼稚舎の頃に亡くなってしまい、あたしのママが蒔絵ちゃんのママがわりになっています。
「いいよ。みんなであそぼうよ。」
こうしてあたしのうちでみんなとよく遊ぶようになりました。
3年になると、百合ちゃんとは同じクラスになったものの、華英ちゃんと蒔絵ちゃんとは別のクラスになりました。
「久瀬絵里です。よろしくおねがいします。」
そういって、あたしは自己紹介をしました。今日は始業式。
クラス替え後の初めての学校です。
「櫻井紗英です。よろしくお願いします。」
それが紗英ちゃんとの出会いでした。
そのクラスは紗英ちゃんが学級委員になりました。が、
「なんでここにゴミがあるのですが、きっちり掃除してください。」
「なんでここに花瓶が置いてあるのですか?きっちり片付けてください。」
どうも、キッチリするのが好きな子なようです。
みんな、どうも紗英ちゃんがキッチリキッチリいうので、疲れて、ピリピリしているようです。
「ちょっと!あんまりキッチリキッチリ言わないでよ!」
クラスの子が一人きれてしまいました。
その声にみんなが反応して。そうだ!そうだ!と声を上げて紗英ちゃんを責め立てます。
「ちょっと、ちょっと。」
あまりの迫力に、紗英ちゃんが泣き出しそうになりました。
「ちょっと待ちなよ!」
思わずあたしは声を上げていました。
「そんなに責めちゃかわいそうだよ。みんな、紗英ちゃんがなんでそういうのか聞かなきゃだめだよ!」
その後、紗英ちゃんがみんなと話をして、お互いにわかったようです。
その後、紗英ちゃんがキッチリ!といってもみんな、「そうだね。」と反応して、穏やかになっていました。
それでもひどい時には、あたしが抑え役になってしまいました。
なんでなんでしょうか?
5年生になると、紗英ちゃん、蒔絵ちゃんと同じクラスになりましたが、百合ちゃん・華英ちゃんとは別のクラスになりました。
相変わらず、たまに紗英ちゃんは「キッチリ」と言っていますが・・・
「ちょっとお姉ちゃん!みんなの迷惑でしょ!」
双子の妹、智花ちゃんが紗英ちゃんを止めています。
「なんで昔からお姉ちゃんはこうなのよ!みんなの迷惑でしょ。」
そう言うと紗英ちゃんがシュンとして、「分かったわよ」といって、言われた子に謝っています。
「智花ちゃん、すごい!」
あたしは思わず智花ちゃんに話しかけていました。
「ありがとう。あなたが絵里さんね。お姉ちゃんから聞いています。お姉ちゃんのこと、止めてくれてありがとうございます。」
「智花ちゃん、そんなことないよ。紗英ちゃんも華英ちゃんも、あたしのおともだちだよ。」
あたしの幼稚舎・初等部の頃に、百合ちゃん、華英ちゃん、蒔絵ちゃん、紗英ちゃん、智花ちゃんという友達を作ることができた。
そして・・・
あれは初等部4年の遠足のときだったと思います。
多摩動物公園だったと思いますが、バスでそこに向かいました。
みんなウキウキして、行って、帰る時だったと思います。
あたしの隣に座ったのは、紗英ちゃんでも百合ちゃんでもありませんでした。
「絵里ちゃん、よろしく、ね。」
それがあまり話をしなかった美濃部葵ちゃんとの出会いでした。
葵ちゃんは、行くときには我慢していたのでしょう。なんとか頑張っていたようです。
着いて、動物園で遊んで気が緩んだのでしょう。
帰りのバスの中で気分が悪くなって吐いてしまいました。
「絵里ちゃん、ごめんね。」
自分が辛いのにあたしに葵ちゃんは謝ってきました。
「そんなことないよ。大丈夫?」
そう言って、あたしはティッシュを渡しました。
「葵ちゃん、これ使って?」
「ごめんね。ごめんね。」
あたしよりも気が弱いのでしょう。何度も何度も謝って、葵ちゃんはティッシュを使いました。
その間、あたしは時間を止めて、周りをきれいにして、一馬お兄ちゃんから(おじさんと呼ぶとマジギレするので)もらった超強力脱臭剤をばら撒きました。
その頃にはあたしはリニスと出会っていて、魔法の勉強をしていました。
夢も魔法もこの世界にはあったようです。一馬お兄ちゃんは頭を抱えていましたが。
時間停止を解除すると、周りは何事もなかったようになりました。
「葵ちゃん、これ使って。」
一馬お兄ちゃんからもらった超強力酔い止めを渡します。何でも、宇宙開発用の実験時にできた薬だとのことです。
それを飲んで、葵ちゃんは落ち着いたのか寝てしまいました。
その後、学校に到着すると葵ちゃんは起きて、元気にバスから降りました。
「絵里ちゃん。ありがとう。」
そこから、葵ちゃんとお友達になりました。
1999年7月7日・2155・東京都檜原村
私は、ベレー帽をずらしてちらりと夜光塗料が塗られたG-shockを見ます。
時間は2155。あと5分。
「そっか、あれが葵ちゃんとの出会いだったのだよね・・・」
私は回想から現実の世界へと戻りました。
初等部時代に華英ちゃんの双子の妹、孝英ちゃんと雅英ちゃんが後輩になりました。いまでもかけがえのない後輩です。
葵ちゃんの双子の妹、遥ちゃんと弥ちゃんとも仲良くしています。あのあと、
「おねえちゃん、実はバスに酔いやすいのです。ありがとうございました。」
と2人揃って言われた時には、なんて出来た妹なのだろうと思ってしまいました。
私には妹がいませんでしたから。両親も両方の祖父母も、気のいいお兄さんも数多い叔父さんたちも、そして、かけがえのないパートナー、りニスも。
でも、やっぱり妹か弟が欲しいです。一馬さんに言うと、翌日にはできそうなので言いませんが。
ちなみに気のいい隣のおばさんは、携帯型の分隊用通信機で本部と話をしています。
私は再びベレー帽を顔の上に乗せました。
1995年4月・東京都西東京市・私立学園中等部
阪神淡路大震災が発生して、大慌てしているところに発生したオウム真理教事件。
その世間が浮き足立っている中で、中等部に進みました。
「久瀬絵里です。よろしくお願いします。」
この頃には、行政府での式典をこなすようになったせいか、挨拶をするのにも慣れてきました。
「平井百合子です。よろしくおねがいします。」
この頃から、百合ちゃんは少しきつい性格を演じるようになってきました。内面では彼女ほど女の子らしい女の子はいないのに・・・
きっと、ご両親の離婚のせいでしょう。
最近、百合ちゃんは蒔絵ちゃんと一緒にうちで過ごすことが多くなってきました。
うちのママは、蒔絵ちゃんと百合ちゃんが来ることが嬉しいようです。
実の娘の居場所がありません・・・・なんてね。
「後藤田蒔絵です。よろしくお願いします。」
蒔絵ちゃんは蒔絵ちゃんで、誰の影響でしょうか?人生をひとつのゲームとして、遊ぶような考えを持ってしまいました。
きっと、一馬兄様の影響に違いありません。蒔絵ちゃんはよく一馬兄様に吉祥寺だったり、中野だったりのカフェに連れて行ってもらっているようです。
コーヒーを飲みながらいろいろお話しているようです。
「櫻井智花です。よろしくお願いします。」
華英ちゃんは、いつも紗英ちゃんの止め役だったせいでしょうか?非常に落ち着いて見えます。まるで、同い年だけどみんなのお姉ちゃんのようです。
華英ちゃんや葵ちゃん、紗英ちゃんとは別のクラスになってしまいました。
だけど、今でも友達です。
「初めまして。小田川花楓です。よろしくお願いします。」
中等部からの外部進学生でしょうか?昔のあたしを見ているように、少し自分に自信がないように小声で挨拶をする子がいました。
そして、一見するとクールに見えます。一馬兄様が言う“クールビューティー”とは彼女のようなことを言うのでしょうか?あたしは最近体重が気になりだし始めました。
でも、でも!シュークリーム分がないと生きていけないのです!
「よろしく、小田川さん。この学校では不思議なことにお互いのことを苗字ではなく、下の名前で呼ぶの。これから皆、“花楓さん”と呼ぶけど気にしないでね。」
休み時間に、私は花楓さんの席まで行って、この学校独特の呼び方について説明しました。
いるのです。この呼び方を知らないことをいいことに、外部進学生をいびる馬鹿野郎が。
「そ、ありがと。」
そう言って、花楓さんはすっと席を立って、教室をあとにしました。
「なんなの?あの子。」
隣にいた同級生が、少しばかりの非難を込めて言いました。
「まぁ、良いじゃないの?ひょっとしたら照れ隠しかもしれないし。」
それは的中しました。今、隣の席に座っている戦争狂と出会った時も、こんな感じだったのです。最も、ケイトと接するうちにそれが照れ隠しであることがわかりました。そのことが頭にあったのです。
その後、新入生歓迎会の時に事件は起こりました。
あまりにそっけない対応だった花楓さんに、クラスの数人が怒り出したのです。
それに対しても、同じ対応だったので余計彼女たちは怒り出しました。
「はいはい。そこまでですよ。」
あたしは思わずそう言ってしまいました。
“ちんじゅ”行政府でよく言っている言葉でした。
やってしまいました。そんなキャラじゃないのに・・・
出てしまった以上、より大きく火をつけるしかありません。
「はいはい。これまで!そんな言い合っている場合じゃないでしょ。みなさん。早く出ないと式に間に合いませんよ。」
そう言って、あたしはクラスの皆さんを式の会場へと誘導しました。
百合ちゃんと蒔絵ちゃん、智花ちゃんが、ウィンクをして私を見ます。
あたしはウィンクを返します。
「大丈夫?花楓さん。」
あたしの言葉に、ビクッと花楓さんが反応します。
「ダメね。小学生までの気弱で臆病なあたしを変えようと、中学から知的な女の子を目指したのだけど・・・友達なくしちゃった。」
そう言って、力なく花楓さんは笑います。どこか、泣き出しそうな感じです。
「式、サボろうか?」
「え?!」
「うそうそ。」
あたしたちは一頻りその冗談で笑い合い、少し遅れて式に向かいました。
そのあと、あたしたちは友達になりました。
どうも、花楓さんは人見知りのようです。クラスに溶け込むのにも時間がかかりました。
最も、蒔絵ちゃんと智花ちゃん、百合ちゃん、華英ちゃん、葵ちゃん、紗英ちゃんとはすぐに仲良くなりました。だんだんと、あたしを中心にしたグループが出来つつあるようです。
みんなに“ちんじゅ”と“おおくに”のことを話して、あそこでゆっくりできればいいのにと思います。
一馬兄様、科学技術のブレイクスルーは専門家に任せる!と丸投げしてしまって、第3期都市開発計画を推進するらしいです。何でも、
「俺はヒトラーを超えてやる!こうなったら、奴の夢、ゲルマニアを再現だ!」
と、過激なことを叫んでいるそうです。シュペーアがいませんけどね。
さてもう一人仲良くなった子がいます。
その子と仲良くなったのは、新入生オリエンテーションでペアを組んだのがきっかけでした。
あたしは少しおっちょこちょいなとこがあるので、少しメモを間違えてしまいました。
「ちょっと、大丈夫?ここはこうなっているよ。」
そう言って、あたしを助けてくれたのは朝比奈広海さんでした。
「ありがとう。広海さんってしっかりしているのだね。」
「妹が少し抜けていることがあって、そのせい?おかげでしっかりするようになったのよ。」
それからオリエンテーション中、よく話をしていました。
広海さんとはすぐに仲良くなりました。
また、別のクラスにいた双子の妹、小海さんとも仲良くなりました。
広海さん、小海さんの姉妹も“チームKUZE”のメンバー入りです。
1999年7月7日・2157・東京都檜原村
「全員集合!」
外で部隊員が集合し始めました。
全員、編上げブーツに迷彩柄の戦闘服、防弾チョッキを装備しています。顔はフェイスペインティングをして、ブルーのベレー帽をかぶっています。
腰にはシグ&ザウエルP228を装備し、M4カービンを構えています。
全員、屈強な兵士たちです。まるでケルベロスのようです。
「諸君、あと3分で作戦開始時刻だ。準備せよ!」
1998年4月・東京都西東京市・私立学園高等部
全員揃って高等部に上がることができました。それは、あたしが自殺した年齢になったということです。でも、もうそんなことはしません。パパもママも御祖父さまも御祖母様も、“ちんじゅ”のみなさんも、そして友達もいます。
いま、とても幸せです。
「久瀬絵里です。よろしくおねがいします。」
何回目かになる自己紹介をあたしはしました。
あたしの挨拶が良かったのでしょうか?みなさん拍手をしています。
ふと横を見ると、花楓ちゃんがやけにニコニコ笑っています。
「初めまして。小田川颯希です。高等部から通うことになりました。よろしくお願いします。」
はぁ。あたしの周りはなんと双子率が高いのでしょう。後輩も友達も双子だらけです。
花楓ちゃん。わざとあたしに黙っていましたね。お姉さん、あたしの後ろの席じゃないですか。
あたしの後ろの席で、近くに花楓ちゃんがいることもあって颯希さんとはすぐに打ち解けました。
また妹とよく似ていて、おっとりしているようですが、実に抜け目ありません。
しかも、1学期の中間テストでいきなり学年首位に躍り出ました。
「すごいね。颯希さん。」
「ううん。こことここのポイントを抑えただけだよ。」
実に的確にポイントをついてきます。
日頃はよくすっ転ぶくせに・・・と思いますが、すごく可愛いです。
最近若干、花楓ちゃんのあたしに対する目つきが怖いです・・・
1999年7月7日・2200・東京都檜原村
私は自分のG-shockに目をやりました。
2200。時間です。
ガチャリと私は73式小型トラックのドアを開け、車を降ります。
「気をつけ!」
先任軍曹の号令がします。
「みなさん。これより作戦を開始します。目標は唯一つ。天使を生きて救出することです。それ以上でもそれ以下でもありません。私はあなたがたに2つの点しか求めません。彼女たちを生きて救出すること。そして、あなたがたが死なないこと。以上です。」
「全員、敬礼!」
中佐を先頭に、屈強な40名の女性が私に向かって敬礼します。
そう、このチームは業務支援室に設置された作戦実行部隊のメンバーです。
私は、指を鳴らします。
その瞬間、私の服装は迷彩柄の戦闘服を着た姿から、黒いゴスロリ衣装を身にまとい、背中から黒い羽が生え、左腕に盾を備えた姿に変身しました。
「いつ見ても思いますが、その姿、天使は天使でも、堕天使ですね。」
ケイトが私の姿を見て、苦笑しながら言います。
「まぁ、しょうがないですね。支援射撃担当!対物ライフルを持ってきてください!」
そう言ってあたしは、バレットM82対物ライフルを持ってこさせます。
あたしはかけていた自分のフチなしのメガネを外します。
「初撃はあたしがします。あそこにいるのは、あたしの親友と後輩なのです。あたしは、あたしは、許しません。あいつの頭に12.7×99弾をぶち込んでやります。」
そう言って、あたしはバレットを構えます。
「ルシファーよりHQ。初弾をぶち込みます。」
「了解、ルシファー。そのままスタンバイ。各位、射撃開始準備!」
その言葉を合図に、全員の銃に弾倉が装填されました。
「HQより各位。Open the fire!」
あたしはバレットの引き金を引きました。12.7x99弾が奴の頭めがけて発射されました。
あたしは、あたしは、助けなければなりません。
百合ちゃんと、葵ちゃんと、遥ちゃんと、弥ちゃんを。
たとえどんな手を使っても。それが銃ではなく、戦闘機だとしても、駆逐艦だとしても。
後書き
用語説明、すっとばしたな・・・・
必要ですかね?
小ネタとかいろいろ満載なので・・・
あと、ウッドワードの「指揮官たち」読まないと・・・
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