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ハイスクールD×D 蒼き凶鳥

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原作前
第一章 大戦期
  第十八話

 
前書き
九月はプライベートが忙しく、全く更新できませんでした。
申し訳ありません。 

 
目が覚めて、映る景色は
「これはまた、懐かしいな」
前世の俺の部屋だった。
起き上がり部屋に備え付けられていた鏡を見ると、そこには鏡夜・N・ハルファスとしての俺が映っていた。
「とりあえず、今までのことが全部夢オチなんてことはなさそうだな。 それじゃあ……、リビングにでもいってみるか」


「やっぱりここは貴方の仕業でしたか、神様」
リビングに行くと俺を転生させた神様がいた。
「久しぶりじゃのう、今回は少し話があっての」
テーブルに神様と向かい合う形で座る。
「で、話っていうのは? っていうかここにいるってことは、俺は死んだのか?」
「いやおぬしは死んではおらぬよ、まぁ瀕死ではあるがの。 そのおかげといってはなんじゃが、おぬしをこちらによぶことができた」
そうか俺は死んではいないのか、でもまぁ瀕死って……。
喜んでいいのか、なんやら。
「話というのは二つほどあっての、一つ目は転生者が世界に与える影響じゃ」




「転生させる前にも言ったが、人間の魂を別の世界に転生させるのはわしら神も、初めての試みじゃった」
お茶を飲みながら神様は語り始める。
「ああ、だから俺の転生も実験的な意味合いもあったんだろう」
「そうじゃ。 で、わかったことじゃが人間の魂そのものを転生させることは、あまり影響がないことがわかった。 世界のキャパシティから見れば人間の魂一つ程度は、誤差の範囲内ということじゃな」
人間だけでも何十億、すべてを合わせれば何百億、何兆、何十兆もの命が生きている世界の懐の大きさは想像以上ということか。
「問題は、転生するさいに授けた能力じゃな。 特に異能にあたるものじゃ」
「異能ってことは俺で言うとガンダムか?」
他に貰ったのは異能と呼べるものではない。
「そうじゃな。 異能といっても世界によって大きく違ってくる。 魔法が当たり前の世界に、魔法が使えるようになったとしてもそれは異能ではない。 わしらの言う異能とは、その世界の理から外れた能力のことをいう」
確かに世界の理から外れた能力は世界から見たら異端もいいところだろう。
「この世界の理から外れたモノを世界に組み込もうとすると少なからずその異端の因果が流れ込む。そしてこの因果が、世界に影響を与える」
「なんとなく、概念的なのはわかったけど。 具体的にどうなんだ?」
因果とか言われるとさすがにイメージしづらい。
「ふむ、噛み砕いてしまえば、因果が流入することでその世界に新たなルールを追加する感じじゃな。 魔法がない世界では魔法という因果がないから、魔法は使うことはできない。 じゃが、魔法という因果が流入することでその世界に魔法というルールを追加し、魔法を使うことができるようになるということじゃ」
なるほどね、ルールの追加か。
「まぁ、この話は基本我ら神側の話じゃ。 お主が気にするようなものではない。 この話をしたのは次の話に関係あるからじゃ」


「さて、二つ目の話をしようかの。 内容はお主も気づいていると思うが、突如現れた。 お主がバルバトスと呼ぶアレについてじゃ」
そうだ俺はあいつに……。
「あれはいったいなんなんだ神様? あいつを見たとき、俺はあいつを知っているような気がしたんだが」
「やはり、そう感じたか。 お主が既視感を感じるのも無理はない、なぜならあれは……。 お主を殺した神なのじゃから」


「ちょっと……、待ってくれ。 俺を殺した、神!? でもアイツは……」
「うむ、本来ならば神としての権利を剥奪され、死より厳しい罪を二十億年ほど執行されている予定じゃった」
予定って、それじゃあ。
「俺を殺した神はその罰を受けなかったのか!?」
「いや、奴は罰を受けた。 しかし誤算だったのは、奴に協力者がおったことじゃ」
そんな、アイツに協力者がいたなんて。
でも、俺が死んだとき……、アイツは一人だったはずだが。
「お主が考えている通り、計画も実行もヤツ一人がやったことじゃ。 今言った協力者とは、ヤツの熱狂的信者じゃな」
熱狂的信者?
「なんだそのカルト教団みたいなのは」
「カルト教団か、ある意味間違ってはおらんな」
「じゃあアイツは、そのカルト教団の教祖様ってことか?」
今の俺の顔は呆れているのか、戸惑っているのかわからない表情だろう。
「若手の神にとって、この神の仕事は退屈なのじゃ。 そんな中、アイツの掟に背いた行動はその若手の神から見れば羨望の的なんじゃよ」
要するに、勝手に祭り上げられているってことか。
まぁアイツも仮にも神だったわけだし、間違ってないのか?
と、若干現実逃避なことを考えていると、
「ヤツが罰を受けているところに、その信者たちは侵入しヤツを解放した。 そして信者たちはお主のせいでヤツが罰を受けたと説明したそうじゃ」
ん?
アイツが捕まったのは、アイツの自業自得のはずだろう?
「その通りじゃ。 じゃが、そんなことは実際ヤツにとってどうでもよかったのかもしれんの。 最終的にヤツは助けに来た信者たちの力を奪い、お主たちの世界に降り立った。 恐らくは手始めにお主を殺すためじゃな」
「……なぜ、俺を殺すために?」
そう俺がつぶやくと神様は深いため息の後にこう言った。
「今までの話を聞いて思ったかもしれんがアヤツ等の行動は最早子供の癇癪と変わらん。 おおかた自分は力を失ったのにもかかわらずお主は力を授かり、転生したのが許せなかったんじゃろう」
あいた口が塞がらない。
まさかそんな理由で再び命を狙われようとは……。


「ともかく、暴走したヤツは危険じゃ。 本来ならば我々が対処すべきなのじゃが……」
「わかってる。 神様は基本手を出せないんだろう。 アレは……、俺がなんとかするさ」
俺がそう言うと神様は申し訳なさそうに顔を伏せた。
「すまんの……。 ヤツを倒すとしたら並のMSではダメじゃ、しかしハルファスガンダムならば倒せる可能性はある」
ハルファスガンダム……、俺が望んだガンダムか。
「アレはお主の魂の形じゃ、お主が成長すればするほど同様にハルファスガンダムも成長する。 今のお主とハルファスガンダムならば、ヤツを倒せるはずじゃ」
ハルファスガンダムが俺の魂の形か。
俺は胸に手を当て、何かを確かめるように目を閉じた。
そして感じた、この胸の奥に蒼い炎を……。
「神様俺はそろそろ行くよ。 行ってアイツを倒してくる」
「そうか……、行くか。 お主と直接会うのは、これが恐らく最後じゃろう。 ワシ個人はお主に会えてよかったと思っておる」
「俺もだよ神様。 過程はどうあれ、俺は貴方に会えてよかったと思ってる。 ありがとう」
その感謝の言葉は神様には意外だったようで。
「まさかお主からその言葉を貰うとはの……。 さて、鏡夜よ。 お主が次目覚めるときには元の世界に戻っておる。 気を付けるんじゃぞ」
「ああ、貴方に貰った命だ。 せいぜい長生きするさ」
そう言うと俺は抗いようのない眠気に襲われ、眠りについた。
意識を失う直前、最後に聞いたのは、
「おやすみ、我が友」
神様の言葉だった。







目が覚める。
視界に映るは無機質な白い天井と、セラの顔だった。
「鏡……君?」
その声は嬉しさと心配が入り混じっていた。
「やぁ、おはようセラ」
だから俺は安心させようと声をかけたのだが……。
「鏡君!!」
セラはいきなり抱き着いてきた。
ボロボロの俺の身体に。
「い゛っ!? セラ、ちょっとまとう!! 俺まだ怪我直ってな」
「鏡君! 鏡君!! 鏡君!!! 鏡君!!!! 鏡君!!!!! 鏡君!!!!!!」
しかしながらセラの力は弱まることはなく。
「ぐおっ、この……、落ち着けぇっ!!」
「ふにゅ!?」
しょうがないので、セラをチョップで落ち着かせることにした。


「まったく、嬉しいのはわかるが少し落ち着いてくれ」
「うう、ゴメン鏡君」
あれから少ししてようやく落ち着いたセラは涙目で頭を押さえていた。
それにしても、と、まじまじとセラを見る。
そして思う、いつからだろう自分の中で彼女の存在がこんなにも大きくなったのは。
いつからだろうこんなにも彼女を思うようになったのは。
いつからだろうこんなにも彼女を愛おしく思うようになったのは。
これまで、その気持ちを彼女に対して言葉にしたことはなかった。
だけれども……。
「セラ」
「? なに鏡君?」
俺は今、その気持ちを言葉にして彼女に伝えることにした。
「愛してるよ」


その言葉を聞いたセラの顔は、まさにハトが豆鉄砲を喰らったような感じで。
しかし次第にその顔は歓喜に満ち。
「私も、私も愛してるよ。 鏡君」
そう言葉を発した。
そして俺とセラは、触れるだけのようなキスをした。
 
 

 
後書き
最後の方は急すぎましたかね? 
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