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ハイスクールD×D 蒼き凶鳥

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原作前
第一章 大戦期
  第十七話

二天龍との戦いが終わったのち、悪魔も天使も残った力を振り絞るように連日戦い続けていた。
そんな中、天使側に大きく食い込んだ最前線に赤い機影があった。
その機影は緑色のモノアイを光らせながら、周りの天使たちを蹂躙していく。
MSN-04 サザビー、それがその機体の名前だった。




(キリがねぇな……)
俺は群がってくる天使を薙ぎ払っていくが、倒しても倒しても次々にでてくる。
(ん、あれは……なんだ? 巨大な、槍?)
視界には全長数十メートルを超える巨大な光の槍が何本もあった。
「あの槍からは嫌なプレッシャーを感じる。落としておくか」
俺は腹部の拡散メガ粒子砲によって、槍の一本を破壊する。
そして、破壊された槍はその中に溜めた膨大な量の光をまき散らしながら爆発した。
「そうか、あれだけの大きさの槍だ。破壊されれば辺り一面に光がまき散らされるということか、悪魔にとっては致命的だな。もはや、槍じゃなくてミサイルだな。しかも巡航ミサイル」




すると光のミサイルは次々と動き始めた。
「このまま悪魔勢の中心部に向かわせるつもりか!? 並の悪魔なら迎撃されたときの光で消滅させられるぞ」
そうしている間にも光のミサイルは速度を上げていく。
「このまま行かせるわけにはいかんな。行け……ファンネルたち、特に光量の高いミサイルだ……当たれぇぇっ!!」
叫びと共に放出されたファンネルは、意思を持ったように小刻みに動きながらビームを放ち、光のミサイルを撃墜していく。


全てのミサイルを撃墜したとき、異変が起こる。
(四番のファンネルの反応が消えた? 撃墜されたのか……)
撃墜されたファンネルのあったところへ目を向けるとそこには、
「おいおい、聖書の神じきじきにお出ましかよ……」
右手に剣を携えた聖書の神がいた。




「なぁアンタ、その右手に持ってる剣はなんだ? エクスカリバーよりもヤバイ雰囲気なんだが」
俺が冷や汗を流しながら聞いてみる。
「……この剣か。この剣に名はない。だが、いうなれば神剣だ」
「神剣?」
「そうだ、エクスカリバーなどは所詮聖なる剣だ。しかし、この剣は神が扱いし剣。その威力は、魔王でさえも恐れるほどだ」
よーするに、悪魔にとってはただでさえ危険な聖剣なんかよりも更に危険ってことだな。
恐らく俺も、MSを纏っていなければ触れただけで消滅してしまうだろう。
「そんなたいそうな剣をなんで俺なんか一介の悪魔に使うかね……」
「すでに君の実力は現在のルシファーと同等、いやそれ以上といえるかも知れない。それに君は人間と悪魔のハーフだったな、しかも家の能力とその身に宿した神器が混ざり合って今の君の能力となっているとの話だが。ほぼ全ての神器を創りあげた私でも、君が宿したという神器に検討がつかないのだよ……。そのようなあまりにも危険な存在を放っておくわけにはいかない」


そう言って聖書の神は神剣を構え、襲い掛かってくる。
俺は神剣をシールドで防ぐが……。
「うそだろっ!?」
ガンダリウム系合金によって非常に高い防御力を誇るシールドはバターのように切断された。
神剣の危険度を実感した俺は、ビームショットライフルとファンネルを使って聖書の神を引き離す。
「クソッ!! なんだあのチート武器は!? あんなのがありながら、なんで戦争の初めから使わなかったんだ?」
「この剣は普段、奇跡などを起こすシステムのコアユニットの一つとして使われている。それを使うには、様々な事前準備が必要なのだよ」
親切にも疑問については聖書の神が答えてくれた。
「ちなみに、この剣はこのようなこともできる」
そう言って聖書の神は神剣から光の斬撃を飛ばしてきた。
その斬撃は亜光速の速さで進んでいく、そして聖書の神は続けざまに斬撃を飛ばしてくる。
俺は斬撃をかわしていくが、とうとう直撃をくらってしまった。




神剣の斬撃がサザビーに直撃し、爆発した。
しかし、聖書の神は油断しない。
これまで幾度となく、今対峙している若い悪魔はこのような状況を切り抜けてきたからだ。
それに、まだ彼は自信の力の象徴ともいえるガンダムを使っていない……。
すると爆風の中から一つの影がとびだした。
その影は白と黒の二色に彩られ、左肩には長い棒状の板のようなものが六つ付いている。
そしてなによりも特徴なのは、頭部のV字アンテナとツインアイ。
「ガンダム、か」
RX-93 νガンダムが戦場に姿を現した。


「あやうく即死するところだった。その剣、危険すぎるだろう」
俺はぎりぎりのところでνガンダムに換装することに成功したが、あと少し遅れていたら俺は死んでいただろう。
(あんなの相手に持久戦なんてやったらコッチの精神が持たない……。だったらいつも通り、短期決戦で仕留める!!)
「いけっ! フィン・ファンネル!!」
俺はフィン・ファンネルを射出し、さらにビームライフルを乱射しながら聖書の神に接近する。
そのまま俺はバックパック右に装備されたカスタム・ビームサーベルを引き抜き斬りかかる。
が、聖書の神も神剣でもって防ぐ。
神剣とカスタム・ビームサーベルは互いにぶつかり、辺りに凄まじい衝撃と共に拮抗する。
「なんだと!?」
聖書の神が驚きの声を上げるのも無理はない。
普通ならば、いくらνガンダムのカスタム・ビームサーベルだったとしても拮抗することはない。
しかし俺はこのνガンダムに搭載されたサイコ・フレームを使い、むりやりビームサーベルを強化したのだ。
「このサーベルからは大きな意思の力を感じる。まさか、ガンダムは使用者の意思の力を反映させることができるのか!?」
なにやら聖書の神が微妙な勘違いをしているがそれを訂正している暇はない。
俺は鍔迫り合いの状況からいきなり宙返りをし、バックパックにマウントされたニューハイパーバズーカを発射する。
聖書の神に直撃したバズーカによって発生した爆風の中、俺はマニュピレーターに搭載されているダミーを発射し、辺りにダミーを展開する。


爆風は聖書の神が神剣の一振りで散らされてしまったが、すでに周りにはたくさんのダミーがある。
突然増えた敵の姿に一瞬驚いた様子の聖書の神だが、すぐにダミーだと気づく。
だが、ダミーの影にフィン・ファンネルが隠れていることには気づかなかったようだ。
俺はすかさずダミーの影からフィン・ファンネルを使い、全方位からビームを放つ。
さすがに全方位は対応できなかったのか、聖書の神の身体にいくつかのビームが突き刺さる。
「ッ小癪な!!」
聖書の神は神剣を無造作に振り回し、発生した衝撃波でダミーを吹き飛ばす。
そしてそのまま神剣にこれまでにないほどの力を溜め、斬撃を放ってくる。
俺はフィン・ファンネルを周りに展開し、四角錐型にバリアーをはる。
更にフィン・ファンネルをサイコ・フレームで強化する。
「νガンダムは伊達じゃない!!」
ぶつかった斬撃によってフィン・ファンネルバリアが破られそうになるがサイコ・フレームが俺の意思と共振し、緑色の光を発した。
光は一度空を覆い、その後包み込むように神剣に集まっていく。
「この神剣の力を、抑え込むだとっ!?」
光に包まれた神剣は抵抗するかのようにオーラが漏れ出すが、サイコ・フレームから発せられる光を振り払うにはいたらない。
俺はフィン・ファンネルを再度展開し、攻撃を加えようとするが異変が起こる。




ソレは突然現れた。
白い鋼鉄の身体にガンダムを彷彿とさせるツインアイとそのうえについたモノアイ。
最大の特徴は合計十二もの孔雀のような羽根。
ソレは周囲を見回すようにモノアイを動かす。
そしてモノアイは俺を見つけ、じっと見続ける。
俺はソレに見覚えがある、だがなぜソレがこの世界にいるのかが理解できない。
「バル……バトス、だと!?」
俺は無意識にソレの名をつぶやいていた。
『オマエガ……』
ソレ、いやバルバトスはこちらを見つめたまま機械的な声を発する。
バルバトスはそれ以降しゃべることなく、変形する。
変形した後の姿はまさに孔雀。
広げられた羽根はエネルギーを生じさせ、その全てを孔雀の頭にあたる部分に収束し、その膨大なエネルギーを解放する。
解放されたエネルギーはビーム状になり、こちらに一直線に向かってくる。


俺は神剣を封じていたサイコ・フレームの光をビームにぶつけるが、一瞬にして光が打ち消される。
勢いをまったく失わないビームを防ぐためにフィン・ファンネルバリアを展開する。
しかし一瞬で打ち破られる。
直接シールドで防御するが一秒とたたずにシールドは融解し、俺の視界は光に包まれ。
俺は意識を失った。
 
 

 
後書き
あと数話で大戦期は終わります 
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