仮面ライダー エターナルインフィニティ
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第九十二話 善忍と悪忍その十二
「あんたの胸はな」
「けれど日影も見られてますわよ」
「だからわしは気にせんのじゃ」
日影は今もこう言う。
「何ちゅうか気になる方がわからんわ」
「私は気になるけれどね」
未来はその日影を少しむっとした顔になって述べた。
「だからもっと大きくもなりたいのよ」
「おい、また胸の話かよ」
「悪いの?」
表情をそのままに焔にも返す未来だった。
「ある人間にはない人間のことがわからないのよ」
「だからその話はするなよ」
絶対にだというのだ。
「言ったらきりないだろ、中身の話だってあるんだからな」
「中身を言えば私もどうしようもないわよ」
ここでまた言ったのは春花だった。
「外はともかくとして」
「だから言わない約束だろ」
「わかったわよ、じゃあね」
「多分これからその話でかなり賑やかになるからな」
だから余計にだというのだ。
「御前もそれは心当たりあるだろ」
「ええ、一人ね」
「あたしなんか何人いるかな」
それがだというのだ。
「わからない位だからな」
「あら、それはいいですわね」
詠は横から聞いて言った。
「何人もおられるなんて」
「いや、たまたまだからな」
「わたくしはどれだけおられるか」
詠はこのことには困った顔であった。
「不安ですわ」
「そんなに不安になることかのう」
日影は詠のその言葉に首を捻って返した。
「誰かおるじゃろ。今おらんでもな」
「それでもというのでして・」
「出て来るじゃろ、誰か」
そのうちにだというのだ。
「むしろわしの方が心配じゃ」
「そうですの」
「そうじゃ、あんた以上にな」
こう表情のない感じで詠に話してだった、今度は焔と春花を見て二人にはこう言った。
「まあ妬んでもしゃあないな」
「というか日影感情があるのか?」
「妬むのは感情よ」
「そのつもりだったんじゃがのう」
だがそれがだというのだ。
「最近変わったんかも知れんのう」
「随分変わったわね」
未来はその右目を驚かせていた、そのうえでの言葉だった。
「日影に心が出来るなんて」
「そうかのう」
「ええ、というか戻ったっていうべきかしら」
その感情がだというのだ。
「まあとにかくね」
「とにかくか」
「そう、アルバイト行きましょう」
未来は自分から言った。
「メイド喫茶にね」
「何であそこになったんだ?」
ここでだ、また言う焔だった。そのバイト先についての話だ。
「自然になった感じだが」
「面接に行ったらそこだけしか受からなかったからでしょ」
その焔に春花が答える。
「たまたま五人共そうなって」
「顔がいいとか言われたな」
「そんなこと言われたのはじめてだったから」
未来は顔を赤らめさせて両手を頬に添えて語る、かなり嬉しそうだ。
「乗ったけれど」
「乗せられてませんこと?お店のオーナーに」
「それはそうかも」
詠に言われてだ、未来はすぐにj表情を戻して述べた。
「私達それぞれのキャラでいいって言われてるし」
「無愛想でもええのは凄いのう」
日影もその店にいる、だから言うのだった。
「有り難い店じゃ」
「あたしも男系でいいってな、まあバイト料もいいからな」
「要は生きる為ですわ」
詠はシビアなことをあえて言った。
「もやしの為にも」
「肉もあるから安心しろ」
焔はその詠に少し呆れて突っ込みを入れた、
「もやしと韮を炒めるからな、今晩は」
「ではそれを楽しみしていますわ」
「ああ、期待していてくれよ」
焔は左手の拳を頭の高さで上に出してだった、そうして。
その左手に右手を添えて会心の笑みを作ってみせる。悪忍の五人もまた団欒の時を過ごしていた。戦いの前に。
第九十二話 完
2013・6・6
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