久遠の神話
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第四十九話 スペンサーの剣その十六
「一気に死んでもらう。それでいいな」
「有り難い。どうせ死ぬのならな」
竜もスペンサーに応えて言う。
「苦しまないに限る」
「だからだ。そうさせてもらう」
「その心に感謝する」
竜は敗北を受け入れて述べた。
「ではだ」
「消えてもらう」
スペンサーはその剣をまた振り上げてそれから振り下ろした。するとそれで。
竜は完全に押し潰された、だが血や内臓といったものは出ずに。
身体全体がひしゃげたその瞬間に姿を消した、光を周囲に放ち全てを消した。
後には黄金だけが残る。スペンサーはその黄金を見ながら言った。
「ボーナスとしては多いな」
「そうですね。それだけで何十万ドルとありますね」
ここで工藤が彼に言ってきた。
「まずは勝利を祝わせてもらいます」
「どうも。それではですが」
「黄金のことはご安心下さい」
工藤はそれには何の興味もないといった口調で述べた。
「それは貴方のものですjから」
「そう言って頂けますか」
「どうぞお受け取り下さい」
彼のものだから当然だという口調だった。
「その様に」
「わかりました。それでは」
「はい、それでなのですが」
工藤は態度をあらためてきた。高橋は彼の横に来ていた。
そのうえで二人並びあらためてスペンサーに対して言ったのだった。
「貴方は我々とはどうされますか」
「剣士としてですね」
「はい、どうされますか」
「私は軍人です」
スペンサーは黄金を取ってから二人に貌を向けて答えた。
「軍人とは何か」
「国家の為に戦う人間ですね」
「その通りです」
こう答える。答えると共に身体も向ける。
「そして私がこの町に来た理由は」
「剣士としてですね」
「私は政府、大統領から直接の命令を受けてきました」
その核心を話すのだった。
「そして来ました」
「つまりそれは」
「私が剣士として生き残れば私が願うことが適えられます」
「アメリカが世界のリーダーに永遠でいられることも」
「ご察しの通りです」
「そのことを日本政府は知っているでしょうか」
工藤は心で身構えながらスペンサーに問い返した。
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