転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0354話
アルビレオと小太郎の戦いは最初から激しい動きがあった。試合開始直後に小太郎が懐に潜りこもうと瞬動を発動。だが、アルビレオはその入りを的確に見抜いてカウンター気味に顎へと一撃を放ったのだ。それを食らった小太郎はアルビレオから距離を取って態勢を整えようとするが、顎の先端を打ち抜いたその一撃は小太郎の脳を揺らすのに十分な威力を持っていた。
『おおっとぉっ、クウネル選手の一撃! たった一撃で犬上選手の足にきているぞ!』
朝倉のその声を聞きながら小太郎へと挑発するように自分の足下にも及ばないと告げるアルビレオ。……いや、本人にしてみれば確かな事実をそのまま口に出しているだけであって別に挑発のつもりも無いのだろう。
「あ、馬鹿。そこは一端防御に集中して足の回復を待つ所だろう」
だが、頭に血の昇りやすい小太郎にしてみればアルビレオのその言葉を聞いた後は攻撃という選択肢しか残っていなかったのか、予選でも見せた分身の術を使って襲い掛かっていく。
ネギがエヴァに受けてる特訓に参加した長瀬の分身の術を見て、独学で身につけたらしい。その辺の戦闘力や成長速度はさすがに狗族の血を引いているだけはある。だが、足の動きがまだ完全には回復していない状況で無理に攻撃へと移った為にどうしてもその動きは多少の鈍さを感じさせた。
アルビレオもそれを理解しているのか分身も合わせて7人の小太郎の攻撃を悉く回避してみせる。
「くそがぁっ!」
男の意地とでも呼ぶべき叫びを上げ、瞬動を使ってアルビレオの背後から一撃を繰り出す。それは本来なら回避が不可能な筈の一撃だった。だが。そう、だがしかし。
「やはりな」
アルビレオのスキル覧にあるコピー体。それがどんな効果を持つスキルなのかは分からないが、俺との会話をしてる時に瞬時に消えたりしたのはコピー体の効果で間違い無いだろう。
実際、今も一撃を食らったと思ったら突如姿を消して小太郎の後ろへ瞬時に現れているが、瞬動や転移魔法の類でないのはこうして見ている限りでも明らかだ。
小太郎の背後に現れたアルビレオはその腹を殴って空中に浮かせ、宙に浮いている無防備なその身体へと掌底を放つ。
ドゴッ! という鈍い音と共に場外まで吹き飛ばされる小太郎。
「……妙だな」
コピー体というスキルの効果で、瞬時に小太郎の背後に回り込んだのは理解出来る。だが、小太郎が一撃を食らわせたにも関わらず一切のダメージが無いというのは……いや、無かった事になっているというのはどういう訳だ? あるいはあれもまたコピー体の能力と考えるべきか。
「俺は、こんな所で負ける訳にはいかんのやっ! 次の戦いでアクセル、そして決勝でネギに勝つ為にも!」
己を鼓舞するかのようにそう吠え、狗神――操影術でいう使い魔――を7匹程創りだして解き放つ。それぞれが違う軌道を取りながら、尚且つ多少の時間差を付けてアルビレオへと迫る。獣の本性を剥き出しにしたかのような狗神の攻撃だったが、それすらも小太郎にとってはフェイントだったのだろう。一瞬ではあるがアルビレオが狗神に目を取られた瞬間を読んだかのように瞬動で懐へと入り、その両の手に狗神を出現させながらアルビレオの腹へと一撃を叩き込む! しかし……
「今の一撃は貴方の意地を感じさせる、なかなかの一撃でした」
小太郎渾身の一撃を食らったにも関わらず、全く攻撃の効いた様子のないアルビレオ。そのまま一撃で小太郎を床へと叩き付ける。
「決まったな、やっぱりあれはコピー体とかいうスキルの能力だろう。ダメージの無効化……いや、キャンセルか? そもそも出場しているのがコピーである以上は本体に攻撃は届かないんだろう。……そう。俺以外は、な」
分身、あるいはコピー。そんな防御手段を持っている相手に対して使える俺の奥の手ともいえる存在、それが精神コマンドの直撃だ。実際に使ってみないとどういう効果をもたらすのかは分からない。コピー体を通してどこかにいる筈の本体にダメージを与えるのか。あるいは、コピー体と本体を入れ替えるなんてトンデモ展開になるのか。だが確実に言えるのはアルビレオに対して何らかの効果が間違い無くあるという事だろう。
そんな風に準決勝で戦うであろうアルビレオ対策を考えていると、試合会場の方から強烈な闘気が湧き上がってくる。
あれは……以前俺と戦った時に見せた獣化か。しかし、この人目の多い武道会で使うのは……
そう思った次の瞬間、アルビレオの放った重力魔法の一撃で気を失った小太郎はそのまま床へとその身を横たえて気を失っていた。
『きょ、強烈な一撃! 何がどうなったのかは分からないが、村上選手気絶です! 勝者、クウネル・サンダース選手!』
朝倉の放送が周囲へと響き渡り、観客が盛り上がっていく。
そんな中、アルビレオは気絶している小太郎に一言二言囁いてこちらへと向かって来た。
「お楽しみ頂けましたか?」
「さて、な。だがあんなんでも一応俺のルームメイトなんだし、準決勝で借りは返させて貰おうか」
武道大会のスタッフに運ばれていく小太郎を横目に、アルビレオへと挑戦するように言い放つ。
「ほう、貴方はそういうのに余り拘りを持たないタイプだと思ってたんですが……まぁ、いいでしょう。では準決勝でお待ちしていますよ」
そう告げて去っていくアルビレオの背中を見送っていると、ふと背後に覚えのある気配が1つ。
「アクセル坊主、ここは拙者が。アクセル坊主はこのすぐ後に試合でござろう?」
長瀬のその言葉は、俺を気遣うというよりは小太郎を心配故にといった所か。
この試合で使った分身を見ても分かるように、小太郎は半ば長瀬の弟子といってもいいような存在だ。……本人にその自覚はないだろうが。
それだけに圧倒的な力量差で負けた今の戦いで小太郎の心が折れないかどうか心配なんだろう。
それに俺の試合がこのすぐ後だというのも事実だ。なら取るべき手段は1つ。
「分かった。頼む」
「うむ、任せるでござるよ」
そう告げると、次の瞬間には長瀬の姿は俺の後ろから消えていた。
アルビレオのコピー体の能力と似たようにも見えるが、長瀬のそれは純粋に修行の結果身につけたものだ。……まぁ、コピー体とかいうのも修行の結果身につけたのかもしれないから、どちらがどうとは言えないが。
「アクセルさん、いよいよ貴方と私の戦いの時です。今日こそ貴方の性根を叩き直して差し上げますので覚悟して下さい。この影使い、高音。この前のような不覚は2度とありません。近接戦闘・最強モードというものをお見せします」
魔法使い然としたローブに身を包んだグッドマンが俺に近付きそう宣言する。
「近接戦闘・最強モード?」
「ふふふ。それは試合が始まってからのお楽しみです」
意味あり気な笑みを浮かべ、試合会場へと進み出るグッドマン。その後を付いていくように俺もまた試合会場へと進み出る。
『さぁ、2回戦第2試合です。選手は一部で麗しのお姉様として名を馳せつつある高音・D・グッドマン選手、対するは何でこの大会に参加してる子供は強いのか!? アクセル・アルマー選手です。では、試合開始!』
朝倉の放送で観客が盛り上がる中、俺は高音と向き合いながらジリジリと距離を詰めていた。――麗しのお姉様云々の辺りでグッドマンのコメカミがピクピクとしていたが――
そもそも現状で俺が使えるのは炎と影の魔法とエヴァの闇の魔法のみ。しかも一応近右衛門に雇われている俺としては魔法の秘匿義務があるので、一際派手な炎の魔法は基本使用不可。でもって影の魔法に関してもルールで詠唱が禁じられている以上は使えるのは無詠唱の影槍のみ。あとは闇の魔法の中でも基本中の基本である闇き夜の型か。……まさか、異形化をここで使う訳にもいかないしな。いや、この麻帆良なら異形化を使っても実はあっさりと納得してくれそうな気もしないでもない。あるいは、武器を用意しておくべきだったか。刃物とかが不可でも、警棒とかならOKだろう。ま、それは次のアルビレオとの戦いに回すとしよう。
「どうしました? 前回と違って妙に消極的ですね。何か企んでるんですか?」
挑発と牽制の意味を込めての発言だろうが、軽く肩を竦めて受け流す。
「さて、どうだろうな。そっちこそ今日は妙に大人しいじゃないか」
「……いいでしょう。では、先程も言った私の近接戦闘・最強モードをお見せしましょう!」
俺の挑発に乗ったのか、あるいはただ単純に睨み合っているだけの状況に嫌気がさしたのか。ともかくそう宣言したグッドマンは被っていたローブをバサァッと脱ぎ捨てる。
『おおっとぉっ、何か凄いのが出たぁっ!』
思わず朝倉がそう叫ぶのを聞きながら、グッドマンを観察する。
ゴスロリっぽい衣装に身を包んだグッドマン。それはいいのだが、何とその後ろに巨大な使い魔がそびえ立っていたのだ。
「行きますよ!」
グッドマンがそう言った途端、使い魔から伸びていた影の触手とでも呼ぶべきものが俺の方へと襲い掛かってきた。
「ちぃっ!」
瞬動を使って一端退避。すると次の瞬間にはつい数瞬前まで俺がいた場所を影の触手が叩き付けていた。
くそっ、やりにくいな。もしかして俺のスライムと戦った相手もこんな気持ちだったのか?
「けど、その手の攻撃は懐に入れば!」
自分でスライムを使ってるだけに、弱点も大体予想が付く。再び襲ってきた触手の攻撃を回避しつつもさらに前へと進み出る。以前戦った時と、今のこの戦闘スタイル。基本的に前線は使い魔に任せて自分は後衛からそれを援護するというのがグッドマンの戦法なのだろう。つまりは……
「ここだ! 『戦いの歌!』」
無詠唱で戦いの歌を発動し、上空から覆い被さるように襲い掛かってきた触手を斜め前へと移動して回避。右から襲ってきた触手を右手の力で強引に払いのけ、ガードの空いたグッドマンの鳩尾を狙って左拳を叩き込む!
だが、俺の突き出された拳はグッドマンの後ろにいる使い魔のマントのような物がやんわりと受け止めていた。
「……何?」
「残念ですがこの最強モードに生半可な物理攻撃は効きません。そして!」
微妙に嫌な予感がした為に大きく1歩後退する。だが、グッドマンはそれに構わずに振り上げた拳を構えて……何故だ? いや、違う。後ろの使い魔か!
「はぁっ!」
振り下ろされたグッドマンの拳。当然それはこちらには届かないが、その後ろの巨大な使い魔は別だ。さらに1歩、2歩、3歩と素早く後退してようやく使い魔の攻撃範囲外へと退避する。
同時に振り下ろされた使い魔の拳は、床へと叩き付けられていた。
「よく分かりましたね」
「そんな見え見えの行動ならな」
しかし、どうするか。一番簡単なのは精神コマンドの直撃を使う事だ。そうすればあの程度の防御なんかは濡れた紙の如くあっさりと突破出来るだろう。だが、恐らくアルビレオも今の俺の戦いを見学している筈だからここで手の内を見せるのは余り嬉しく無い。となると……
それまで使用していた『戦いの歌』を解除して再度グッドマンと向き合う。
「……どうしたんですか? もしかして降参でも?」
「外れだ」
グッドマンの言葉に小さく首を振り、口を開く。
『闇き夜の型』
そう呟いた途端、俺の両腕に紋章の様な物が浮き上がり、肌が浅黒く変化する。
『高音選手が人形っぽいものを出したかと思ったら、次はアクセル選手が黒くなったぁ! そしてその両腕には何やら怪しい紋章が浮かび上がっているぞ!』
「愛」
朝倉の声を聞き流しながら、小さな呟きで精神コマンドの愛を発動させる。同時に、操影術を使って影を右手へと巻き付ける。これは高音が使っていた操影術の使い方だが真似をさせて貰おうか。
「……行くぞ」
「っ! いいでしょう。堂々と迎え撃たせて貰います!」
正面から向かい合った俺とグッドマン。返事を聞いた瞬間には瞬動を使ってグッドマンの正面へ。そこには今までと同じように使い魔のマントがこちらの攻撃を受け止めるように展開していた。
俺の考えたこの自動防御を突破する方法は至極簡単。単純に力で押し破る!
「はぁっ!」
闇き夜の型により出力50%アップした状態での瞬動と、加速の効果によって上がった速度。集中の効果により拳を打ち込むべき場所に狙いを定め、熱血と必中、闇き夜で増した攻撃力の全てを込めて使い魔が展開したマントへと拳を打ち込む!
ドゴッという聞き苦しい音が周囲へと響き渡り……そのままグッドマンは床へと倒れ込んでいく。
俺の一撃が使い魔のマントを破壊し、同時に使い魔本体までをも破壊し、グッドマンの腹へと埋まったのだ。
『これは……高音選手、気絶です! 勝者、アクセル・アルマー選手!』
朝倉の言葉を聞きながら、グッドマンの方へ歩み寄る。
「……ん、私は……あぁ、負けたのですね。アクセル君、私の完敗です」
その言葉を聞きながら、懐に手を入れた振りをして空間倉庫からバスタオルを取り出してグッドマンへと掛ける。
「……え? あ、キャアアアアアアッ!?」
自分の姿にようやく気が付いたのだろう。バスタオルで全身を隠すようにして覆い隠す。そう、何とグッドマンは気絶したその瞬間に何故か全裸になっていたのだ。
「せ、責任取ってくださーーーーーいっ!」
そんな声を聞きながら、試合会場の応援席から向けられる鋭い4つの視線にただ耐える俺だった。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
異形化
撃墜数:380
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