IS《インフィニット・ストラトス》 ~死神の序曲~
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本編
雷の鳴る夜
前書き
どうもです!
今回はシャルとレイくんの話になっております。
ではどぞ!
~レイside~
僕は織斑先生と話した後に夕食を取り、部屋に戻っていた。
それにしてもマズったかなぁ…。
でもバレたら不味いことはうやむやには出来たから良いか。
そう考えていつもの日課であるメールチェックをしているとかんちゃんからメールが着ていた。
えっと、何々?
『今日はたぶん帰れない。朝まで』
うん、簡潔で分かりやすいね。
たぶん今度のトーナメントまでには打鉄弐式を仕上げようとして必死なんだろうなぁ…。
でも1人では絶対煮詰まるでしょ。
束や技術者じゃない限り。
特にマルチロックオンシステムによる自動追尾するミサイルはキツいんじゃないかなぁ…。
まあ束は完成させていた筈だけど。
確か僕のデスサイズの同型機であるType-03に搭載予定の兵器だったような…。
そうこう考え事している間に窓の外を見ると、雨が物凄く降っていた。
そういえば織斑先生と話した時に黒雲がちらほら見えていたっけ。
そうしていると窓の外が黄色い閃光に包まれて轟音が鳴る。
「ヒャイィィ!」
僕はびっくりして変な声を上げてしまう。
いや、雷が怖いってわけじゃないんだよ!
ただびっくりしただけで…『ゴロゴロゴロ』…ひっ!
その音を聞いて窓のカーテンを閉め、部屋についていた防音システムを起動させる。
防音システムが何故各部屋にあるのか、それは代表候補生が連絡等を取る際に外に情報を漏洩しないようにとの配慮らしい。
まあ実際はお飾りで使用している人は殆どいない。
理由としては普通にある程度の防音設備がついていて、話し声くらいなら外に漏れないからだ。
まあ僕はちょくちょく利用してるけどね。
うん、でもこの防音システムの良いところは外の音も完全に遮断してくれると言う点だ。
だからこういう雷の音なんかも聞こえなくなるのだ。
いや、だから怖いわけじゃないんだよ?
僕はそう自分に対して言い訳をしているのが急に滑稽だなと思い、シャワーを浴びる準備をする。
雷なんて忘れよ忘れよ。
そう思いシャワー室に入っていった。
~レイsideout~
~シャルside~
放課後、僕が寮に帰ろうとした時に偶然織斑先生に会った。
その時に織斑先生からいきなり怜に白兎の絵が入った封筒を渡してほしいと頼まれた。
直接織斑先生が渡しに行けば良いのではと尋ねると「さっき会ったのだが、色々あって渡しそびれてな。私の友人からなのだが、長岡に渡すよう言われたんだ。私は今から職員会議がある為に遅くなる。だからデュノアに頼もうと思ってな。もちろんのことだが、中身は絶対に見るなよ?」と言われて受け取った。
食堂で渡そうと思っていたんだけど、ちょうど入れ違いだったみたいで顔を合わせることも出来なかった。
仕方なく部屋を訪ねることにしたのだが、廊下から外を見ると夕方とはうって変わりどしゃ降りになっていた。
「すごい雨だなぁ…」
そう一人言を呟いて部屋の前に着いたのでドアをノックする。
コンコンッ。
返事はない。
コンコンッ。
もう一度ノックしたが返事が返ってこない。
試しに部屋のドアノブを回すと鍵がかかっていない。
そうなると中にいるんだよね?
ドアを少し開けて中に問いかける。
「シャルルだけど、怜いる?織斑先生から頼まれた封筒を持ってきたんだけど?」
あいかわらず反応がない。
だがせっかくここまで来たのだから封筒だけでも部屋に置いて帰ろうと思い、中に入る。
「入るよ~?」
そう言って中に入るとシャワー室の電気が点いていた。
なるほど、シャワーを浴びていたから気がつかなかったのかな?
そう思ってテレビの前のテーブルに封筒を置き、部屋を出ようとした。
その時、ベッドの上にリモコンが転がっているのに気がついた。
あれ?このリモコン、僕の部屋でも見たような?
何のリモコンだっけ?
そう思ってリモコンを取って見てみようとした時、手が滑ってそのまま床に落としてしまった。
ピッ。
あれ?何かのスイッチ入っちゃった?
その次の瞬間、『ゴロゴロゴロゴロビシャーンッ!』と外から爆音が聞こえてびっくりしてこける。
そういえばこれって防音システムを操作するリモコンだ。
するとシャワー室から『ひゃわわぁっ!』と声が聞こえて次に『うわわぁぁぁっ!』と声が聞こえてシャワー室のドアが開き素っ裸の怜がパニックになってたみたいで出てきた。
そうしてシャワー室から出てきた怜が僕と顔を合わせる。
僕は慌てて顔を背けようとすると何か可笑しなことに気がついた。
あれ?そういえば今、怜の胸が異様になかった。
そして股の間に何か突いていたような……えっ?
えぇぇぇぇっ!
それに気が付きもう一度確かめようと怜の方を向くと誰もいなかった。
え?
不思議になり、首を傾げようとした時にピッと音がなり、首筋に針のような物が突き付けられて耳元で今日聞いた声とは違う冷たい声でこう告げられる。
「動くな。動いたら殺す」
僕はその声を聞いたと同時に物凄い殺気を浴びて気を失った。
~シャルsideout~
~レイside~
いやぁ、シャワー室で雷なんてなかったと自己暗示しながらシャワーを浴びていたら、いきなり雷の音が聞こえてきてパニックになってしまった上に、シャルルくんに正体を見られてしまった。
その後にすぐ防音システムを入れ直し、いつも隠し持っている長針を首に突き付けて脅したら気絶してしまった。
取りあえず僕は気を失っているのを確認した後にすぐに服を着て、シャルルくん……いや、シャルロットさんの腕と足を縛り上げて、シャルロットさんの専用機であるラファールを外して少し離れた机に置き、ベッドに寝させて起きるのを待つ。
「…んんぅ……あ、あれ?な、なな、何これ !?」
気を失って5分くらいたった時にシャルロットさんは少し呻きながら顔を上げようとするが、手と足を縛り上げているので顔を上げることが出来ないでいる。
さて、いい加減シャルロットさんから事情と言い訳とやらを聞こうかな。
…事と次第によっては排除しなきゃならないかもだけどね…。
僕はシャルロットさんを寝かせているベッドに腰かけながらシャルロットさんの顔を覗き込むようにして喋りかけた。
「Goodmorning♪良い夢見れたかな?」
「れ、怜 !?」
先程のことを思い出したのか少し顔を赤めた後にすぐ青冷めた。
僕の姿を思い出した後に殺気を向けたのを思い出したのであろう。
「私……いや、僕も油断してたよ~。まさか正体を見られるなんて」
「…怜……君ってやっぱり…」
「そうだよ。僕は男でありながらISを動かせる。まあバレたら色々と面倒だから女として学園に入らせてもらったんだけどね♪」
そのことを聞くと、シャルロットさんは僕に質問してくる。
「正体は何で隠しているの?わざわざ隠すなんて……」
「理由は全部は答えられないけど1つは教えてあげるよ。単に目立ちたくなかっただけさ。シャルル……いや、シャルロットさんと逆の理由だよ♪」
「!!!!!」
偽名じゃなく本当の名を言ったことに驚いているのか、シャルロットさんの顔が驚愕の顔に染まる。
「シャルロットさんの家の事情は知っているよ。経営ヤバイんでしょ?第三世代の機体が開発うまく出来なくて」
「な、何でその事を!」
シャルロットさんがびっくりしながら聞いてくる。
「僕はハッキングとかが得意でね。IS学園の生徒や先生達のことはある程度調べ上げているのさ。だからシャルロットさんが本当は女性だということ、デュノア社の実情、シャルロットさんが今までどう生きてきたかとか大体のことは知っているんだよ」
「う、うぅぅ…」
シャルロットさんは正体がバレたことが余程ショックだったのか少し泣いている。
まあそれよりも大事なことがあるので尋ねる。
「で?僕に何の用だったのかな?事と次第によっては……排除しなきゃならないんだけど?」
「ヒッ!」
シャルロットさんが僕の言葉が余程怖かったのか身を縮こませる。
「黙っていたら分かんないんだけど答えてもらえないかな?自白剤なんて使いたくないんだけど?」
それを聞くとシャルロットさんの顔がどんどん青冷めていき、少しずつ口を開く。
「こ、殺さない?」
「だからそうしなきゃいけないか決める為に事情を聞こうとしてるんでしょ?あ、それと嘘は止めといた方が良いよ。後で分かったら即、殺しに行くから」
「は、はいぃぃ!た、ただ織斑先生にそこのテーブルの上に置いている封筒を届けるように言われただけだよぉぉ!」
少しパニックになっているのか、涙目で必死に封筒のことを言っている。
僕は織斑先生からという点で嫌な予感はしたが、封筒を見て嫌な予感は消え去った。
白い兎の封筒。
これは束から?
何故わざわざ封筒で?
そう思い封筒を開けて、中を確認する。
そうしたら中から一枚のカードが出てきた。
…これはもしかして…。
僕は封筒に入っていたカードをポケットに入れてシャルロットさんの方に移動する。
「分かったよ。封筒を届ける為に来た。それは嘘じゃないと確信した」
その言葉にシャルロットさんはあからさまにほっとした表情をしている。
まだ終わってないんだけどなぁ?
「でも僕の正体を見たのも事実だ」
その言葉にシャルロットさんはまた顔を青冷める。
「ぜ、絶対に言わない!約束する!」
「でも約束した所で言われたらこっちも堪ったものでもない。だから殺すのが一番てっとり早いんだけど?」
「ヒィ!ゆ、許して」
どうするか?
まあ殺してもここに居られる可能性が低くなるからどちらもリスクがあるんだよね~。
でもいつ起きるか分からないことよりもいつ起きるか分かっている事象の方が対策は立てやすいし…。
「ふむ、そうだなぁ。僕の正体を言わない約束と後1つ約束をしてくれるなら考えても良いかな?」
「や、約束する!約束するから!」
「ふ~ん、なら一夏や僕のIS、その他の報告をデュノア社にするのを止めてもらえる?」
「そ、それは…」
シャルロットさんが黙ってしまう。
まあそんなことしたら本国に強制帰還させられた上で監禁生活させられるか、処分されるとか考えているんだろうな。
「ねえ?今、そんなことしたら本国に強制帰還させられた上で監禁生活させられるか、処分されるとか考えていない?」
「ふぇ !?」
図星を突かれたらしく変な声を上げる。
「IS学園校則、特記事項第二十一」
「え?」
いきなり僕が校則なんて言ったからか意味が分からないようでポカーンとした顔で僕の顔を見る。
仕方ないので説明する。
「特記事項第二十一、本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする」
「え?何なの?」
まだ分からないみたいなので仕方なく僕が言う。
「この校則があるからシャルロットさんは少なくても3年は大丈夫だってことだよ」
「あ!」
ようやく気付いたのかシャルロットさんは納得したような顔をする。
でもすぐに顔が曇る。
まあ3年間保証されたところでその後はどうすれば良いのか等を考えているのだろう。
「まあシャルロットさんが僕との約束を破らなければ、卒業した後も僕が守ってあげるよ」
「え?」
僕の言葉に再びポカーンと抜けた顔をする。
「だから約束を守る限り、シャルロットさんの人生を保証してあげるって言ってるの!まあ守らなければ僕が殺しに行くけどね」
「そ、それって…」
シャルロットさんが若干顔を赤くする。
うん?赤くする意味が分からないんだけど?
「分かった。約束する。だからこれからもよろしくね怜」
「う、うん」
いきなり上機嫌になったシャルロットさんのことは正直よく分からないけどまあ取りあえずの解決にはなったかな。
「まあこれから共犯関係ってことでよろしく」
「うん、よろしく」
僕の言葉にシャルロットさんは元気に答えるがその後に何かに気付いたように僕に言った。
「あの、縛っているのを解いてくれない?」
「あ!」
僕もすっかり縛っているのを忘れて話していたのを思い出し、縛っているのを解いた後、ラファールを返して部屋に帰した。
ふぅ、何か今日はドッと疲れたよ。
僕はそのまま布団に直行してそのまま就寝した。
~レイsideout~
後書き
今回の話はレイくんの可愛さと容赦なさ、優しさを出す話だったんですがうまく書けたかな?
次回はラウラが主になるかな?
簪ももう少しで出番なんだけどいつ出せるか…。
では次回もご期待ください!
再見♪
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