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ソードアート・オンライン ~白の剣士~

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新しい部隊

翌日、シオンは真新しい血盟騎士団のユニフォームを身にまといヒースクリフのところにいた。

「で、何のようですか?」

「ああ、いつか約束した君の要求を聞こうと思ってね」

「俺はあの時負けたんだが・・・」

「彼女はそうは思っていないようだが」

『あいつ・・・まだ根にもってんのか』

シオンはため息をついた。それを見ていたヒースクリフは、

「君も大変だな」

「ご理解いただき感謝申し上げます。それじゃあ遠慮なく言わせてもらいますわ」

シオンはヒースクリフに約束通りある要求をした。
それを聞いたヒースクリフは少し拍子抜けしたような顔をした。

「本当にそれでいいのか?」

「ええ、もともとそのつもりでしたから」

「分かった。では後のことは君に任せるとしよう」

「ご協力感謝します。そんじゃ」

シオンはそのまま後ろを向き、部屋を出ていった。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

場所は本部の敷地内にある訓練場。シオンはそこである人物を待っていた。

「お待たせシオン君」

「一体何の用?」

「おお、来たか。アスナ、エリー」

シオンが待っていた人物、それはアスナとエリーシャだった。

「早速だが二人は俺が新たに発足した部隊の一員になってもらいます」

「「ええっ!?」」

「あともう一人キリトが入るけど、アイツは今研修中だから後でな

「ちょっ、ちょっと待って!」

「はい、何かなアスナ?言っとくが拒否権はないからな」

「そうじゃなくって!何でシオン君が新しい部隊を作っちゃってるの!?」

「ヒースクリフとの約束。もし、俺が勝ったら一つだけ要求を聞くっていう」

「でも、それって・・・」

「そう、俺は負けたって言ってんのに、エリーのやつがなかなか勝ちを認めなくってな」

そう言ってシオンはエリーシャに視線を移した。エリーシャは大変ご立腹のようで、

「当たり前でしょ!あんなので勝ちだと思えるわけないじゃない!」

「ハイハイそーですか。まあ、そんなことだから俺はヒースクリフに約束通りあることを要求したんだ。『俺の部隊を作っても構わないか』ってね」

「それでOK貰ったの?」

「ああ、すんなりと」

そうシオンが言うとエリーシャとアスナはガクッとうなだれてしまった。そんな姿を見てシオンは、

「ん?どうした?二人して?」

「いや・・・何でもない・・・」

「もう、何でもいいや・・・」

「?まあいっか、それよりエリー」

「なにー・・・」

もはやリアクションに疲れたエリーシャにシオンは何かを投げ渡した。
慌ててエリーシャはそれ受け取り手の中あった“それ”を見た。

「ペンダント?」

「開けてみ」

シオンが渡したもの、それは昨日ハーモニー本部の自室から持ってきたペンダントだった。エリーシャはシオンに言われるがままに開くと、そこには懐かしのハーモニーの五人が写っていた。

「これ・・・」

「昨日回収した。どうしたいかはお前に任せるとする。捨てるなり、破壊するなり好きにしてくれ」

「どうして、私なんかに・・・」

その言葉を聞いたシオンはしばらくして吹き出してしまった。

「ぷっ、アハハハハッ!」

「な、何!?」

「ハハッ、いやわるい。キリトとまったく同じこと言われたからよ」

「えっ・・・?」

「あん時とは状況は違うが、答えは同じ。お前が適任だからだ」

「私が・・・?」

「そう、ハーモニーを誰よりも大事にしていたお前なら」

その言葉にエリーシャは目を見開いた。

「さて、それじゃあ早速・・・」

「シオン君!」

「どうした、アスナ?」

シオンが尋ねるとアスナの顔が真っ青になっていた。

「キリト君と一緒にいたゴドフリーの反応が消えてる!」

「なんだって!?」

シオンはアスナのマップを見る。そこにはキリトと一緒に行動していたはずのゴドフリーの反応が消えていた。すなはち、

「ゴドフリーが死んだってことか!」

「あと、キリト君ともう一人がいる」

「誰だ!」

「・・・クラディール」

その時シオンは最悪のシナリオが頭に浮かんだ。それと同時い今までにないくらい歯を食いしばっていた。

「アスナ、エリー。お前たちは上に援軍を用意させろ」

「シオン君は?」

「俺は、キリトを助けに行く」

「シオン君!」

「スキルオーダー《コメットジャンパー》!」

シオンがキリトの救援に向かおうとした時にシオンの腕をエリーシャが掴んだ。

「無茶よ!一人で行こうだなんて!まだ、相手に仲間がいる可能性だってあるのよ!」

「そんときはそんときさ!」

「どうしてそうなの!?あなたは一年半前から何も変わってない!自分の事はお構いなしで、他人のことばかり考えて、それでいていつも一人で背負い込んじゃう」

エリーシャの目には既に涙が流れている。それでもエリーシャはシオンの腕をさらに強く握る。

「私、知ってるよ。シオン君が毎月、始まりの街にある石碑に行ってレオンやツバキたちの名前の前に花を置いて、石碑の前で泣いているのを」

「・・・」

「別に聞かなくてもいい、でも!私は言わなくちゃいけない気がすごくしてる!ううん、言いたいの!」

「エリー・・・」

「私は、あなたが・・・シオン君が・・・」

「やめろ!」

エリーシャの言葉はシオンの怒声によって阻まれた。

「やめてくれ・・・」

「シオン君・・・」

「アスナ、後は頼む・・・」

そう言ってシオンは空へと飛んでいき、キリトのいる方向へ向かった。

「シオン君!」

エリーシャはただその姿を見届けることしかできず、その場に膝をついた。
涙が溢れて止まらない。

「どうして・・・どうしていつもそうなのよ・・・」

「シオン君はたぶん、エリーシャちゃんの事が好きだと思うよ」

「えっ・・・?」

「だってシオン君、エリーシャちゃんの成長が見れてまるで自分の事のように嬉しそうに話していたもの。それに・・・」

アスナはエリーシャの肩に手を置いた。

「シオン君が一年半前、エリーシャちゃんを血盟騎士団に入れた気持ち、今ならわかるよ」

「えっ・・・?」

「好きな人のために、強くなりたいって思う気持ちは、私も分かるから」

「アスナ・・・」

「でも、何であんな戦い方できるのに恋愛は不器用なのかね〜?」

その言葉にエリーシャは苦笑してしまう。

「それはアスナも同じなんじゃないの?」

「ふぇっ!な、なんで?」

「アスナ、キリト君のこと好きなんでしょ?」

「な、ななななんでそれを!?」

「ほら、そんなことより急いで合流しよ!」

エリーシャは援軍を用意させるために走り出した。

一方、シオンは、キリト救援のため飛行中である。

『オーダースキル終了まで、残り三十秒』

クロス・オーダーの制限時間を気にしつつ、シオンは今出せる最高速度で飛ばしていた。

「頼む、間に合ってくれ!」

シオンは嫌な考えを振り払い、加速する。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

「おめぇみてえなガキ一人のためによぉ、関係ねえ奴を殺しちまったじゃねーか」

「その割にはずいぶんと嬉しそうだったじゃないか。犯罪ギルドのほうがよっぽどお似合いだぜ」

「くくく、そりゃあ最高の褒め言葉だなぁ。いい目してるぜ」

そう言ってクラディールは左のガントレットを除装し、純白のインナーの袖をまくった。

「・・・!」

彼の腕には漆黒の棺桶の図案、そして蓋にはにやにや笑う顔が描かれ、白骨の腕がはみ出している。
彼が見せたタトゥーは殺人ギルド《ラフィン・コフィン》のものだった。

「それは・・・!」

「この麻痺テクもそこで教わったのよ・・・、と、やべえやべえ」

クラディールは大剣を握りなおす。

「おしゃべりもこの辺にしねえと毒が切れちまうからな。そろそろ仕上げと行くかァ!」

そう言ってクラディールはキリトの右腕に剣を突き刺した。

「ウッ!グアッ!」

「どうよどうよ!もうすぐ死ぬ感じってどんな気分よ!」

キリトのHPはどんどん減少していき、イエローに突入した。

「おいおい、何か言ったらどうだよ!あぁ?」

いまだ麻痺は解けず、全身が冷たいもので包まれていく感覚を感じた。
しかし、それと同時にある二人の人物の顔が浮かんだ。その顔を見た瞬間、キリトは両目を見開き、クラディールの剣の刀身を掴んだ。

「お、お?なんだよ、やっぱひ死ぬのは怖えェってか?」

「そうだ、まだ・・・死ねない・・・」

「カッ!そうかよ、そう来なくっちゃな!!」

クラディールは再び力を込める。キリトも力を込めるが剣は徐々にキリトに食い込んでいく。

「死ねーーーッ!死ねェェーーーッ!!!」

徐々に食い込んでいく刃にキリトは必死に抗った。
その時、

『お前はどうしたい?』

「・・・!」

『お前の望みはなんだ?』

「生きたい・・・」

『なら、叫べ、キリト!お前の願いを!』

キリトは腹に力を込めた。

「俺は生きて、みんなのところに、アスナの元に帰りたい!だから、力を貸してくれ!」

そして、キリトは彼の名を呼ぶ。
あの時浮かんだ、SAOで共に戦ってきた相棒の名を。

「シオーーーンッ!!!」

その時、空から何かが高速で降ってきた。
そして、“ソレ"はキリトとクラディールの間に落ちてきた。クラディールはすぐさま後方へと回避し、その直後に“ソレ"は着地した。

純白の生地に赤の装飾、普段とは違えどそれは間違いなくSAOで共に戦ってきた相棒だった。
キリトはその姿を見て、口元に小さく笑みを浮かべた。

「おせーよ、まったく。数秒の遅刻だぜ」

その言葉に答えるように彼もまた口元に小さく笑みを浮かべた。

「・・・シオン」

「ああ、待たせたなキリト」

「き、貴様ァ・・・」

「よぉ、クラディール。元気してたか?」

そう言いながら、シオンは剣を抜く。

「また、また貴様かあああ!!!」

クラディールは声を再び荒げた。

「貴様はなぜ、なぜ私の邪魔をするんだ!」

「ったく、ここ最近は質問者が本当に多いな。俺は学校の先生じゃねーんだぞ」

シオンは呆れながら頭をかいた。そして、シオンはクラディールを冷め切った目で見た。

「少しは自分で考えな。俺は今すげー機嫌がわりーんだよ・・・」

「貴様ァ・・・」

「話は終わりか?んじゃ、今度は俺からだ。クラディール、選べ」

シオンは手を前に出し、人差し指を立てた。

「一つ、このまま逃げるか。二つ、黒鉄宮の牢獄にはいるか。三つ、ここで俺たちを殺すかもしくは俺に殺されるか。さあ、どうする?俺的には1と2をおすすめするが・・・」

「んなもん、決まってんだろーが・・・」

クラディールはにやにやと笑うと、剣先をシオンに向けた。

「テメーらここで皆殺しだ!」

「そうかよ、なら分かった。ただし・・・」

シオンは手に力を込める。

「後悔するなよ・・・」

そしてシオンは地面を蹴った・・・。 
 

 
後書き
はい!いよいよシオンVSクラディールの戦いが始まります!

さて、エリーシャとシオンの気持ちはどうなるかは今後の展開を楽しみにしていてくださいね〜(`・∀・´)

ではでは〜( ´ ▽ ` )ノ 
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