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少年は旅行をするようです

作者:Hate・R
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少年は真剣で恋するようです 壱

 
前書き
タイトル通り、マジこい短編。と言うか単発です。 

 
Side 愁磨

「そうだ、川神へ行こう。」

「はい?」

「この人はまた……難儀な事を言い出したね。」


いつもの様にソファで寝っ転がっている時、ふと思った。

ぶっちゃけ魔法戦闘とか疲れたし、教師やってたら学生やりたくなったのだ。

一緒にまったりして緑茶をズゾーとやっていた刹那が、『かわかみ?』と、頭を傾ける。


「という訳で行く人ー。」

「はーい、私は行くわぁ~。何となく興味があるし。」

「そもそも川神ってどこじゃ………。」

「・・・・別世界なのは、確実。」


むぅ、乗り気なのはノワールだけか、仕方ない。

別荘から家(in闇)にワープ出来るようにして、警報つけて、警備像と結界と陣と罠と・・・・・

まぁ適当に防御を固めて、と。


「それじゃあ、俺とノワールはちょっと出て来るから。用事があったら、別荘か家の電話からな。」

「はいはい、気をつけてな~。と、兄様達に言うのも馬鹿らしいか……。」

「そうねぇ~。ツェラちゃんレベルが居るとも思えないし。」


あー、そう言えば。魔法戦闘と変わらない様な戦闘力持ってる人達、いたな。

・・・・・まぁ、シナリオ悪くなかったらまったりしよう。それでは。


「「いってきま~す。」」



………
……




「という訳で来ました川神市!」

「……案外、普通のところね?」

「若干変わった所はあるけど、所詮日本だしな。」


えーと、今の日時は・・・・・四月三十日。今はアナ・・・ゲフンゲフン。

もとい、直江大和達何してたっけ?


「(……ああ、学校のガラス全割り未遂事件だっけ。)よし、今のうちに転校すませちゃうか!」

「今から届けて間に合う物なの?」

「間に合うか間に合わないかじゃない。間に合わせるんだよ!」

「適当ねぇ……。」



――――― 一通り終了



「うむ、これで五月中には学校行けるぜ!」

「なんて言うか、凄く簡単に終わったわね。カチカチッと終わった気がするわ。」

「あ、しまった。この形態(姿)のままじゃ微妙か。」

「そうねぇ……。私も、ちょっとだけ(・・・・・・)変えておこうかしら。」


ノワールは凄まじく"ちょっとだけ"を強調しつつ、自分達を見下ろす。

審議の結果、俺は一年でノワールが三年に入った。

という事を見て俺は初期モードへ、ノワールは学生モードへと移行する。


パァァァァ―――……
「うむ、ちっちゃいけどいいか。」

「随分久しぶりに見たわね~、その姿。ハァ、ハァ……。」

「どーどー、落ちついて。」

「ヒッヒッフゥー!ヒッヒッフゥー!ええ、落ち着いたわ。故に限界よ!抱くわ、今よ!」(ガバァ!


ノワールが壊れた。・・・まぁ仕方あるまい。

自分でも、チマッとしてるこの姿は可愛いと思う。(ナルシな訳ではない。)

・・・・どうせだし、キャラも変えようか。


「えーっと、うーん………。ねーねー、こんな感じでいいかな?」

「いいわね、グッド!でも、もっと甘い感じ……いいえ、ほっこりまったりゆったりした感じの

ボクっ娘で!あとお姉様とお呼び。」

「ほ、ほっこりボクっ娘?コホン。ん~、こんな感じでいいかな~。ねーさん?」

「あー、いいわ。なんだか凄くいいわぁ。もうそれでいいわ。」


頬をグリグリして来るノワール。まぁ喋り方は変えても、地の文は変わらないんだけどな。


「ん~。でもあと二週間、ひまだね~。」

「……一端戻る?」

「それはちょっとね~。って、あぁ、そうだ~。新居でも探そうかぁ~。」

「良いけれど、私、平屋じゃないとダメな体になってるわ。ここら辺にあるのかしら?」


って言うか、こんな喋り方してるからかな。動くのもだるくなって来たなぁ~・・・。

う~ん、いいやぁ。


「今日は寝るぅ~……。」(だるーん

「そ、そう?それじゃ家に行きましょうか。(タレてるわ、物凄くタレてるわ。

膝に乗ったエヴァ以上にタレてるわ。)」


俺・・・もといボクを抱えて、影に沈んでいくねーさん。

あ~、この喋り方、癖になりそうだなぁ~。

Side out



Side ノワール

「だるぅ~~~~ん………。」


編入試験などをほぼスルーした私達は、まったりしながら編入までを過ごした。

どうやらここは麻帆良と同世界線であったようで、編入自体は簡単だったのよね。

麻帆良の方で偽造すればいいだけだし。魔法とかの面倒な事も無くて、他時空線―――

『双方の特異性が認識できない』というものだって、垂れたシュウが言ってたわ。


「シュウ。そろそろ行かないと、学校間に合わないわよ?」

「はぁ~いぃ~。」

「もう……。」


仕方なく、シュウを御姫様だっこしてソファから下ろし、立たせる。

・・・・麻帆良に居た時の感じは完璧になりを潜めてしまい、だらしない訳ではないのだけれど、

手間がかかる様になってしまったわ。


「フフフ……仕方ないわねぇ~。ウフフ……。」

「ねーさぁん、なんだか怖いよ~?」

「失敬ね、そんな事は無いわよ。」


そんな事を言いつつ、私達は初登校をするのだった。


………
……



「あー、という訳でー、転校生を紹介する。

海外からの留学生で、ノワール・有亜(ありあ)・織原くんだ。」

「よろしく、お願いするわ。」

「「「「ヒョォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」」


朝。クラスの方で自己紹介すると、男共が騒いだ。うるさいわねぇ・・・

シュウ以外に興味は無いと言うのに。


「せんせー!転入生を"歓迎"してやりたいんだが!!」

「え゛!?えーっと、あー、川神、が………?」

「無論だ。」


喧騒を破り、一人の女の子・・・というには少しばかり大人びた、黒髪美人さんが剣呑な雰囲気を

纏って、大声を出す。すると騒いでいた男共と、新たに女の子達は別の事に目を輝かせる。


バンッ!
「1対1で勝負だ、転校生!!」

「あら、この学校も戦っていいのね。なら遠慮なく……。」

「ちょ、ちょちょ、待て待て織原!いきなり始めるのはダメだ!良いか、川神学園には――――」


曰く、ここ川神学園には『決闘』という、"力"で物事を解決する事が出来るらしいわ。

と言っても暴力だけじゃなく、ポーカーとか将棋とか・・・勝敗が決まれば、なんでもいいらしいわ。

でも、戦闘だけは許可が欲しいとの事。


「えーと、ワッペン、ワッペン……あ、これね。はい。」(ペタン

「ククク………いいなぁ、転校生。気持ちのいい戦いは久しぶりだ。」


「うおおおおおおおおお!受理したぞぉおおおおおおおおおお!!」

「川神との決闘を受けるなんて………!!」

「勇者だ、勇者がいるぞォおおお!」


「と言うか、受理する筈がなかろう!馬鹿モンが!!」

「ゲッ、ジジイ!」


そこで、近衛門っぽい・・・もとい、何やら妖怪の様な気配を持ったおじいさんが教室へ入って来た。

あら、この人も結構出来るわね。


「と、言うかの。」


そのおじいさんがスッ、と上を指すと――――


ピンポンパンポーーン
『ただいまより、第一グラウンドで決闘が行われます。内容は武器有の戦闘。見学希望者は―――』


「と、言う事じゃ。二連戦は正直勘弁してほしいのう?」

「ウフフ、ご老体に無茶はさせられないわね。ごめんなさいね?また今度、"死"合いましょう。」

「くぅぅぅ……仕方あるまい!」


地団駄を踏みつつ、クラスメイトと一緒に・・・は行かないで、窓から飛び(跳び)出す黒髪・・・

カワカミさん。


「(と言うかこの場合、シュウが決闘するっぽいわよね。)」


ふと思い、私も窓から飛び出すのだった。


―――――――――――――――――――――――――――――
Side 愁磨


「と言う訳で、転校生の愁磨・ジオン・織原君だ。皆仲良くしたまえ。」

「よろしくぅ~。」

「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」」

「「「「キャァァァアアアアーーーーーーーーーーーー!!」」」」


ひらひらと手を振ると、教室が野太い声と黄色い声で埋め尽くされる。

うるさいなぁ~。蹴散らしてやろうか、このぐみんども~。


「ハイ、先生!!」

「なんだね、武蔵。」

「転校生を"歓迎"して差し上げようかと思うのですが。」

「フム……よかろう。織原。」


ムサコッスと話をしていた担任は、こちらに向き・・・多分、決闘の是非を問う為だろうね~。

まさか、断るとでも思ってるのかなぁ?かなぁ~?


「いいですよぉ~、やります~。」

「そ、即答か。若いねぇ。」


パシッ、とワッペンを教卓に放ってやる。

武蔵さんも一瞬気押された後、ワッペンを叩きつけに来た。若いねぇ~。


「勝負は、武器有でいいですかぁ~?」

「ぶ、武器あり!?え、ええ。それでいいわ。(まぁ、トロそうだしいいか。)」

「それでいいか?なら職員室に許可を―――」

「届ける必要はないぞい。ワシの権限で了承する。」


いきなり、教室へ老人・・・近衛門と同じ臭いのする輩が入って来た。って、ああ~、鉄心さんか~。


………
……



「と言う訳でグラウンドです~。」

「誰に説明してるのよ。」


武蔵さんに突っ込まれた。が、無視しつつ武器を選んでいると・・・。


「シュウーー!頑張ってーー!!」

「あ、ねーさ~ん。見ててねぇ~。」


ブンブンと手を振るねーさんを見つけ、手を振り返す。と・・・あ~、ボク達のせいで

決闘出来なかったのかぁ~。なら・・・。


「武蔵さ~ん。決闘、2対2のタッグマッチでも良いかなぁ~?」

「へっ!?な、なんで!?」

「ねーさんがねぇ~、戦いたいって~。そっちは好きな人と組んでいいから~。」

「ほ、ホントに?ホントに好きな人と組んでいいのね!?」

「良いってばぁ~。がーくえんちょー。」


と言う事で、戦闘方法の変更を伝える。

しっっっっっっぶい顔をしていたが、転校生二人の"歓迎"と言う事もあり、

あちらの味方――当然の如く川神百代――は手加減しての戦闘、と言う事で落ち着いた。


「それでは、西方、武蔵小杉!」

「はい!」

「同じく、川神百代!」

「応!」


西に立つのは、双方無手。武器を持たない、"武神"と若干強い人。


「東方、愁磨・ジオン・織原!」

「はぁ~い。」

「同じく、ノワール・有亜・織原!」

「ええ。」


相対するは、折り畳んだ鉄扇を持ったボクと、槍を持ったねーさん。

と言っても、これを鉄扇と言っていいかは微妙だけれど。


「それでは無制限一本勝負―――はじめ!」


「ハァァッ!!」

「気合入ってるわねぇ~、っと!」


百代の正拳を槍をしならせ受けるねーさん。と、こっちも放たれた拳を鉄扇で受ける。


「プッレーミアムな私相手に、よそ見してる暇があるのかしら!?」
ドッ   ガッ   バシッ
「あるよぉ~。たぁ~。」
ゴゥゥッ!!
「ぅわわわわ!?」


生意気な事を言いやがるので、とりあえず吹っ飛ばしてやる。

ん~、この子"これ"開く必要も無いから退屈だなぁ~。


「ハハハハハ!手加減しているとは言え、私とまともに戦えるとはな!やるじゃないか転校生―――

いや、ノワール!!」
バシ! ビシ! ドガガガガッ ギギギギギギギギギン!!
「そっちこそ。と言うか、レプリカとは言え私の槍を生身で受けるとか、なんなの!」


ちらっと空を見上げると、百代とねーさんが派手な衝撃波を散らしながら戦っていた。

・・・あれで手加減してるとか、百代さんマジで人類なんですか~?


「や、やるじゃない転校生!じゃあこっちも、プレミアムに本気で行くわよ!!」

「あはは~。こっちも、って~。ボクは全然本気じゃないよ~?

あんまり舐めた口聞いてるとぶち殺すよぉ、れっとーしゅめ~。」


いきなり口が悪くなったボクに、体を竦ませる武蔵さん。

あ~、敵の前で完全に止まるなんて~。もういいや。


ジャキッ!
「"翼族流 扇術『旋風』ぅ~。」
ビュォオオオオオオッ!!
「え、ちょっ!?キャアアアアアアアーーーーーーー」(ドップラー効果

「た~まやぁ~。」


広げた扇・・・と言うか、半円状に広がった十数本の剣によって風を起こし、武蔵さんを上へ

吹き飛ばす。あ~、飛ばし過ぎたかなぁ~?


「『春風』ぇ~。」
フォォオオーー
「ーーーーーァァァァァアアアアアアアア!!あぐふっ。」

「ん、気絶しとるの。武蔵小杉、ダウン!!あっちは………ま~だやっとるのう。」

「ウチの姉がすいません~。」


上を見ると、さっきよりも高い位置で高速戦を繰り広げている二人。

ん~、だんだん本気になってるから、危ないなぁ~。

贔屓目に見ても、ねーさんの方が圧倒的に強い・・・。


「ねーさ~~ん、そろそろ~。」

「もう?仕方ないわねぇ。シッ!」


百代を弾き飛ばし、二人は地上へ下りて来る。

同時に、巻き込まれたくない生徒達が二人の後ろからはけて行く。


「一撃だけ、あなたの本気に付き合ってあげるわ。来なさい。」

「ハハハッ、私にそんな事を言った奴は初めてだ!――――散れ。」


瞬間、百代の闘気が膨れ上がる。

と同時に、隣に立つ鉄心ですら動けない速度でねーさんに近づき、拳を放つ。


「『禁じ手 富士砕き』!!」
ゴッガァァァァァァァアアアアアアアア!!
「いかん!!」


土煙が舞い、グラウンドには亀裂が走る。あーあー、整備大変だなぁ~。


「ねーさん、もう少し手加減してよぉ~。」

「ケホ、ケホ……。そうね、少し見誤ったわ。煙いわ。」

「なっ、んじゃと……!?」


煙が晴れ・・・そこに立っていたのは、拳を放った状態で止まった百代と、

槍を地面に突き刺し片手で百代の拳を掴みつつ、反対の手で顔の前に拳を寸止めで放っている

ねーさん。グラウンドに集まった全員が、唖然としている。


「これ、入れないとダメなのかしら?」

「お、おお。そうじゃの。一本、勝者、織原ペア!!」


「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」」」」


グラウンドのあちこちから、『嘘だ』とか『マジで!?』だの声が上がる。

見ると、泣きそうな子まで居る。ん~・・・まさか、ここまで絶対支配者的とは~。


「あはは~。これから大変そうだねぇ、ねーさん~。」

「…………恨むわよ、シュウ。」


逆恨み禁止~と言って、興奮冷めやらぬ生徒達と一緒に教室へ戻る。

ふとグラウンドの方を見ると、百代が拳を止められたままの恰好で止まっていた。

・・・まぁ、いいか~。負けを早めに知って、成長しなさい若者よ~。

Side out



Side 大和

ガチャッ
「あれ、姉さん。来てたの?」

「……………………。(ボー)」


秘密基地に来ると、姉さんが死んでいた。もしかしなくても、今日の決闘で負けた事が原因だろう。

俺としては、姉さんも負けるのか、と安心した所すらあるんだけど。


「(漫画でも読みつつ、回復待つか。)」
ペラッ

………
……


「ふぅ……。」


姉さんの回復を待っていたら、いつの間にか夕食を食いっぱぐれてしまっていた。

そういえば、今日は珍しく誰も来なかったな。


「…………………大和。」

「何?姉さん。」


そろそろ帰ろうかと思ったら姉さんが生き返った。一瞬間があったけど、姉さんは話し始めた。


「………私、負けたよな?」

「負けたねぇ。ハッキリと。」

「ハッキリ言うなぁ。生意気だぞ、弟の分際で!」


自嘲気味に笑うと、勢いよく立ちあがる。ペシンと俺の頭を叩き、そのまま扉へ向かう。


「………………………い。」

「え?」

――パタン


すっかり回復した姉さんは何か呟いたが、俺の耳には届かず。

聞き直した時には、既に姉さんは扉に吸い込まれた後だった。・・・でも、一瞬だけ見えたあの顔。

確かに笑っていた。楽しげに、獰猛に、子供の様に。


「(何も起こらないと良いけど………。)」


しかし俺の思いを、神様とやらは聞いてくれなかったようで。それは、翌日起こったのだった。



「決闘しようじゃないか、ノワール!!」


朝一、"変態の橋"で妹・・・いや、弟をおぶったノワールさんを見つけると、

姉さんはそのまま突撃して行くのだった。

Side out
 
 

 
後書き
書いてて違和感バリバリ。仕方ないと言えば仕方ない 
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