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ヘタリア大帝国

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TURN80 スペインとの交渉その十

「時が来ればね」
「エイリスがどうしようもなくなった時か」
「その時にね」
 話せばいいというのだ。
「焦ることはないわ」
「どちらにしても知ることになるか」
「だからね」
 今すぐでなくていいというのだ。
「あれは我が国の最後の切り札だから」
「迂闊には話せないな」
「セーラちゃんでもね」
 女王である彼女でもだというのだ。
「あくまで今はね」
「俺とエルザさんだけの秘密か」
「そうとね」
「モンゴメリー提督だよな」
「三人だけよ、まだね」
「わかったさ、それじゃあな」
「今はセーラちゃんにも内緒よ」
「そういうことだよな」
 こうした話をしてだった、彼等は今はあることを秘密にしたままにした。イギリスはそのうえでエリザにこのことも尋ねた。
「戦争準備はいいとしてな」
「何かあるのかしら」
「いや、植民地の総督連中な」
 アフリカにいる彼等がどうかというのだ。
「東南アジアやインドと同じでな」
「腐敗しているわね」
「特に南アフリカにスエズか」
「どっちも酷いらしいわね」
「ああ、らしいからな」
「少しスエズに行ってみようかしら」
 こうも言うエルザだった。
「そしてね」
「腐敗の状況を調べるんだな」
「そう考えているけれどどうかしら」
「それならあいつ連れて行ってくれるか?」
「妹さんを?」
「ああ、あいつをな」
 他ならぬ彼女をだというのだ。
「そうしてくれるか」
「ええ、いいわよ」
 エルザも気兼ねなく己の祖国に返す。
「それじゃあね」
「太平洋の連中が大人しいうちにな」
 まさにその間にだというのだ。
「視察しないとな」
「南アフリカ方面にはマリーちゃんも言ってるけれどね」
「妹さんも頑張ってるよな」
「マリーちゃんもあれで真面目なのよ」
 母として笑顔で言えることだった。
「お姉さんには色々言うけれどね」
「いい娘だからな」
「そうでしょ。祖国さんにも懐いてくれてるし」
「赤ん坊の頃から知ってるけれどな」
 二人の縁もかなり深い。
「やっぱりいい娘だよ」
「祖国さんは私が子供の頃から、いえ」
「エイリス王家の最初からいるけれどな」
「ずっとよくしてもらってるね」
「国家だからな」
 エルザには屈託のない笑みも見せる。
「それも当然だからな」
「いつもそう言ってくれるしね」
「妹もいるし頼りにしてくれよ」
「エイリス王家は孤独にあらず」
 実際に言われていることだ。
「臣民、そして祖国と共にあるからこそ」
「そういうことだからな」
 イギリスはその笑顔でエルザに話す。 
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