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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  二十話:六歳の邂逅

 ビアンカママンが出してた使いの人がサンチョに状況を伝えててくれたおかげで、サンチョが必要以上に心配することは無かったようで(デフォルトで心配してた部分はあるが)。
 サンチョはいつものように、笑顔で迎えてくれました。
 お土産のお菓子も、とっても喜んでくれまして。

「ありがとうございます、お嬢様。お気遣いは、要りませんでしたのに……む。これは。以前にアルカパに行ったときには、見かけませんでしたな。これは、どちらで……ほほう、そうですか!あの店に、新製品が!さすがお嬢様は、目の付け所が違いますな!早速、今日のお茶の時間には、これをお出ししましょう。……ええ、勿論、私もいただきますとも!しっかり研究して、味を盗まねば!!」

 てな具合に、キラキラというかギラギラというか、ともかく目と顔を輝かせてまして。

 新製品と定番で迷ったんだけど、正解でしたか!
 ていうか、どんだけチェックしてるんだよ!
 予想以上だわ!!

 まあ喜んでくれたし、これで私のおやつタイムもますます充実していくわけなので、何ら問題ない。

 というわけで、じっくりとお菓子を眺めてまずは外観から検証するサンチョはひとまず置いといて、モモとお外に遊びに出ます。
 ちょっと一緒にいただけでもだいぶわかってはきたけど、こっちも色々、検証しないとね!





 キリリとした顔で、睨み合うかのように互いの顔を見つめ合う、モモ、と、私。

「……お手!」
「ミャッ!」

 スッと差し出した手に、素早い動きで前肢(まえあし)をパッと載せてくる、モモ。

「……おかわり!」
「ニャッ!」

 載せていた(あし)を素早く引っ込め、入れ替えるように逆の肢を載せてくる、モモ。

 厳しい表情を緩めないまま、皿を差し出す私。
 ピクリと反応する、モモ。

「待て!」
「ミャッ……!」

 今にも皿の中身に食い付きたそうにしつつ、踏み留まって皿を見つめた状態で動きを止める、モモ。
 黙って見つめる、私。

「……」
「……」

 一瞬止まれたくらいじゃ、待てたうちに入らないからね!
 賢さが低いなら、この辺でもう食い付いていく筈……!

「……」
「……ミュウ……」

 食い付かないね?
 やっぱり、賢い?

「……」
「……ミュー、……ミュウー……」

 あくまで食い付かず、皿の中身を見つめたまま悲しげに鳴き出す、モモ。

「……ごめんね、モモ!いいよ、食べて、いいから!」
「ミャア!」

 私の言葉を受けて、途端に食い付くモモ。

 これは、確定だね。
 賢さ二十程度は、余裕であるね。
 幼年期の敵にそう苦労することは負けイベント以外では無いだろうとは言え、これは助かるね!
 現実だから、戦う以外にも言うこと聞いてくれないと困るし!

 皿の中身を食べ尽くして満足そうなモモを、散々撫で回して褒めてやりつつそんなことを考える私に、背後から声がかかります。

「はー……。やっぱりベビーパンサーは、可愛いね!キラーパンサーも可愛いけど、子供故の、特有の可愛さっていうの?あるよね!」

 ……誰だ!
 パパンは部屋でなんかやってるし、誰もいないと思って完全に油断してたのに!
 たいしたこと言ってないとは言え、口調とか()だったのに!
 この村で、こんなに完璧に気配を絶てる人間は、パパン以外にいない筈……!!

 と、超動揺しながらも、子供らしさの皮をしっかり被って、戸惑ったように振り返る私。

「だ、だれですか?」

 そこで、目にしたものは……。

 ………美女。
 え?美女?だよね?
 イケメン??

 完璧な美女のように美しくもあり、美男子のように、凛々しくもある……。
 胸元が隠れるような服装で、体形を上品に隠しながらも、隠し切れないスタイルの良さ!
 長く艶やかな黒髪は、邪魔にならないようにひとつに纏め、それでいて全く野暮ったくならないセンスの良さ!
 後れ毛が、中性的な色気を醸し出します!

 旅慣れているようなのに、シミやソバカスのひとつも無い陶器のような白い肌のその人は、涼しげな目元を笑みの形にして、美しく、どこまでも美しく微笑んで、そして。

「うわー、ドーラちゃんマジ美少女!一回見てみたかったんだよねー、外から!一回しか無いなんてホント残念だわ、よく見とかないと!」

 ……うわあ。
 なんだろう、見た目は完璧なのに、口を開いた途端のこの残念感。

「抱っこしていい?いいよね?大丈夫、誰も見てないから!ロリコンとかそういうのじゃ無いってのも、知ってるでしょ!?」

 うん、知ってる。
 そして私が許可を出す前に、もう抱き上げてるイケメン美女。

 ……いいけどさ!
 むしろ私もじっくり見たいから、拒否するとか、無いけどさ!
 それも知ってるんでしょ、ちくしょー。

「ああ……可愛い!これならパパンも他の人たちも、メロメロになるに決まってるよね!勿論、私の!ていうか私たちの?努力の賜物でも、あるけどね!」

 いや、仕方ない。
 所詮、私なんだから仕方ない。
 皮を被る必要も無い自分(わたし)相手なら、こうなるのも仕方ない。
 ていうか、私、なります。

 ……ていうか、むしろ今!
 なります!!

「……私、キター!イケメン美女、キターー!!」

 先を越されて完全に出遅れましたが、これこそ私の目指すイケメン美女!
 その、完成形ですよ!!

「よくやった、私!完璧!正に、完璧!!」
「ありがとう、私!そうでしょ?そう、思うでしょ!?」

 抱き上げられた状態で、興奮して捲し立てる私。
 同じテンションで応じる、イケメン美女(わたし)

「これなら、全方位ハーレムも!全く以て、夢物語などでは無い!!」
「当然!!」

 ああ、なんて頼もしい……!
 言い切ってくれました!

 努力さえ、努力さえ怠らなければ!
 この域に、確実に、辿り着けるのね!!

 盛り上がる私()()を、モモが不思議そうに見つめてます。

 どの辺で判別してるのかわからんけど、サイズの違う、同じ人間が二人いるわけだからね!
 気配に敏感な元野生生物としては、混乱もするよね!

 『私』が私を下ろしてしゃがみ込み、モモを撫で回します。

「びっくりさせてごめんね、モモー!お前にも、会えて嬉しいよー!」

 なんか変な顔をしながらも、撫でられてゴロゴロ言ってしまうモモ。

 説明してわかるものなら、説明してあげてもいいんだけどねえ……。
 とりあえず今は『私』の撫でのテクニックに、誤魔化されてくれ!

 モモが完全に落ちたらしいところで、『私』がモモを離して立ち上がります。

「さて。時間も限られてることだし、さっさと始めようか」

 そうなんですよ!
 そのために、ゴールドオーブの入手にこだわってたわけですからね!
 壊されるだけのものなら、別に私が入手しておく必要も無かったわけですが。
 私が入手しておかないと、『私』が私に会いに来てくれないからね!

「場所は、どうする?」

 一応自分のホームなのに、『私』に聞いてみる私。

 その辺の物陰とかが妥当なとこだと思いますが、村の子供と物陰にいるとか、いくら美女でも怪しいよね!
 見つかった時を考えると!

「家でいいでしょ」

 さらっと提案する、『私』。

 ……いいの?
 ゲームでも、家を訪ねても、特にどうもならなかったけど。

「サンチョは懐柔できるし、将来バレても問題ないし。パパンは、どうせ信じないからさ。大丈夫だって」

 『私』がそう言うなら、そうなんだろうね。
 じゃあ、まあ、いいか。


 そんなわけで、未来からゴールドオーブの回収に来た『私』と、そんな不審人物にすっかり懐柔されてしまったモモを連れて家に向かう、私。

 ホントに、大丈夫なんでしょうね? 
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