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生還者†無双

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天の御使い…?

 
前書き
ストレスで倒れそうです 

 
「桃香?大丈夫か?」

上半身スーツ丸出しの状態で手を伸ばす

愛紗は驚愕していた
暁殿は一体何者なんだ…
大きな岩を身体一つで受け止めながら傷一つ無く
「あぁ腰が痛ぇ…」と軽口を言っている
全く理解出来ない
そして…あの黒い鎧
!!
もしや本当に暁殿は天の御使いっ?
昼間の流れ星
比類なき強さ
黒い鎧…
我らが探し求めた【天の御使い】…

「桃香?何をボケっとしてんだ?早く…」

バッと桃香、愛紗、鈴々の3人が臣下の礼をする
あまりの早さに暁はフリーズした
A・Mスーツ丸出しがまずかったのか?
ちっ迂闊だった…
あまりおいそれと見せる物ではなかったな
緊急時とはいえ己の浅はかな行為を反省する
まぁ最悪、とんずらすれば良いか
ポリポリと頬をかくと思考を切り替える
さてと、逃げるか…

「ご主人様!」
「は?」

思わず耳を疑う単語が出てきた
ご主人様って聞こえた気がしたが…
岩で頭でも打ったかな?
落ち着けよ俺
いくらなんでもご主人様!なんて頭イカれてるだろ?

「今…何て?」
「ご主人様と言いました!」

満面の笑顔で桃香が言う
愛紗、鈴々は相変わらす頭を下げている
訳がわからん
天の御使いではないとさっき否定したはずだ
チラッと桃香に目を向ける
屈託のない笑顔で俺を見ている…
おいおい…そんな眼で見るなよ
ハァ~と大きな溜め息をする

「あ~誠に申し訳ないが俺は天の御使いじゃあねぇぞ」
「あ…暁さんは天の御使いだよっ!」
「いかにも、漆黒の鎧に人間とは思えぬ力、そして見ず知らずの我らに対する恩義…まさに天の御使い様に違いありませぬ」
「そうなのだ!おじちゃんは天の御使い様なのだ!」

ものすごい勢いで迫られる
何なんだよ…天の御使いってのは?
そんな必死になる程の事なのかよ
くだらねぇ…
俺は自分以外何も信じちゃいねぇ
相棒だったボーは例外だがな
暑苦しい奴だったが…

「いいか、良く聞けよ?俺は天の御使いじゃあねぇ、そんなもんになるつもりもねぇ」
「しかし!暁殿…!」
「俺の死に場所は俺が決める、変なもんに祭り上げられんのはごめんだ」

ピシャリと反論を切り捨て
鋭い眼光が3人に向けられる
逆らったら殺される
迂闊に動けない…!
歴戦の猛者の殺気
重苦しい時が流れる

「そんなぁ…」
「ぬぅ…残念です…」
「なのだぁ…」

へなへなとその場にしゃがみこむ
やっとの思いで掴んだ手懸かり
そして…確信
それが全て否定されたのだ
落胆する3人
さっきとはまた違う重苦しい雰囲気になった

「だが…手は貸してやる、天の御使いじゃあなく暁 巌としてな」

改めて手を伸ばす
天の御使いになるつもりは無いが
今の所、顔見知りはこの3人以外いない
土地勘も無いし宛もない
この3人の護衛位なら安いもんだぜ
暗い表情が一瞬で吹き飛び笑顔が戻る
全く純粋なんだか単純なんだか…
しかし…俺も甘くなったな
苦笑いをしながら桃香を引っ張る

「ありがとう♪ご主人様♪」
「そのご主人様ってのはなんだよ」
「我らの主になるのですから…ご主人様と」
「鈴々はおじちゃんと呼ぶのだ!」
「ご主人様はやめてくれ…あと鈴々俺はまだ20代だ」

結局、暁は押しきられてご主人様とおじちゃんと呼ばれる事になった



かれこれする事数日
公孫賛が太守する街へたどり着いた
まず感じた事は現代ではないとゆう事
こんな石造りの街なんて見たことない
改めて自分の身に起きた事の異常さを感じた
退屈しないで済みそうだな
ポキポキと指を鳴らす
そうな事考えていると桃香が衛兵と話を付けて
太守と謁見出来ると言ってきた

「本当に知り合いだったんだな…」
「そうだよー同じ私塾の出身なの♪」
「片や太守で片や無位無録…まぁ桃香なら仕方ないな」
「ひ…酷いよご主人様…」

暫くすると白い鎧の女と槍を持った女が部屋に入ってきた
どうやら白い鎧のが公孫賛らしい…
女かよっ
また女かよ!
歴史上の人物が女になっているのか?
おいおい…まじで訳がわからん
ただ過去の中国に飛ばされた訳ではない
情報が圧倒的に足らない
難しい顔で考え事をしていると…
ヒュンと槍の矛先が眼の前にあった

「なんだよ」
「太守がいるのに頭も下げずに立っている下朗を成敗しようと思ってな」
「面白ぇ…何らなら今此処で殺り合っても良いんだぜ?」
「下朗の血で部屋を汚す訳にもいかん、表に出るが良い」

槍の女が先に部屋を出て行く
桃香と白い女が互いに謝っているが…
関係ねぇ
久しぶりに命のゲームが出来る
血がたぎるぜ…
バキバキバキとスーツが起動した
強敵が現れた事を喜んでいる様に…


表の練兵場にはやじうまが集まり
異様な雰囲気になっていた
中心には暁と槍女が対峙している
互いに睨み合い、まさに一触即発の状態だ
桃香達は必死に止めてきたが無視した
こんなスリルは久しぶりだからだ
ワクワクが止まらねぇ…
自然と笑みが溢れた

「ほぅ…これから死ぬのに笑うとは余裕ですな、下朗」
「ククッ…実際、【余裕】だからな」
「さっさと武器を取れ…直ぐに楽にしてやる」
「生憎俺は素手が得意なんでね、手加減してやるから安心しな」

その言葉を合図に闘いの火蓋は切って落とされた
高速の槍が暁の頬を掠める
速ぇな…
攻撃の間隔が殆どない
首、身体、腕、脚 全てを使い紙一重で躱す
一方的な展開だ

「ハイハイハイハイー」

掛け声と共に暴風雨の様な刃の嵐が暁を襲う
一瞬でも気を緩めたら殺られる…
ちぃ!懐に入れねぇか!
刃が空気を切り裂く
只の一度も失敗は許されない
ギリギリのチキンレース
必ず一瞬のチャンスがあるはずだ
その時の為に…
ひたすら攻撃に耐える

「どうしたっ!口程にもないな下朗!」
趙雲は焦っていた
攻撃が当たらないのだ
手加減などしていない
本気で突いているのに何故っ
焦りからかつい悪態が出てしまった
この男は強い
最初から分かっていた
安い挑発をしてその気にさせる
案の定食い付いてきた…
やはりあの男は自分と同類だ
だからこそ、本気で死合いたかった
ならば…
「これならどうだぁ!」
全力の突きを放った

これだ!
上半身を正面に保ちながら深くスウェーする
眉間を穂先が掠めて血が飛ぶ
しかし…躱せた!
槍を戻す際の隙をつき
ダッダダダっと一気に距離を詰めて
渾身のアッパーカットを放つ
しかしギリギリで躱される…が
そんな事は計算済みなんだよっ
流れる動作で身体を大きく捻り跳ぶ
戦鎚の様な凶悪な一撃
「おらぁ!!」
暁の胴回し蹴りが炸裂した

「ぐぅ!」

危なかった
かろうじで槍で蹴りを受ける事が出来たが…
借りた槍の柄の部分が歪んでしまった
鉄芯が仕込んであるのになんて馬鹿げた威力だ
直撃したらひとたまりもない
ジワリと冷や汗が背中に流れる
こんな汗をかくのは久しぶりだ
チラッと男の方に目を向けると…
眉間から紅い血を流しながら男は…

【笑っていた】

ハハッ思った通りだ
蹴られた怒りよりも
腕に残る痛みよりも
強敵に会えた喜びが勝り
笑ってしまった
一騎討ちの最中なのに…

「さて…挨拶は終わりだぜ」
「おや?随分過激な挨拶ですな?」
「言葉は要らねぇ…楽しもうぜ?このゲームをよ」
「げーむ?良く分からないが同感ですな!」
2人は同時に駆け出した

さて…第2ラウンドの始まりだ  
 

 
後書き
戦闘描写や台詞の区切りが分かりにくいかと思います…
随時直していきますので悪しからずご容赦を… 
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