インフィニット・ア・ライブ
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第十一話「セシリアVS一夏」
「お待ちしておりましたわ」
一夏がアリーナに降り立つと、すでにセシリアが待っていた。
「待たせたな」
「いえ。外野が騒がしいようですが、大丈夫ですか?」
「ウチのもんが対応してるから、問題ないさ」
両者は不敵に笑い、各々の武装である特殊な大型の狙撃銃『スターライトmkIII』と細身の長剣『牙狼剣』を構える。
『それでは、試合開始です!!』
ブザーが鳴り響き、セシリアは上空へ、一夏は前へと駆け出す。
「さあ、私の奏でる円舞曲ワルツをお聴きくださいな!」
「生憎、俺は音楽にあまり興味はないんでね!」
セシリアのIS『ズルー・ティアーズ』から四基のビットが切り離されて、一夏目掛けて全方位からレーザーを撃つ。
「こいつは、出し惜しみできないな」
全てのレーザーを躱すことは不可能だと判断した一夏は、素早く上空に円を描く。
「待っていましたわ。さあ、黄金の輝きを取り戻した真の実力を見せてもらいますわ」
「変身中の攻撃はタブーじゃ!?」
一夏が止まった隙を逃さず、ビットだけでなくスターライトmkIIIからもレーザーは一斉に発射されたため、一夏の言葉は途中で遮られる。
地面に着弾したレーザーによって砂埃が巻き上がるが、次の瞬間に発生した突風でかき消される。
―――GARUUUUU……
砂埃が晴れた場所には、千夏との試合で見せた漆黒の鎧ではなく、闇の中に浮かぶ一筋の光の如き輝きを放つ、黄金の鎧をまとった一夏だった。
「お行きなさい!!」
セシリアの合図でビットからレーザーが発射されるが、一夏は避けることなく鎧で受け止めながら前進する。
「やはり効きませんか。でしたら、これはどうですの!?」
セシリアの言葉と共にビットに刃が生えて、回転しながら一夏に襲い掛かる。
「おい、セシリア!なんのマネだこれは!?」
ギュイーン、とドリルのように迫るビットに若干恐怖しながらも、剣や手甲、時には足元を狙うビットを蹴り飛ばし、一夏は声を張り上げる。
「あら?日本ではよく言うのでしょう?回転すれば、なんとかなると」
「それは、特撮の世界だけだ!特に、銀色の巨人辺り!!」
セシリアの間違った日本観にツッコミながら、埒が明かないと判断して手に持っていた牙狼剣をセシリア目掛けて投げる。
回転しながら飛翔する牙狼剣を、スターライトmkIIIを盾にして防ぐ。
意表を突かれたのか、ビットの動きが鈍ったのを一夏は見逃さず、弾かれてブーメランのように手元に戻ってきた牙狼剣を握って跳躍する。
「轟てぇぇぇん!!」
HIHIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIN!!
一夏の呼びかけに応じ、虚空から一頭の牙狼と同じ黄金の輝きを放ち、深紅の鬣をなびかせる馬が現れる。
そのまま轟天の背にまたがり、一夏はビットの追撃を振り切る。
「轟天!」
HIHIIIIIIIIIIIIIIIIIN!!
一夏の雄叫びと共に、轟天は地面を蹴って跳躍し、さらに一夏は轟天の背から跳ぶ。
KAAAAAAAAAAAAAAAAN!!
轟天が着地すると同時に打ち鳴らした蹄音が響き渡り、牙狼剣が一回り大きな牙狼斬馬剣へと変化する。
一夏はその牙狼斬馬剣を振りかざし、セシリアへと接近する。
「オオオオオォォォォォオオオオオ!!」
「クッ!ティアーズ!!」
一夏の迫力に気圧され、避けることが不可能と判断したセシリアはすぐさまビットを呼び戻して盾とする。
三基のビットがセシリアの前方に配置され、残る一基は轟天を狙う。
大剣とビットが火花を散らしながら、拮抗する。
「フッ!どうやら、私を斬れないようですわね!!」
「そのネタは一回やったわ!轟天!!」
ビットの動きを予測して跳んだ轟天は、ビットを前足で捕えてビットを地面に打ち付けると共に蹄音を鳴り響かせる。
KAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAN!!
「オオオオオォォォォォオオオオオ!!」
「そんな!?」
力を使い果たしたのか、轟天は消えてしまうが、牙狼斬馬剣がさらに一回り大きく、身の丈など優に超す大牙狼斬馬剣となり、セシリアは思ってしまった。
アレは、とても重そうだと。
一夏が使う再現されたソウルメタルは触れる者の想いによって重さや耐久力を変える。故に、軽いと思えば持ち手の体を浮かす程軽くなり、重いと思えば大地を割る程重くなってしまい。
よって、ビットを通して触れるセシリアの重いが反映されて、重量が増した大牙狼斬馬剣に耐え切れず、ビットが切り裂かれる。
刃はそのままセシリアの体も狙うが、それは体を捻ることで回避するが、すれ違い様に再び大牙狼斬馬剣を投げつけられたため、反応ができずにアリーナの壁に叩き付けられる。
大牙狼斬馬剣は元の細身の長剣に戻ると、そのまま上空へ飛んで回転しながら落下を始める。
「ゲホゲホッ!やってくれましたわね!!カスール!ジャッカル!」
セシリアはバチバチとショートするブルー・ティアーズを量子化すると、両手に漆黒と純白の大型拳銃を実体化させて構える。
「いやいや、中々やるようになったじゃないか、セシリア」
すでに鎧の制限時間が来たため、純白のコートを翻しながら拳を突き出す一夏は、うれしそうに笑う。
「お褒めに預かり光栄ですわ!この一撃に全てを賭けますわ!!」
「乗った!俺も早く休みたいんでね!!」
まるで獰猛な獣が獲物を仕留めることを確信したような笑みを顔に貼り付かせた二人は、牙狼剣が両者の間に突き刺さった瞬間に動き出す。
「断罪炎刀!!」
「七花八裂!!」
セシリアの二丁の拳銃からタイムラグなく発射された弾丸が十字を描き、一夏が体を捻って突き出した拳が激突した瞬間、アリーナは白い閃光に染められた。
「え?何コレ?イ○ローがレーザービームでも投げたの?」
「しずしず~、イチ○ーって誰~?」
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