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勇者指令ダグオンA's

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第二話 力の掟


第二話 力の掟

八神家キッチンにて

ダン!ダン!ダン!

はやてが半ば怒りながら野菜を切っていた。その鬼気迫った様子に耐え切ることが出来なそうな八神家の面々。

「なあはやての奴どうしたんだ?」

勇気を出してヴィータがシグナム言うと。

「・・・どうせ力の事だろう」

「りきぃ?」

はやてのギロの睨みに怯むシグナムとヴィータ。

その瞬間はやては野菜を空中に放り出し包丁を振り回した。そして銀杏切り、短冊切りと華麗な切り口となった野菜は鍋にダイブした。はっきり言って、ごった煮だがそれでもはやての料理はギガウマだった。

「主いったい何があったんですか?」

ごった煮をおかずに食卓を囲むシグナムが恐る恐る聞いてみると。はやては怒りマークありで答えた。

「今日の帰りなぁ~力君と一緒やったんよ」

回想

「いやさぁ今日さ~はやてさんって言う魔法使いの人に助けられてさぁ」

「いや力君それわた」

力の言っている魔法使いが自分自身であると言おうとするはやてだが全く耳を傾けず自身の話を押し通した。

「いや生かすよな~カッコいいよな~秘密の変身ヒロインっていうのが良いよな~俺ファンになっちゃったよ」

「いや力君それわた」

「まぁどっかの誰かとは大違いだな」

「(チッカーン!!)そのどっかの誰かって私?」

「うん!」

回想終了

「私のことやーー!!!それになんやあれ当て付けか!?嫌味か!?第一私変身秘密にしとるわけやない!!!ぎゃあああああああ!!!!」

あまりの理不尽な馬鹿の言い分を真に受け食卓で暴れる主が一人となだめる家族二人に傍観者二人。

取りあえずシグナムとヴィータが必死になだめてはやてが落ち着くと気を取り直して・・・

「はぁ~あれでも昔はええとこあったのになぁ」

「いいとこ?」

全く信用性の無い力の良い所にはやてが悶々と語り始めた。

「うん昔な私が子供の頃一人ぼっちになったときな」

再び回想

「えぐ!えぐ!」

「泣くなよはやて」

「だって私もう一人ぼっちなんやで誰もおらん」

泣き続ける私にな

「わかった。俺大きくなったらはやての家来になってずっと一緒に居るよ」

回想終了

「やで~普通ここはお婿さんになるって言うとこやのに家来やで家来!主従関係かっちゅうの!!まぁどううっせ子供の頃の戯言の約束や」

「あいつ・・・あの頃からあんなだったのか」

あまりにも力が馬鹿すぎて何も言えないシグナム。

「そうや!それに私がなのはちゃん達と仲ようなった時から消えおったし男の嫉妬ほど醜いもんないんや!」

膨れるはやてと冷や汗のシグナムとヴィータを尻目にシャマルは一人苦笑いしていた。

「ん?そういやはやて何で征西学園に転校したんだ?」

「え?」

「確かに主の学力ならもっと上の学校に通えたはず。いくら任務のために帰って来たからといって悪名高い征西学園に転校するとはもっといい学校はあったはずですが」

「ん?まぁええやん。ロストロギアに近いしそれに皆と一緒の学校行ったら愛着できてまうわ。それにしても力君のような最低男が居るなんて思わなかったわ!!」







「だって。どうするの?力君」

シャマルは携帯で電話していたその相手は力だった。因みに八神家で力の携帯番号知っているのはシャマルだけである。

「・・・あいつ覚えてたのかよ」

力は半ば呆れていた。

「そろそろ明かしたほうが良いんじゃないの?ぜ~んぶ知ってたって」

そう実は力ははやての正体を第一話より前の時点で知っていた。というよりも魔法の事も闇の書事件の事も関わっていた。実は力にも多少なりリンカーコアが存在したが魔法にはいたらずシャマルにはやてを助けるといわれ自ら差し出し消滅させたり、最終決戦の時のはやてを違う場所から見ていたりなど付かず離れず見守っていた。

尚、シャマルとは交流があった為険悪な付き合いという訳ではない。

「はやてちゃん相当ご立腹だったわよ。友達出来た瞬間捨てたって」

「女友達が出来たなら野郎の友達なんて邪魔なだけっしょ」

「それにしても律儀よね~小さい頃の約束守っているなんて」

「だから恥ずかしいからその事言わないでくださいよ。第一その約束大々的に実行してたらただのストーカーじゃないっすか」

実は力が征西学園に入学したのは学力不足だがはやてが通うであろう私立聖祥大付属高等学校に近かったからであるが。はやてが中学を卒業したのを期にミッドチルダに引っ越したためお役御免だと思っていた。

「じゃあ何でその約束守ってるの?」

「だたの約束なら忘れてるけど『男の約束』は死んでも守んなきゃいけないんす。父さんにそう言われたから・・・」

「『家来』が?はぁ~まあ適当に誤魔化しておくからくれぐれも刺激しないようにね。掟って言うけど力君としてはどうなの?」

「まぁあいつはなんか抱え込んじまうからな良いんじゃないっすか?『ただの八神はやて』しか知らない友達が一人居ても」

そう言って電話を切る力。すると腕のダグコマンダーを見つめた。

(・・・そうだな・・・南力は『ただの八神はやて』しか知らないが)

力の中ではある一つの決意が浮かんだ。

翌日

力ははやてに連れられ昨日の遺跡発掘に向かっていた。

「なぁなんで俺がこんな事に付き合わないといけないんだ?」

「まぁええやないの。旅は道連れ世は情け」

「けど~」

ごねる力に対してはやてはある提案をしてみた。

「んじゃ・・・ジュース奢ったる♪」

「よっしゃ!さっさと終わらせてさっさと帰るぞ~」

「安っ!」

やる気だしている力をしり目に力の物欲の低さに唖然とするはやて。

しかしはやての中ではある計画があった。

(ふふ!力君この先にはロストロギアがあるんや変な事になったら目の前で変身して憧れの魔法使い様が私やって幻滅させたるわ!)

などという下らない計画が発令していた。

そして遺跡内部を調査?し始め奥に向かうとだだっ広い空間に出た。そこには二体の巨像が立ち一つは恐竜のような石造、もう一つは人の形をした巨像だった。

「な!なんや?これ」

「まぁ昔の人が作ったんじゃないか?」

すると突然恐竜のほうの目が光り始めその光がはやてを包み込んだ。

「なんや!」

「はやて!」

恐竜は古代獣となり、はやてと力に襲い掛かった。そう古代獣ははやてのリンカーコアに反応し暴走プログラムが発動してしまったのだ。

「こりゃえらいこっちゃ!」

はやては騎士甲冑姿になると力のほうを見たがそこには誰も居なかった。

「あのボケナス逃げおったな」

頭に筋を浮かべてやけくそになりながら古代獣に向かっていくはやて。一方力は物陰に隠れダグコマンダーを手にした。

「トライ!ダグオン!」

力の身体に水色のダグテクターが装着されフルフェイスのマスクが形成される。

「ブレイブリキ!!」

魔法で牽制中のはやてだが古代獣ははやてに噛み付こうとした瞬間。力がはやてを助けた。

「おう!コスプレ娘!無事か!?」

正体がばれないように皮肉を言う力。尚はやてはフルフェイスのマスクの為全く気付いていない。

「誰がコスプレ娘や!!ったく誰やあんた!!」

「俺か?俺は『6人目のヴォルケンリッター』ブレイブリキだ!」

「は?」

力の突然の言葉に面食らうはやて。力はそのままはやてのほうに振り向いた。

「と言う訳で主!とっとと指示してくんな!」

「知らんかったヴォルケンリッターに6人目が居たなんてとにかくこの間のロボになって反撃や!!」

「了解!来い!ブレイブエラゴぉぉぉ!!」

遺跡の中からブレイブエラゴが現れた。

「融合合体!」

ブレイブエラゴが人型に変形した瞬間力と一体化し瞳が淡い緑色に光る。

『ダグ!ブレイブ!』

ダグブレイブはそのまま古代獣を蹴り飛ばした。しかし大きさが違いすぎるのか古代獣の牙に噛まれてしまった。抜け出せないダグブレイブ。

『くっそ!離せ!!うわあああああああああ!!!』

(・・・俺大きくなったらはやての家来になってずっと一緒に居る)

ダグブレイブにはやてとの約束が思い浮かぶ。

『中途半端で!!んな約束なんてするかぁぁ!!!』

ダグブレイブは古代獣にブレイブマグナムのゼロ距離射撃を繰り出し牙から逃れるとはやての前に立った。

『行くぜ!はやて!!』

「は、はい」

ダグブレイブのいきなりの言葉に困惑するはやて。

「ダグブレイブ!フルチャージシュートで牽制や」

『了解!!ブレイブ!マグナム!!』

ブレイブマグナムをチャージし、はやても魔法で古代獣の動きを止める。

『フルチャージシュートぉぉぉぉぉぉ!!!』

ブレイブマグナムから放たれたビームが古代獣に降り注いだが古代獣は少し怯んだだけで構わずダグブレイブに突進した。

『うわああああああああああ!!!くっそ』

尚も立ち上がろうとするダグブレイブにはやても魔法で攻撃するが面積が大きすぎるのかまるで効いていない。

(私の力じゃ足らへん!助けて・・・・ダグブレイブを・・・助けて・・・うううん!助けさせて!!力君!!)

その瞬間遺跡に立っていた巨大な人型の像の目が光りはやてを飲み込んだ。

「きゃああああああああああ!!」

『はやて!!』

突然の事に驚くダグブレイブ。はやてが気がつくとそこはコックピットのようなところだった。

「な!なんやこれ!!」

はやてが画面を見るとこう表示されていた。

デバイスをセットしてください。

「な!なんかようわからんけど!!」

はやては自身のデバイスを待機モードにし画面にセットした。その瞬間緑色の光がはやての身体をスキャンし始めた。

「な!なに!なんや!」

光が収まると機会音声が響いた。

『細胞番号登録完了 所有者 八神はやて』

「は?私が所有者?」

『カモフラージュ検索』

すると巨人から光が放たれ光は近くの高速道路を走っていた銀色のスポーツカーをスキャンし巨人の姿にマシンの鎧が構築される。

「え?え?」

『あなたのコントロールで起動します・・・・起動』

「えええええええええ!!!!」

はやての絶叫と共に先ほどまでただの人型の巨人像だったものが先ほどスキャンしたスポーツカーに変形し古代獣に向かって行った。

『な!なんだ?』

突然の事に驚くダグブレイブと古代獣。スポーツカーはそのまま古代獣に体当たりした。乗っているはやても何が何だかわからない。

「どないせいっちゅうねん!」

その瞬間電子ボイスがガイドした。

『チェンジしてください』

「ちぇ・チェンジ?」

はやての肉声を認識した巨人像は先ほどの人型に変形した。

『どうなってんねん!!』

はやての声がマイクで響く。

『その声!お前はやてか?』

『え?ダグブレイブ?』

古代獣は口から火炎放射を吐いたダグブレイブとはやては両サイドにジャンプする。

『ああ!もう訳わからん!!やけくそやぁぁぁぁぁぁぁ!!』

はやてはまたビークルモードにチェンジし体当たりを食らわせた。そしてまたチェンジした。

『チェンジ!ルシファード!!!』

『て!お前この状況で名前考えたのか!!?』

『やかましい!!名前無いとかっこつかへんやろ!!』

『とにかく今はこいつを地上に出すんだ!』

『OKや!』

ダグブレイブとルシファードは古代獣の両脇を抱え遺跡を突き抜けそのまま地上に送り出した。

『ブレイブマグナム!!』

『パルサーカノン!!』

ダグブレイブとルシファードのコンビネーション攻撃が炸裂するが古代獣はビクともしない。

(諦めねえ!!男が一度約束したら守んなきゃいけねえんだ!!)

その瞬間時空にひびが入った。

ダグブレイブとルシファードは身構えたが時空を越えてやってきたのはトレーラー型のビークルだった。トレーラーはそのままダグブレイブをスキャンするとダグブレイブに指令を送った。

(そういうことか!よし!!)

その瞬間トレーラーが変形を開始した。

ウイングが展開されコックピット部分は二つにわれ両肩になり収納されていた足が展開し人型になった。

『うおおおおおおおおおお!!!』

ダグブレイブがトレーラーに向かって走るとトレーラーの胸が展開されヘッドが登場した。ダグブレイブはそのままビークルモードに変形し胸部に収まった瞬間展開されていた胸が閉じヘッドの目が淡い緑に光った。

『勇者合体!ブレイブダグオン!!』

ダグブレイブはブレイブダグオンとなった。

『なんだこれ!凄げえパワーがみなぎる!!!』

余りのパワーに圧倒されそうになる力。古代獣はブレイブダグオンに突進したがブレイブダグオンは真っ向から受け止めた。巨大化した影響かこれが本来の戦闘形態だからなのか不明だが古代獣はブレイブダグオンに簡単に受け止められてしまった。

『うおりゃ!!』

ブレイブダグオンに投げ飛ばされる古代獣。その強さに力だけでなくルシファードの中のはやても驚いた。

『す!すご!!』

『はやて!一気に決めるぞ!!』

『了解や!!』

ルシファードのタイヤがはずれ手裏剣のような形になった。

『スパイクシュート!!』

ルシファードのスパイクシュートが古代獣の両脇を切り裂く。

『ブレイブソード!』

ブレイブダグオンはブレイブソードを構えた。古代獣目掛けてブーストダッシュする。

『ブレイブソォォドクラァァッシュ!!!!』

〈キシャアアアアアアアア!!!〉

ブレイブソードの一閃に古代獣は真っ二つになり断末魔の叫びを上げた。
ブレイブダグオンが去った後はやても変身を解きビークルモードにしたルシファードを眺め困っていた。

「うおおおい!!」

突然遺跡の中から現れるノーマル形態の力。

「なんかさっき変な怪獣が居たよな?お前無事か?」

「ああ、さっきの怪獣は力君の大好きな魔法使いさんとロボットさんが追っ払ったで」

はやては自分の正体バラシを諦めて言った。

「そっか・まぁお前さん無事で良かった良かった」

力はそのままはやてと帰路にたった。

(はぁどないしようあのロストロギア)

突如手に入ってしまったロストロギアに管理局の粛清がかかる事に戸惑っていたはやて。

「まぁ何があったか知らねえけど気にするな」

「って!力君!!」

正体ばれてない事に奇跡を感じるはやてだが力は。

(南力は『ただの八神はやて』しか知らないがブレイブリキは共に戦う仲間だ)

力の中では新たな掟が決まった。力とはやては共に帰路に立つとその後姿を赤い革ジャンの女性が見守っていた。

「とりあえず・・・第一関門クリアってとこか」
 
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