ラ=トスカ
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第五幕その五
第五幕その五
その後欧州は十五年もの間ナポレオンという風雲児によって席巻される。そこにいる全ての者が彼の強い影響下に置かれる事となった。
エマ=ハミルトンはネルソンとの愛に生きるが彼の死後放蕩の末カレーで失意のうちに死す。
マリア=カロリーネと彼女の王国は後にイタリア統一という大きな激流に呑み込まれその中に消えた。
アッタヴァンティ侯爵夫妻はローマにおいて貴族として平凡な一生を終えた。
スポレッタ達はシチリアへ逃げ帰った。その行方はようとして知れない。おそらくは元の山賊にでも戻ったか平凡な農民になったのであろう。
アルトゥーロ=カヴァラドゥッシはオーストリア軍の将として各地を転戦、知将として歴史に名を残す事となる。
アンジェロティは再度ローマ共和国領事に就任。紅衣の男の補佐を受け自由主義の普及に尽力する。彼の死後紅衣の男は姿を消した。一説によると姿を消す直前ナポレオンの前に現われたらしい。それ以後ナポレオンの没落が始まった。
マリオ=カヴァラドゥッシはトスカと共にヴェネツィアへ行き絵を描き続ける。後に欧州の政変に伴い彼女と共にアメリカへ渡りその地で一生を終える。彼の絵は今でも名画として世界中の美術館に飾られ美と芸術を愛する人々に愛されている。
フローリア=トスカはヴェネツィアへ行った後も高名な歌手として恋人共に欧州を回る。ナポレオンが倒れると恋人と共にアメリカへ移り以後ニューヨークを中心に活躍した。稀代の名ソプラノの歌と愛の生涯は彼女が泉下の人となって尚人々の心に生き続けている。そして今でも我々の心を惹き付けてやまない。
ラ=トスカ 完
2004・6・17
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