ポケモン+ノブナガの野望
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ブショー、再戦する。
そして、次の日。
「お主、不意打ちでだめとわかったら、真正面からきたか」
ヒデヨシが未だにぎこちない感じになっているカズヒデを見て、言った。
「うるさい。さっさと戦うぞ。……彼女のためにな」
カズヒデは目の前で悲しげにこの戦いを眺めているオイチを見て、言った。
「ハハハ。お主、オイチ様に惚れたな?」
「……くっ!!」
「ハハ!! オイチ様は、絶対に守らねばならぬ存在!! たとえお前なんかに惚れてもらっては困るのだよ!!」
「……なにをぉ?」
「はいはい!! 両者構えてください!! これから『イクサ』を開始します!!」
イクサ。
名前のとおりブショー同士が戦うものであり、それで彼らは勝敗を決定する。
ブショーは、かつてはその生身で戦っていた。武器を備え、用い、戦っていた。銃弾が撃たれ、剣が降りおろされ、まさに地獄絵図と呼ぶべき光景が広がっていた。
その世界を、ヨリトモと呼ぶ人間がランセの統一とともに、『イクサ』を制定し、血を血で洗う地獄絵図の戦争は終了を遂げた。
ルールは様々あるが、今回は『シングル』、ポケモンで1VS1、勝ち負けは相手ポケモンが気絶したら勝ちとなる。それだけ。単純なものだ。
「……よかろう。私にイクサを挑むとは…… 正気があるんだろうな? 小童」
「小童、ねえ……」
カズヒデは、笑って、言った。
「俺には、カズヒデ、っていう立派な名前があるんだけどね?」
「バトル、開始!!」
同時に、審判の声が響いて、イクサが開始された。
「ゴウカザル、『かえんほうしゃ』」
ゴオオオオオ!!!! とゴウカザルが炎を吐く。
カーフはそれを華麗にかわす。
「カーフ、『でんこうせっか』!!」
カーフはそれを聞いて光の速さで、ゴウカザルに向かって突撃した。
戦いの決着は、一瞬で決まった。
「……ゴウカザル……!!」
ヒデヨシは倒れているゴウカザルの上に平然とした顔で座るカーフを見て、愕然としていた。
「……やった、勝った……!!」
「……イクサ、カズヒデの勝利!!」
「よっしゃあっ!!!!」
カズヒデは喜びのあまり、カーフを抱き上げ、笑って言った。
「私が……新参のブショーに負けるなど……このままでは!!」
ヒデヨシが苦しそうに叫んだそのとき。
「ノブナガ様がいらしたぞ!!」
ひとりの部下の声で、空間が張り詰めた。
「……ヒデヨシがいないと思ったら、こんなところにいたのか……。しかも新参ブショーに負けている、とはな?」
ノブナガは目だけの圧力でまるで死んでしまいそうなくらい、な緊張感を醸し出す男ということをカズヒデは知っていた。
「……お主、会ったことがあるようだが?」
「……六年前に、一度」
「ふむ……」
ノブナガは考え込んで、思い出そうと努力したが、すぐにそれをやめた。
「すまんが、忘れてしまったようだ。しかし、ヒデヨシを倒すとはな。といってもこの地方にブショーは私を含めて16人いる。まあ、頑張ってくれたまえよ」
肩を叩いて、ノブナガは去っていった。
「オイチ!」
さり際にノブナガはオイチの名を呼んだ。
「な、なんでございましょう!」
「いい男と会ったな」
ノブナガはそれだけを言って、城の方へ豪快に笑いながら歩いていった。
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