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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?

作者:海戦型
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チートナイト物語・四

 
前書き
いつの間にやらお気に入り数200超え+総合評価が1000点を超えてました。始めた当初は此処まで多くの人に見てもらえるとは露ほども思っていなかっただけに嬉しさ半分戸惑い半分です!(←オイ)
相変わらずのテケトークオリティですが皆さんの暇潰しになるならばこれからも続けていくセオリーでやんす。 

 
突然ですが、僕ことクロエはこの後病院に行くことになりました。

何でも僕の身体におかしい所がないか、一度大きな病院で検査するそうです。この前病院でやった物よりも本格的にするらしいです。

Q,何で検査するん?
A,お前の身体はおかしい

・・・はい、朝のチャンバラごっこでつい調子に乗って発揮しちゃった騎士パワーのせいで疑いをもたれたっぽいです。チャンバラの後で確認したらゼルギウスさん曰く”月光”というすんごいスキルをを無意識にバンバン使用していたから攻撃の威力がありえなことになってたらしいです。小柄で怪力なんて存在するのは2次元だからこそ許されるもの、3次元に居たらバケモノですやん。

『だって体が自分の思い通りに動くから楽しくってついちゃっかり・・・』
《確信犯ではないか》
『だって・・・喘息で体が弱かったから、運動は全然できなかったんだもん』
《む・・・それで、か》

激しい運動など以ての外、周囲に蝶よ花よと周囲(愚物を除く)に保護されまくっていた僕は運動らしい運動をさせてもらえることがなかった。おまえにはわかるまい、グラウンドを眺める事しか出来なかったこの僕を通して出る力が!ちなみにその力は愛しさと切なさと心弱さが1:5:4の割合で詰まっている。

《とはいえ、だ。少年の身体はもはや普通ではない。漆黒騎士を抜きにしても身に余る力を持っていることは自覚して・・・》
『固すぎずに程よい柔らかさを保った半熟の黄身・・・その表面に箸で軽く裂け目を入れ、甘めの旨口しょうゆをひっかける様にたらり・・・敢えてしょうゆから遠いところから黄身に箸を入れ、醤油の甘辛さと黄身のまろやかさの比率が”黄金比”になる部分を見極めながら、ゆっくりと白身から黄身を分離させる・・・そしてそれをッ!まだ何も塗っていない焼き立てトーストの上に乗せッ!!丸ごとガブリ!パンのカリッとした表面、しょうゆ、半熟卵の三つが揃って初めて生まれる三重奏!そしてその直後に口に流し込む牛乳の冷たくも口当たりのいい微かな甘味で舌をリセットッッ!!!イッツパーフェクト・・・素晴らしい連携・・・!』
《・・・食事が終わったら真面目に話させてもらおう》

ゼルギウスさんには悪いけど、今の僕は朝ごはんに夢中である。といってもトースト、スープ、目玉焼きと添えつけの野菜といういたって普通の食事だが。
それにしてもこの目玉焼きは素晴らしい。黄身は先ほど申した通り、白身も形を崩さず程よい硬さで仕上げてあるし、卵自体もかなり新鮮なものを使っていると見た。そしてなによりも―――

「メジャーな濃口醤油じゃない・・・これは多分昆布ダシを使ったダシ醤油・・・濃口の鼻につく独特の強い香りがなく、むしろ甘味が強めで醤油の色自体も皿の模様が透けてみえる透度があり、あっさりした後味がしつこくない・・・」
「え!?そこに食いつくのか!?」

隣で恭也さんの吃驚した声が聞こえるが、しょうゆは卵にとっては切っても切れない重要な調味料だ。僕の言葉に反応した桃子さんがこちらを覗き込んでくる。

「確かにそれは甘めのダシ醤油だけど・・・嫌いだったかしら?」
「いえ、むしろ卵とセットで使うならば間違いなくこっちの方が合います」

本来本州では濃口醤油が主流であり、九州辺りでメジャーなダシ醤油は甘味の強さから避けられがちだ。だが・・・その甘味は卵や刺身と出会った瞬間他の醤油には真似できないハーモニーを生み出す!

「塩コショウもありと言えばありですが、あれはどちらかというと固めに焼いたものに良く合います。ソースは香りと味が少しばかり強すぎる・・・使うなら、目玉焼き自体の風味を損なわず、かつしっかり味がつくダシ醤油です」
「うふふ、遂に自分から口を開いたと思ったら・・・分かってるじゃない♪」

そしてそこから僕は桃子さんと目玉焼き及び醤油議論を酌み交わした。桃子さんは料理に詳しいようで、ノリノリで主婦観点の貴重な情報を提供してくれた。とっても有意義な時間を過ごせて・・・僕、満足!


なお、その光景を他の家族は・・・


(分からない、君が分からないよクロエ君!何故君は今までちっとも喋らなかったのに目玉焼き議論でそこまで饒舌になってるんだ!?)by恭也

(醤油の味が分かる子供・・・っていうのも何だか変な話だが、これはこれで家族の皆とと打ち解けるいい機会・・・なのか?何にせよ、クロエ君と桃子が楽しそうで何よりだ!)by士郎

(恭ちゃんのほっぺたの傷・・・私でも攻撃を掠らせることさえ難しい恭ちゃんに掠らせたってことは、私現時点でこの子に劣ってる・・・?そ、そんなはずは・・・)by美由希

《マスター、彼の髪飾りはデバイスです》byレイジングハート

『・・・ふえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?じ、じゃあクロエ君も魔法使いなの!?』byなのは

《・・・・・・(レイハとなのはの会話が丸聞こえだが敢えて黙っている)》byゼルギウス


今日の高町家は表層意識下がカオスだった。







ご飯が終わってレッツ病院。士郎さん&桃子さんにつれられドナドナと運ばれていった。
そういえば御飯中美由希さんとなのはちゃんが凄くじろじろこっち見てた。
ひょっとして実は二人とも重度のブラコンで「オイィ?何ヨソモノの餓鬼が私達のお兄ちゃんをキズモノにしちゃってる訳?ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」というメッセージを瞳に乗せて伝えていたのだろうか。もし本当にそうだったら怖いので真相を聞くに聞けません・・・

《少なくともナノハの方は違うようだがな》
『何でわかるの?』
《念話が聞こえた。彼女は魔導師という魔法使いの一種だ》
『・・・魔法使い!?』

魔法使いというと真っ先に頭に浮かぶのは魔法使いサ・・・じゃなくてハリー・ポッター辺りが思いつく。夢と魔法と陰謀の世界に飛び込むためにレッツ9と4分の3番線!死の秘宝までちゃんと読み切った僕に死角はありません!

《残念ながらこの世界の魔導師というのは専らビームを飛ばすのが仕事だ。少年の言うような魔法使いでは断じてないだろう》
『がびーん!!』

その夢想をぶち殺す(ドリームブレイカー)。所詮すべては春の夜の夢に過ぎなかったみたいだ。正直ちょっとヘコんだ。

それはともかく身体検査です。結論から言うと割と早く終わりました。検査用に血を抜かれたときは必死に注射器の中身を見まいと顔を逸らしまくってお医者さんに笑われました。
注射自体はそれほど怖くないけれど、血はダメなんです。本当ですよ?


で、現在僕は診察結果を盗み聞きしています。何で盗み聞きかって?お医者さんが「何所にも異常はありませんでした」って言ったのに高町夫婦だけ「話がある」って呼び止めて僕だけ追い出されるなんて完全に何か隠してるじゃないですかーヤダー!・・・という事です。
耳をすませばほら、3人の会話が良く聞こえてきます・・・

[・・・明らかに人間のそれとは全く違う未知のDNAが検出されました。彼のヒトゲノムは89%が人間、残りは我々の知らない生物・・・です。一番近いのが”人狼”でしょうか・・・]
[しかし人狼でもない・・・と]
[日常生活には問題ないんでしょう?]
[ええ、それはもちろん。寿命や身体能力は我々”夜の一族”とそこまで変わりありませんよ]
[そうですか・・・取り敢えずそれを聞いて安心しました]

え、何それ怖い。というかヒトゲノムって高々数時間で分かる物じゃありませんよね!?っていうかこの世界ってオオカミ人間とか屍鬼(おきあがり)とかいるんですか!?今日からは狼少年ケンと名乗らなければいけないのかな・・・
あれですか、屍鬼驚異の科学力!という奴なんでしょう。たぶん。そうだと思いたい・・・僕の中のちっぽけな常識の範囲を守るために。常識は投げ捨てるものではない・・・あれ、良く考えたら一番常識的じゃない存在って僕じゃない?


結局二人は僕に真実を話そうとはしなかった。ただ・・・

「クロエ君、私たちは例え血が繋がってなくとも家族だよ。それだけは忘れないでくれ」

士郎さん、急にそんなこと言われたら流石に子供でも何かあったなと勘づきますよ?

「クロエ君、帰りに服を買いに行きましょう!!その髪飾もとっても似合ってるしきっと女物の服でもイケ・・・じゃなくて服がないと不便ですもの!」

桃子さん・・・欲望が口の端から洩れかけてます。もう少し自制しましょうね?しかしそのポジティブさはイエスです。士郎さんも見習った方がいいですよ?

その後、買物に行ったまでは覚えているんですが、実際に”ぶちっく”に行ってから何があったかを思い出せません。気が付いたら高町家のリビングでゴスロリ姿で寝てました。ナニカサレタヨウデス・・・何があったのか知るのが怖くてゼルギウスさんに聞くに聞けませんでした。




~その頃月村家~

「私たち夜の一族でさえ知らない種族、ねぇ・・・遺伝子を操作された形跡がなかったから人間兵器の類とは考えにくいんだけど・・・」
「お姉ちゃんどうしたの?」
「いえ、ちょっと面白い事になるかもしれないから・・・」
「???」

吸血姫と黒騎士の再会は案外近いかもしれない。


つ づ け  
 

 
後書き
目玉焼きが食べたくなる小説を目指してみた。私は醤油派の人間です。皆さんは何派?
ちなみに目玉焼きに砂糖+納豆は正直おいしくなかった・・・文化圏の違いって意外と大きいね 
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