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真剣で武神の姉に恋しなさい!

作者:炎狼
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瑠奈の力

 
前書き
はい
では今回は瑠奈の右目の秘密?を明かしたいと思います。

釈迦堂さんもちょっとでるよ!

ではどうぞ 

 
 川神に到着した千李と瑠奈は川神院に向かっていた。

 と言っても瑠奈のほうは電車に揺られいい感じに眠くなってしまったのか千李のお
ぶられすやすやと寝てしまっている。

 ……それにしても瑠奈の眼帯気を抑えるだけの効果じゃなさそうだけど……何の効
果があるのかしらね。

 背中で寝息を立てている瑠奈の右目に装着されている眼帯を気にかけながら歩いて
いると、不意に声をかけられた。

「おう、千李なにやってんだこんなとこで」

 千李が振り返るとそこにいたのは釈迦堂だった。

「どうも釈迦堂さん。そっちこそ大の大人が真昼間っから何やってんですか?いい加
減働いた方がいいんじゃないですか?」

 悪戯っぽい笑みを浮かべながら千李が言うと釈迦堂は一瞬苦々しい顔をしたがすぐ
に平常に戻り、

「まぁそういうな千李。俺だって全く働いないわけじゃねぇ、不定期でたまには仕事
してるんだぜ?」

「いくら働いてるって言っても不定期じゃあ甲斐性が心配になりますね」

 反論に対し釈迦堂はついに折れたのかうなだれた。

「つかお前は本当に容赦ねぇな昔から……ところでお前がおぶってるそのガキ一体誰
だ?」

 釈迦堂が瑠奈を一瞥して言うと千李が冷静に答えた。

「この子?私の娘ですよ」

「ああ、お前の子かそうかそうか。まぁそんだけなんだ」

「そうですか。じゃっ」

「おう」

 そうして二人は分かれた。

 はずがなかった。

「ちょっとまて!!」

 進もうとする千李を釈迦堂が呼び止める。

 その声に千李は釈迦堂をにらみつける。

「なんですか?瑠奈が起きるから大声やめてくださいよ」

「ああすまねぇ……だからそうじゃねぇ!!そのガキがお前の娘だぁ!?」

 釈迦堂がそういったところで釈迦堂の頭を千李が掴んだ。

 そしてそこからメシメシと骨が軋む様な音が聞こえ始めた。

「だから大声やめてくださいって言いましたよね?」

「……お、おうわかった……だから離せ……」

 意識を朦朧とさせながら弱弱しく釈迦堂が言うと千李は力を緩め離す。

 解放された釈迦堂はしばらく頭を抑えていたが少しすると千李に聞いた。

「お前いつの間に男なんかいたんだ?つか子供まで」

 問いに対し千李は小さく笑うと釈迦堂に告げた。

「実の子じゃありませんよ、養子です」

 その言葉に納得したのか釈迦堂は頷いた。

「そういうことか、いや~焦ったぜ」

 釈迦堂が言ったところでおぶられていた瑠奈が目を擦りながら目を覚ました。

「んぅ~……?ふぁあ…もう着いたのお母さん?」

 瑠奈が千李に聞くと千李は優しく答えた。

「起こしちゃった瑠奈?ごめんねこのおじさんがうるさくて」

 そういうと千李は釈迦堂をまたも睨みつける。

「また俺が悪いのか……」

「ええ。釈迦堂さんがすべて悪いです」

 うなだれる釈迦堂に千李が止めを刺しにかかるがそこで瑠奈が聞いた。

「お母さん?この人は~?」

「この人はね働いていていない人でプーさんって言うのよ」

 千李が言うとそれに納得したように瑠奈が頷いた。

「そうなんだ。よろしくねプーさん!」

 そして瑠奈の屈託のない無垢な言葉に釈迦堂は精神的な意味での止めを刺された。
その姿を見て千李は危うくふきだしそうになったが何とかとめきびすを返した。

「じゃあ瑠奈行きましょうか?じゃあまたプーさん」

「ばいば~いプーさん」

 千李たちが立ち去った後には大の大人が伸びきっていた。



 釈迦堂と分かれてすぐ瑠奈は千李から降りたいといった。どうやら自分で歩きたい
らしい。

 千李もそれに納得したのか瑠奈をおろした。

「お母さん」

 降りた瑠奈は千李に手を差し出した。

 千李はそれを笑顔で握り返す。

 そして二人は歩き出す。

 その後二人はまっすぐ川神院を目指し歩き出した。
 
 川神院に着いたのはお昼過ぎだった。

 瑠奈は初めてのところいうことで若干緊張していた様子だが千李が「大丈夫よ」と
言うとすぐに笑顔になり、二人は川神院に入っていった。

 川神院に入り最初に待っていたのは鉄心だった。

「ただいまじじい」

 千李が言うと鉄心は「うむ」と頷くと瑠奈に目を向けた。

「君が瑠奈じゃな?」

 鉄心が声をかけると瑠奈は大きな声で返事をした。

「はい!!こんにちわ伊達瑠奈です!これからよろしくお願いします!」

「ほっほっほ。元気のよい子じゃのう……じゃがひとつ違うぞ」

 その言葉に瑠奈は不安そうな顔になるが鉄心は二カッと笑い言う。

「ここはもう君の家じゃからなただいまでよいぞ?」

 すると瑠奈は千李を見上げる。

 千李がそれに頷くと瑠奈はまた大きな声で言った。

「ただいま!おじいちゃん」

 瑠奈のその声に鉄心は何かにうち抜かれたような行動をとった。

「……これがひ孫の威力か」

「馬鹿なことやってないで早く来てくんないじじい」

 鉄心が胸をおさえているときすでに千李は瑠奈をつれ玄関にいた。

「せかすでない。別にひ孫ができたことに浸っててもいいじゃろ?」

 そういいながらも鉄心はやってきた。

「それで?どうしたんじゃ?」

 問いに千李は瑠奈の撫でながら言った。

「瑠奈の眼帯が気になってさ三大のばあちゃんが言うには力抑制のためってらしいん
だけど……どうもそれだけじゃない気がするのよね」

「ふむ。では調べてみるかの荷物を置いたらわしのところに来い」

「了解。じゃあ行きましょう瑠奈」

 そういうと千李と瑠奈は手をつなぎ部屋に行った。

 二人の後姿を見ながら鉄心は嬉しそうに笑っていた。



 荷物を置き終えると千李は瑠奈とともに鉄心の元にやってきた。

「来たのう。では瑠奈や眼帯をはずしてくれるか?」

「はい」

 瑠奈は素直に返事をしかけられている眼帯をはずした。

 その瞬間抑えられていたであろう瑠奈の気が辺りに放出された。その瞬間瑠奈は一
瞬苦しそうな顔をしたが千李が肩に触れると少しそれが和らいだ。

 ……うん。瑠奈の気は本当に強い。鍛えればたぶん壁を越えられる。

 千李が思っていると瑠奈が閉じていた右目を開いた。

「ほう……」

「これって……」

 瑠奈の瞳を覗き込むとそこにあったのは金だった。

 そう、瑠奈の右の瞳は金色だったのだ。

 金の瞳はまるで龍のようだった。

「うむ。もうよいぞ」

 鉄心が言うと瑠奈は眼帯をかけなおす。

 眼帯をかけなおした瑠奈は隣にいた千李の腕に抱きついた。

 それを千李は優しく抱きとめながら頭を撫でる。

「ふむ……瑠奈のこの瞳は〝龍眼〟じゃな」

「りゅうがん?」

「なによそれ?」

 二人の質問に対し鉄心は軽く咳払いをし続けた。

「〝龍眼〟と言うのはな。伊達家の何代かに一人受け継がれている特殊な瞳のことじ
ゃよ。そして〝龍眼〟にはある特殊能力のようなものがあっての」

「それって?」

 千李が聞くと鉄心はさらに続けた。

「〝龍眼〟を持つものは武器を極めることができると言われておる。それは刀であっ
たり槍であったり弓であったりとさまざまじゃ。かの伊達政宗も龍眼を持っていて刀
を極めたと言われておる」

 そのことに千李と瑠奈は二人で頷いた。

「じゃあ瑠奈も鍛えれば相当な力が得られるってことね」

「そうなるのう。しかしそれを決めるのは瑠奈本人じゃ」

 鉄心は言うと瑠奈のほうを真剣な面持ちで見つめる。

 すると瑠奈は考えるような顔をしたが少しすると答えを出した。

「……私はつよくなりたいです。つよくなってお母さんのとなりに立っていたい」

 瑠奈の発言に鉄心は短く笑うと静かに頷いた。

「わかった。では瑠奈は今日このときよりここ川神院の門下生とする。担当は千李お
主がやれ」

 その言葉に瑠奈はとても嬉しそうに千李を見上げた。対する千李も瑠奈を撫でなが
ら優しく抱きしめる。

 千李は瑠奈に聞いた。

「瑠奈、後悔はない?」

 千李の問いに瑠奈は、

「うん。私が自分でえらんだことだもん」

「そう。わかったわ、じゃあ明日からちゃんと鍛えてあげる。それでいい?」

「うん!!」

 大きな声で頷くと瑠奈は再度強く千李に抱きついた。

 その二人の様子を見ていた鉄心がニヤニヤしていると千李が聞いた。

「なにニヤニヤしてんのよジジイ」

「いや~、今のおぬしはまさに瑠奈の母親といった感じじゃな」

「当たり前でしょうが。この子は私の子なんだから、私が母親らしくなかったらおか
しいでしょ」

 鉄心の感想に対し千李は当然だと言う風に鉄心をみた。

 瑠奈も千李の言葉が嬉しかったのだろう、少し顔を赤らめうつむいた。

 すると廊下のほうから騒がしい声が聞こえてきた。

「おいジジイ!!さっきの気は一体……って姉さんおかえり」

 声の主は百代だった。

 百代は道着を着込んでいた。鍛錬の途中だったのだろう。

 するとその後ろから体操服姿の一子もやってきた。

「あ!千姉様!おかえり~」

 そういうや言うやいなや一子は千李に飛び込んできたが千李の腕の中に瑠奈がいる
のを発見すると千李の目の前で落ちた。

 落ちた一子はぴくぴくと動いていたがすぐにガバッと起き上がると千李に詰め寄っ
た。

「せ、せ、せ、せ、千姉様!?誰なのその子!!」

「落ち着きなさいって私の娘よ」

 その発言に場の空気が止まった。

 一瞬の沈黙の後その沈黙は一子の声によって破られる。

「えっーーーーーーーーーーー!?」

 一子の次に今度は百代が驚きの声を上げた。

「なにいいいいいいいいいいいい!?」

 二人の叫びに千李の腕の中にいた瑠奈がビクッと体を震わせる。

 それを感じた千李はおもむろに立ち上がり二人の元に行くとそれぞれに拳骨を喰ら
わせた。

「いって!?」「あだっ!?」

「騒がないで瑠奈がおびえてるでしょ!!」

 千李の一喝に二人が頭を抑えながらも黙った。

「いい?この子は私の娘の瑠奈!実の子じゃないけど実の子以上に大切な私の大切な
娘。以上!」

 黙った二人に対し千李はそれ以上の説明をしなかった。

 瑠奈はというと先ほどからずっと千李の足に抱きついている。

 千李の説明で納得したのか二人は顔を見合わせ頷いた。

「なるほど。姉さんの娘かじゃあ私やワン子の姪ってことになるな!」

 そういうと百代はしゃがみ瑠奈と目線を合わせた。それに一子も続いた。

「はじめましてだな。私の名は川神百代だお前の母親川神千李の妹だよろしくな」

「じゃあアタシもね!アタシの名前は川神一子!一番下の妹よ」

 二人が言うとそれを聞いた瑠奈も答える。

「はじめまして。伊達瑠奈です」

 瑠奈が言うと千李が訂正した。

「まぁ今は伊達ってなってるけどそのうち川神瑠奈になるけどね」

 だが百代が反応したのは瑠奈の前の名前に方だった。

「伊達っていうと伊達家か?じゃあさっきの気はこの子か」

「ええ。この子の力よ」

「へー」

 そういうと百代はじっと瑠奈を見つめた。

 瑠奈はそれに恥ずかしくなったのか千李の後ろに隠れた。

「それにしてもこの子すんごくかわゆいな~」

 すると百代は隠れた瑠奈のほっぺをプニプニと触り始めた。

 それに瑠奈は

「く、くすぐったいからやめてももよおねえちゃん」

「かはっ!?」

 百代は瑠奈の上目遣い攻撃により崩れ落ちた。

「ちょ!?モモ姉様?」

「……ワン子……瑠奈には気をつけろ……ガクッ」

「大丈夫?ももよおねえちゃん?」

 倒れ付した百代を心配してか瑠奈が百代を覗き込んだ、だがそれがさらに百代に追
い討ちをかけた。

「ぐはっ!?……もうやめてくれ私が死んでしまう」

 その様子にその場にいた全員がため息をついたのは言うまでもない。



「ああ本当に死ぬかと思った」

 百代が何とか回復したあと鉄心以外の四人は千李の部屋に来ていた。

 ベッドの上には四人が狭苦しく座っていた。

「まったくお前の可愛い物好きも困ったもんね」

「いや~」

「褒めてない」

 百代が頭をかいていると千李が冷静に突っ込みを入れた。

 ツッコミを入れられ多少百代は落ち込んだがそれを無視し一子が聞いた。

「ねぇ千姉様?瑠奈って強いの?」

「ん~。まだまだねでもすごい逸材でもあるわ」

 千李は言いながら瑠奈の頭に手を置いた。

 それがくすぐったかったのか瑠奈は目を細めた。それを見た一子はうらやましいの
か若干むくれた。

 だがそこで落ち込んでいた百代が声を発した。

「あ、そうだ。今日島津寮に行くんだが姉さんも来るか?もちろん瑠奈も」

「そうねぇ……。遠慮しとくわ、なんだかんだあって疲れもあんまり取れてないし。
瑠奈と一緒に家に居るわ」

「そっか」

 じゃあしょうがないか、と百代はいいながらとなりでむくれている一子の頭を撫で
る。

「ところで、クリスとはうまくやってる?」

「ああ、昨日も遊んだよなワン子?」

「うん。クリはもうちょっとお堅い感じがあったけど普通に遊べたわ」

 二人の言葉に千李は満足そうに頷いた。

 その後も四人で談笑しながら時間は過ぎていった。



「じゃあ行って来るな~」

「いってきま~す」

 百代と一子は夕方になり島津寮に向かうため川神院を出て行った。

 その後姿を千李と瑠奈は見送っていた。

「ももよおねえちゃんにかずこおねえちゃん。いってらっしゃ~い」

 瑠奈は二人の姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。

 二人の姿が見えなくなると千李は瑠奈を誘い川神院の中にある武器庫に来ていた。

 千李はここで瑠奈が極められる武器を探すことにしたのだ。

「どう瑠奈?なにか気になったものはある?」

「う~ん。わかんない」

 瑠奈が言うと千李は「そっか」といいながら口元に手を置き考え始めた。

 ……ここに極める武器はないってことなのかしら?いやもしかしたら――――。

「瑠奈。眼帯をはずしてここにある武器を見てみたら?」

「え?」

 このことに瑠奈は疑問があるようだった。

 だがそこで千李が説明をする。

「もしかしたらその〝龍眼〟で見たもののなら分かるかもしれないから」

「そっか!うんやってみる」

 そういうと眼帯をはずした瑠奈は再度周りにある武器を見ながら歩き始めた。

 するとある武器の前で瑠奈の歩みが止まった。

 千李もそれに気づいたのか瑠奈のもとに行き瑠奈の視線の先を見るとそこにあった
のは、

「双剣?」

 そう双剣だった。

「これが一番ピンと来た?」

「うん。なんかこれがいちばんつよくかんじたよ?」

 瑠奈は眼帯をかけなおしながら言った。

 千李は壁に立てかけてある双剣を手に取り瑠奈に渡した。

「重いから気をつけてね」

「はい」

 受け取った瑠奈はそれを振った。

 その光景を見るとまるで重さを感じていないかのようだった。

「瑠奈もしかて重さを感じてないの?」

 千李が恐る恐る聞いてみると瑠奈は静かに頷いた。

「うん。ぜんぜんかんじないわけじゃないけど、すごくかるい」

「なるほど」

 ……まさか龍眼にこんな力もあるなんてね。

 内心で考え込んでいるといつの間にか鉄心が現れ二人に話しかけた。

「ふむ。武器が決まったようじゃの。ほう……双剣か」

 言う鉄心に瑠奈は双剣を渡した。

 鉄心はそれを受け取ると「うむ」と頷いた。

「では瑠奈の武器はこれで決まったな。しかしさすがにこのままの長さだと扱いにく
いじゃろう。すこし時間はかかるかもしれんが、新しく造ってもらうかの」

「いいの?」
 
 千李が聞くと鉄心は「ほっほっほ」と笑いながら言う。

「かわいいひ孫の使うものが決まったんじゃ。それをそれをその子の体に合うように
造ってやるのはじじいのつとめじゃ」

 鉄心はそういうと瑠奈の頭をポンポンと軽めにたたいた。

「そうね。よかったわね瑠奈」

「うん!!ありがとうおじいちゃん」

 返事をすると同時に瑠奈は鉄心に礼を言うと先ほどの百代と同じように鉄心が崩れ
落ちそうになった。

「た、確かにこれは……モモのいうたとおりの破壊力じゃ」

「はぁ……。孫と祖父二人でなにやってんだか」

 ため息をつきながらも千李の顔はどことなく嬉しそうだった。

 その後は例により千李と瑠奈は一緒に風呂に入り一緒の布団で眠りについた。

 瑠奈は千李の寝巻きをがっしり掴み離さないように寝ていた。まだ不安が残ってい
るのだろう。

「……大丈夫よ。私はちゃんとここにいるから。何処へも行かないから安心して眠り
なさい」

 そういいながら千李は優しく瑠奈を包み込んだ。

 こうやって千李の日曜日は終わっていった。 
 

 
後書き
以上でございます。

瑠奈の右目のことはお分かりになられましたでしょうか。
瑠奈の武器は双剣ということにしました。

感想、ダメだし、アドバイスお待ちしております。 
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