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とある碧空の暴風族(ストームライダー)

作者:七の名
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出会い
  Trick07_それでよろしいのですか?



「おまえら、ちょっと待て!」

帰ろうしてと公園の出口へ歩いていた
御坂、白井、初春、佐天、信乃、ジュディスの6人。


そこに金属バッドやナイフを持った男5人が声をかけてきた。
その中で長髪の男が一歩前に出た。

「かわいいお嬢さんたち~お兄さんとデートしようぜ、へへ!」

≪デート≫と言っているにも関わらず、男には攻撃の意思を出している。


ジュディスは信乃の体に隠れるように足にしがみついた。

全員が身構えたが、唯一動いたのは白井だった。

「レディーに対する作法がなっていませんわね。そのようなものを持ってナンパなどと
 いい度胸ですわね。それに・・これが見えませんの?」

一歩前に踏み出して腕に着いた腕章を掴み、男たちに見えるようにした。

風紀委員(ジャッジメント)ですの! 暴行未遂であなたたちを拘束させて
 もらいますわ!」

男たちに全くおびえることなく言い放つ白井。

しかし、当の男たちは気にした様子もなく笑っていた。

「へへ、それがどうした? こっちがなんも手を打たずに来てるとでも思ってんのか?」

「な!?」

余裕を見せ続ける男たち。

(何をたくらんでますの!?)

白井は男たちを観察した。

持っている武器は金属バット、鉄パイプ、ナイフ。
全員が武器を持っているが、特に変わった武器と言うわけではない。

しかし、訓練を受けた風紀委員相手にたったの5人で挑んでくることを
考えると、高レベルの能力者がいる、または白井を倒す作戦を用意している
可能性がある。

戦うにしても、後ろには戦うことができない初春、佐天、ジュディスがいる。

(お姉様と信乃さんは問題ありませんわ。初春と佐天さんも逃げるだけでしたら・・。
 しかしあの少女、氏神さんは逃げることもまともにできませんわ。
 初春たちに任せても氏神さんが足手まといになって共倒れになってしまいますし、
 下手に手が出せませんの・・)

白井が状況を考えて動けないでいると

「白井さん、私が相手しますよ。女の子に戦わせるわけにはいきませんから」

白井の前にゆっくりと信乃が出てきた。

「ですが信乃さん、相手の様子ですと何か策があるようですわ!
 それに風紀委員として戦わないわけにはいきませんわ!」

「使命感を持つことは大事ですけど、ここは私に譲ってください。
 それに、後ろの4人を守ってほしんですよ。私は守る戦いってものが
 苦手ですから」

笑顔を浮かべる信乃。おそらく、苦手の理由は嘘であろう。

「それにこんな大人数を相手にすると、必ず倒しそびれた奴が初春さんたちを
 襲ってくる可能性がありますから、その相手はお任せします」

「大人数? 相手は5人ですわよ?」

「いいえ、私達の周りに近づいてくるスキルアウトと思われる奴らが21人いますよ。」

「!?」

白井は周りを見渡す。誰もいないと思っていたが、ぞろぞろと
スキルアウトが集まり始めた。


「よく気付きましたわね・・集まり始めたばかりで全員がそろったわけではありませんわよ」

「得意なんですよ、人のたまs・・気配を感じるのが」

信乃の言葉は長髪の男にも聞こえたようで、関心したように、

「よく気付いたな・・さすがの風紀委員でもこの人数を相手じゃ勝てねえだろ?
 ハハハハハ!」

と言い、気持ちの悪い声で笑い始めた。おそらく奴がリーダーだろう。

集まったスキルアウトは全員が武器を持っていた。


「合わせて26人。さすがの白井さんでも、一人では難しいと思います。
 それに、私は一対多の戦いが得意ですし任せてもらえませんか?
 ピンチに見えたら手助けをお願いしますから」

「・・わかりましたの。無理せずにすぐに言ってくださってもかまいませんわ」

そう言って御坂達の方へと歩く白井。自信満々の顔に少しは安心を感じたのだろう。

「御坂さんも風紀委員じゃないですから手を出さないでくださいね。
 ジュディスちゃんが恐がってしまいますから」

「・・女の子相手に恐いとか言わないでよ・・」

呆れたようにつぶやく御坂。

しかし、その態度には手助けするような雰囲気や心配の様子は全くない。

「はぁ、わかったわ。早く帰りたいからすぐに片付けてよね」

「了解しました。すぐに終わらせます。

 風紀委員(ジャッジメント)です。暴行未遂であなたたちを拘束させてもらいます」

そう言って信乃は風紀委員の腕章を身に着けながら、スキルアウトの集団へと歩いて言った。






「ちっ! あのガキはふざけてるのか?

 俺たちはこんな人数がいるのに本当に1人で歩いてきやがる」

「しかもこのガキ、さっきから笑ったままだぜ」

「おい、おまえ、ふざけているのか? どんな状況かわかってんのか?」

「しかも仲間は26人も集めた。いくら風紀委員だからってなめてんじゃねぇぞ?」

「はい、理解していますよ。武器を持った集団が26人。普通に考えたら
 私が殴られて地面に倒れるのに数分もかからないでしょうね」

「どこまで余裕かましてんだ! 叩き潰してやる!!!」

「それよりも、私からもあなたたちに尋ねたいことがあります。

 それでよろしいのですか?」

「あぁん!? なにがだ!?」

何言ってやがるんだこのクソガキ!?

「たった26人でよろしいのか、って聞いてるんですよ」


ブチ!!

「ふざけやがってこのガキ!!!

 お前ら!こいつだけ殴り殺せ!! 赤いガキは後回しだ!!」

「お、おう!」

「たった26人だぁ!? 殴ってミンチにしてやる!!」





「やはり狙いは“氏神の子供”、でしたか・・」

信乃はだれにも聞こえない声で呟いた。


一斉に攻撃してきた男たちに佐天たち3人は少しおじげついた。


そう、御坂とジュディス以外の3人は・・




戦闘が始まった。

鉄パイプを持った男が殴りかかってきたが、信乃は攻撃を難なくよけ、
みぞおちへと軽く拳を入れる。男はうめき声をあげてそのまま倒れて行った。

2人目の男が横からナイフを突き出してきたが、左手で受け流して右手で首に手刀を
入れて気絶させる。

その後も男たちは襲ってきたが、信乃は特にすごい動きをするでもなく
攻撃を受け流して1人ずつ倒していく。


大人数で向かってくる男たちの声でうるさいはずなのに、信乃のいる空間だけが
静かに感じるほど、信乃は落ち着いた戦いをしていた。




戦いを見ていて御坂はため息をついた。

「まったく、あんな挑発をするから・・。大丈夫かしら?」

言葉とは裏腹に、御坂には心配する様子が全くない。

ジュディスは「すごーい~!」と言って横で目を輝かせている。


「御坂さん・・手伝わないんですか?」

「お姉様にしては珍しいですの。いつもはすぐに戦おうとしますのに」

心配しない御坂に驚く佐天と白井。
いつもの御坂なら手助けをしに戦いに入ってくるだろう。
いや、一番に電撃を飛ばしてスキルアウトを追っ払ったはずだ。

だが今回は戦う様子すら見せていない。なんの不安もなく見守っているだけ。

「何よ! 私が戦うことしか考えていないみたいに言わないでよ!」

(((いや、いつもの戦うことしか考えてないじゃん!)))

昨日会ったばかりの初春と佐天でさえも同じことを思っていた。

「それに、心配するだけ無駄よ」

それを聞いて佐天は御坂へと大声で反論した。

「なんでです御坂さん!! こんな人数に囲まれているんですよ!!
 信乃さんは確かに強いけど・・でも! さすがに「4年前」 え?」

「4年前、信乃にーちゃんが11歳の時よ。一緒に銀行に行ったときにね、
 拳銃を持った強盗が4人も来たのよ。私もその時は能力なんて持ってなかったし
 恐くて何もできなかったわ。

 でも、信乃にーちゃんは何事もないようにね、強盗を素手で倒したのよ」

「・・ほんとですの?」

「11歳って、今の私達より小さい時ですよ? それに拳銃を持った相手って・・」

信じられないという顔で見つめる白井と初春。
佐天も表情が固まったままだ。

しかし、御坂からは嘘を言っているようには感じない。

3人の疑いを晴らすように、御坂ははっきりと言い放った。

「だから何の心配もないわよ!」

「そうだよ~! 西折のおにーちゃんはジュディを助けたヒーローだよ~!
 ヒ―ローは負けないんだよ~!」

敵を次々と倒していく様子に大喜びするジュディス。

この風景を見ると本当に嘘ではないらしい。


御坂の自信満々の笑顔に目を奪われているなか、

「白井さん! 横から雑魚が1人来るからよろしくお願いします!」

急に声をかけられた。言った信乃はこちらを向いていない。

しかし、本当に鉄パイプを持った男がきた。その距離は15メートル。

驚いた白井だが、

「あの方、見てもいないのにどうやってわかりますの?」

まだ離れている距離だったので焦ることなくに前へ出た。


「その赤いガキをよこせ!」

鉄パイプを振りかぶってきた。

白井は簡単に攻撃を避け、そのまま手を掴んで相手を背中から地面へ叩きつけた。

「が、はっ!」

「単純な攻撃でつまらないですわね」

やってきた男はそのまま気絶したようだ。

「白いおねーちゃん~、かっこいい~!」

「白いではなく、白井ですわ!」

ジュディスの言い間違いにも気にせずに笑顔で答えた。


「それにしても人数が多いようで時間がかかってますの。負けることはないと
 思いますが、早く帰るためにお手伝いした方が・・あら?」

信乃がゆっくりとスキルアウトを片付けている風景を見て、加勢しようと
白井は考えていた。

そのとき、長髪の男が戦いから抜けて走り去るのが見えた。

向かう先には車。公園の出口に止めてあり、それに乗り込むところだった。

「あの方、リーダーのように仕切ってらしたのに自分だけ逃げるなんて・・
 呆れて怒る気にもなりませんわ」

「あ、本当だ。自分だけ逃げてる」

「情けないですね」

「黒子、私がやる?」

「いいえお姉様! ここは少しでも働かなければなりませんわ!
 手出し無用ですわよ!」

白井は太ももに隠していた鉄矢を取りだした。

車のタイヤへ鉄矢を飛ばすため、テレポートの演算に集中した。

「白井さん! 後ろ!」

その演算は信乃の声で中断された。

反射的に横に跳んだ白井だが、元いた場所には鉄パイプが振り下ろされた。
白井が倒した男が、攻撃が弱かったために気絶し切れてなかったのだろう。
すぐに目が覚まして襲ってきた。

「な!?」

必死に跳んだために白井は着地に失敗して転んでしまった。

「痛っ!」

「黒子! こいつ!!」

御坂が電撃をくらわせて、男は今度こそ気絶した。

「白井さん大丈夫ですか!?」

「ええ、間一髪で避けられて痛っ!」

「黒子、どうしたの!?」

白井は足を抑えてうめいた。どうやら足をひねったようだ。

「これ・・くらい・・大丈夫ですわ!」

その顔は痛みで引きつっている。痛みで立てないのだろう、座ったままだった。


「すみません。私がもう少し早く気づいていれば」

直後、信乃が走ってきた。その顔にはいつもの笑顔はない。

「いいえ、信乃さんのせいでは・・あら、もう片付けたのですの?」

「はい。白井さんが危ないのを見て急いで終わらせました」

「・・今まで本気じゃなかったんですか?」

「本気でしたよ、たださっきまでは全力じゃなかっただけです。」

アンチスキルは全員例外なく地面へと倒れ込んでいた。

「それよりも足を見せてください。応急処置をします。」

治療をしようと膝を地面につけた信乃だが、


「それよりも逃げた男を追ってください! 私にかまっている暇はありませんわ!」

白井は大声をあげた。こんな時でも風紀委員の仕事を優先していた。

ほぼ全員が公園の出口を見た。逃げた男の車はもう見えない。

白井もこの怪我ではテレポートも無理だろう。

しかし、信乃だけは顔を出口を見ずに白井を見て

「いいえ、治療が先です!!」

と、強く言い張った。

強く言われて白井は何も言えなくなり黙り込んだ。


信乃はハンカチを取り出して、包帯のように長くするように破いた。

立ち上がろうとしていた姿勢の白井に肩を貸し、ベンチに座らせて靴下を取った。

「っ!」

「痛そうですね・・」

初春が片目を閉じて恐る恐る足首を見る。青く腫れあがっていた。

御坂たちも2人の周りにきた。

「白井さん、追跡しろといいましたが・・」

信乃が足首にハンカチを巻きながら言う。

「追う手段がありません。テレポーターの白井さんがこうなっては車には
 追いつけませんよ。これぐらい簡単なことですよ。気付かないなんて
 相当あせってますね」

さとすようにゆっくりと言ったが、それが白井の癇に障ったのだろう。

「あなたもテレポーターですわよね!? なら問題ありませんの!!
 早く追ってください!! っ!」

能力を勘違いしたままの白井は怒鳴りつけて言う。
そのせいで足が動いてしまい、体に痛みが走った。

「落ち着いてください。怪我にひびきます。それに私はテレポーターでは
 ありません。あなたが言うテレポーターというのは、
 "A・T"(エア・トレック)という道具を使っただけの移動ですよ」

「なんですかそのA・Tというのは!? それがありましたらテレポートが
 できるんですわね!? 早く持ってきてください!」

「ですから、落ち着いてください!!」

信乃は興奮する白井の肩を掴んで抑えつけた。

そして何も言わずにずっと見つめている。

御坂たちも白井の気持ちがわかるので、何も言えずに沈黙するしかない。

このとき、ジュディスが少し離れて携帯電話を取りだしたが、誰も気づかなかった。


長い沈黙と信乃の真剣な表情で、白井は少し落ち着きを取り戻した。

「・・申し訳ありませんわ・・犯人を逃がさないようにと考えが先走り過ぎましたわ」

「いえ、いいんです。でも、治療が済むまで大人しくしてください」

信乃も肩から手を離し、再びハンカチを巻き始めた。

御坂たち3人は安心し、これ以上静かにならないように初春が話し出した。

「・・それにしても、なんでわざわざ風紀委員と勝負しようとしたんですかね?」

「初春、あれは勝負というよりけんかを打ってきたんだと思うよ」


たしかに普通は手を出さないはずの風紀委員に、風紀委員とわかっていて
アンチスキルはけんかを仕掛けてきた。

そのけんかの答えは、

「狙いはジュディスちゃんだよ」「狙いは氏神さんですの!」

信乃と白井が同時に言った。

「奴らが赤い髪の子供が狙いだと言ってましたの!」

「それに、最初の5人。目線がジュディスちゃんを見た後に風紀委員の白井さんに
 目を向けていました。戦いが始まる前に私達が話をしている間も、何度か
 ジュディスちゃんを見てたから間違いありませんよ」

「・・よくわかりますね、目線なんて」

「鍛えれば誰でもできることですよ、初春さん」

ここで、ようやく信乃の顔に少し笑顔が戻った。

「なんでジュディスちゃんを狙ったんだろう?」

「佐天さん、理由は簡単ですよ。ジュディスちゃんのお母さんが


 ≪学園都市統括理事会≫の一人だからです」


「!? そうなんですか!?」

「すごいですね! ジュディスちゃんもお嬢様なんですね!!」

「初春、その目はまた暴走してますわね」

「またすごい人と知り合いになったわね・・」

佐天、初春、白井、美琴がそれぞれの反応した。

「はい。一応このことは内緒にしてください。
 ちなみに私の学園都市に入る際の保証人になった方です。
 だから昨日の捜索で命令されたんですよ。あの人には逆らえません、ははは」

最後は冗談で言ったのだろう、信乃は完全にいつも通りの笑顔になっていた。


白井の治療も終わり、信乃は立ち上がった。

「話は戻りますけど、道具を使ってテレポートができるようになるわけありませんよ。
 よく考えてから言ってください」

笑顔で言ったのだが、明らかに『軽率な考えですよ』と副音声が聞こえる。

白井は恥じるように顔を伏せた。

「・・申し訳ありませんわ。軽率なことを言ってしまって。
 そういえば、"A・T"(エア・トレック)とはなんですの?」

「昨日、私が足につけていた装置ですよ。簡単にいえば小型モーター付き
 インラインスケートです。あれを使えば確かに追跡は可能ですが、
 許可が必要なんですよ」

「許可、ですの?」

「はい、許可がなければ「いいってよ~!!」」

いきなり声をあげたのはジュディス。全員がジュディスへと目を向けた。

「お母さんが使っていいってよ~!!」

嬉々とした顔で手に持っている携帯電話をこちらに向けている。

「・・・・・ジュディスちゃん、まさか電話して聞いたのです・・か・・?」

笑顔が引きつった信乃が聞いた。間違いであってほしいと思っているのだろう。

「うん~!! お母さんがね~、『逃げた奴も消し炭にしろ!!』って
 伝えてだって~! 『これは命令だ!!』とも言ってた~!」

「さっきの『狙いはジュディスちゃん』が電話越しに聞こえたんだね・・・」

信乃が苦笑いを浮かべた。諦めたように溜息をして

「親バカだからしょうがない、ですか」

そう言って信乃は背中から40センチ四方のケースを取りだした。

中を開くと、昨日足につけていたA・Tがそこにはあった。


「許可って、まさか学園都市統括理事会が信乃さんに許可してるんですか!?」

驚く初春。

「いいえ、許可がどうこうしているのはジュディスちゃんのお母さん、
 ≪氏神クロム≫さんだけです。学園都市統括理事会は関係ありません」

「ですけど、そんなすごい人が信乃さんに命令してるって、やっぱり信乃さんって
 すごい人なんですね!?」

目を輝かせて言う初春。その目を見て白井は「また上流階級とか考えてますの?」と
つぶやいた。

「保証人の氏神クロムさんがすごいのは確かですが、私は偶然知り合っただけですよ」

ゆっくりとA・Tを着ける信乃。その動作がゆっくり過ぎる。
犯人は今の間も遠くい言っているのに、と白井は苛立ってきた。

「あの、信乃さん! 追跡可能でしたら早く追いかけてくださいませんこと!?
 こうしている間にも犯人が遠くに言ってしまいますの!」

「大丈夫ですよ」

気にした様子もなく、装着し終わってゆっくりと立ち上がる。

「西折のおにーちゃん~! ジュディは(トリック)ていうのが
 また見たいの~! お願い~!」

ジュディスがわがままを言ってきた。御坂、佐天、初春の3人は
何を言っているのかわからずに首をかしげた。

白井だけがイライラしたように睨みつけている。

「あははは、わかりました。では、出発するときに一つ出しましょう」

少し歩き、5人から距離を離した。

「早く早く~!」

「本当に・・呑気ですわね・・」

白井は怒りで肩を震わせていた。そんなことを露知らずはしゃぐジュディス。

信乃も白井の怒りに気付いていたが、気にせずに笑顔を向ける。

「それでは見せましょうか」

「早く向かってください!!」

白井がついに大声で言ったのだが、

「ただし、見えたらの話ですが・・」

瞬間、信乃の姿が消え、



Trick - AFTER BURNER -



「「「「「キャ!?」」」」」


信乃の立っていた場所の前に複数の小さな火柱が上がった。


いきなり生じた風と炎に驚き、目をふさぐ5人。

再び目を開けた頃には信乃の姿は完全になかった。


***************************************************


白井たちはその後、通報していた警備員(アンチスキル)に事情を話したのだが、
またしても戻ってきた信乃がいきなり隣に現れて驚かれるという昨日と同じことが
あった。

そして同じように事情聴取も信乃が引き受け、ジュディスは送っていくから
その場に残り、他の4人は信乃に任せて帰ったのだった。

白井は逃げた犯人について何も教えてもらえなかったことや
今日一日に何度も信乃にからかわれたことでかなり不機嫌な顔をしていた。


逃げた犯人なのだが、信乃が通報した警備員に気絶している状態で引き渡した。
体は無傷にもかかわらず、『燃やされる! 助けてくれ!!』と目を覚ました時には
錯乱状態になっていたらしい。






つづく
 
 

 
後書き
駄文を読んでいただきましてありがとうございます。
A・Tの登場が一瞬だった件に関してはお許しください(笑)

作中で不明、疑問などありましたらご連絡ください。
後書き、または補足話の投稿などでお答えします。

皆様の生温かい感想をお待ちしています。
誤字脱字がありましたら教えて頂くと嬉しいです。 
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