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ヘタリア大帝国

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TURN73 思わぬ復活その十一

「これまでは国は離れていても仲良くやってきたから」
「あたしもだよ。しかも手を結ぶ相手がね」
「ソビエトとエイリス」
「あまりいい相手じゃないからね」
「それでもなのね」
「あの総統はそのつもりだよ。ただ手を結んでから戦力の再編成があるから」
 それでだと。プロイセン妹が言う。
「日本さん達と戦うのは当分先だよ」
「そうね。ソビエト軍のダメージも大きいから」
「エイリスもだしね」
 彼等がこれまでの戦争で受けたダメージもかなりのものなのだ。
「それに外交交渉もあるしね」
「話が動くのは先ね」
「そうなるね。色々話が変わってきてるけれど」
「総統は無事に辿り着けるかしら」
「兄貴達がいるから大丈夫だろ」
 プロイセン妹はこのことについては心配していなかった。
「日本さんもいるしね」
「そうね。それじゃあ」
「総統は大丈夫だよ、生きて太平洋に行けるよ」
「だといいけれど」
「ただ」
「ただ?」
 ドイツ妹はプロイセン妹に問う。
「何かあるの?」
「あの総統も人間だからね」
 だからだというのだ。
「過労もあったけれど」
「あのことに加えてなの」
「気力がね、普通に保ててるかね」
「ドクツを世界の盟主にする筈が敗戦に導いたことに」
「それ堪えるよね、普通に」
「ええ、確かに」
 例えそれがレーティア=アドルフでもだというのだ。
「それは」
「だろ?日本に行かれても大丈夫かどうか」
 プロイセン妹が心配するのはこのことだった。
「それが不安なんだよ、あたしは」
「生きていてもそれでは」
「駄目なんだよ、あの人には立ってもらわないと」
 プロイセン妹もレーティアを愛していた、第一次宇宙大戦に敗れ絶望の中にあったドクツを救い出してくれた人だからだ。
「そうでないとね」
「あの方ではないわね」
「あたし達の目的はわかってるね」
「あの方が戻られるまでドクツを支える」
「そう、その為にいるんだよ」 
 それが彼女達がドクツに残った理由だ、国家のことを思えばレーティアについていく者も必要であり残る者も必要なのだ。
 だから二人は残りドクツを守っているのだ、だが。
「あの人が立ってもらわないとね」
「それも意味がないわね」
「ああ、本当にあの人が心配なんだよ」
 プロイセン妹は深刻な顔でドイツ妹に述べた。
「虚脱してないといいね」
「そうね、本当に」
 ドイツ妹もそこが気になった、レーティアは日本に生きて辿り着ける、しかし彼女が彼女のままでいられるとは限らないのだから。
 プロイセン妹はレーティアの話から今度はまたヒムラーの話をした。
「で、今度の総統だけれどね」
「ヒムラーさんね」
「普通ここで兄貴達の見舞いにどうしても来るわよね」
「少なくともレーティアさんなら絶対に」
「だよな。けれど来ないのは」
「私達のことはどうでもいいのかしら」
「そうじゃないかね」
 プロイセン妹は相棒にコーヒーを淹れながら言う。
「口では違うことを言うだろうけれどね」
「あの人は最初から妙に」
「怪しいね。何を考えてるんだろうね」
「そこも気になるわね」
「相当ね、ロンメル元帥の同期にしても」
「怪しい人は怪しいから」
「警戒はしておこうね」
 自分のコーヒーも淹れながら言う。
「あの総統はね」
「何時何をしてきても対応出来る様に」
「そういうことだね。まあドクツは何とか助かったし」
 このことは事実だ、ヒムラーがそうしたことは間違いないことだ。
「これからの展開だね」
「それで次第で私達も私達で動く必要があるわね」
「ドクツの為にな」
「ええ、あの人の為に」
 二人の上司は今もレーティア=アドルフだった。ドクツ、そして彼女の為に動くことを既に決めていた、救われたドクツには二人がいた。
 ドイツ妹はコーヒーを飲みながら今度は彼女から相方に言った。
「さて、ハンガリーさんも入れて」
「ベルギーちゃんもね」
「ビールを飲もうかしら、今夜は」
「いいね、じゃあ黒を出すか」
「ええ、女の子だけで今夜は飲みましょう」
 ドイツ妹もまたビール好きだ、それでこうプロイセン妹に提案してそのうえで酒も楽しんだのだった。戦いの合間に。


TURN73   完


                 2012・12・10 
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