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なのは一途のはずがどうしてこうなった?

作者:葛根
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第三十六章 機動六課出動前



不敗の名を守るためにも、必要な事がある。
クロノとの模擬戦で一つ壁を超えた気がする。
攻撃力に不安があったが、先読みの洞察力を使えば今後、負けることはいつも通り無いだろう。
だらかこそ、払拭しなければならない。
高町なのは。
屋上で、二人きりだ。

「なのは、ヴィヴィオを助け出したら、結婚しよう」
「……、うん。良いよ。けど、死亡フラグだね。それ」

意外と反応が薄かった。
結婚しようって、プロポーズなんだけどなぁ。

「プロポーズは嬉しいけど、今、プロポーズするかなぁ……」
「今だからするんだよ。死亡フラグとか、俺が叩き折る」

だから、

「今、なんだよ。ヴィヴィオが攫われて、本当の娘が攫われたみたいに心の喪失がある。擬似的な家族だったけど、俺はヴィヴィオとなのはと本当の家族になりたいんだ……」

だから――、

「結婚したい。家族になろうよ。なのは」
「うんっ」

その笑顔が、何よりも俺を強くする。



青色に染まる空間がある。
雲が形を自由に変化させ、浮かぶ。
空だ。
巨大な艦が浮かんでいる。
ヴィヴィオを、起動の鍵とした聖王のゆりかごだ。
数多くの事件で広域指名手配されている次元犯罪者で、未だに逮捕歴のない天才。
ジェイル・スカリエッティ。
天地を統べる究極の質量兵器を手に入れたのは、ジェイル・スカリエッティだ。

「最大の危険は軌道上に到達されること、2つの月の魔力を受けられる事によって極めて高い防御力と地表への精密攻撃ができるようになるみたいだね。それに、次元空間への攻撃も可能みたいだよ……、正直、軌道上に移動されたら、打つ手はないよ」
「止めるには、鍵となる聖王、つまりヴィヴィオをどうにかしなきゃいけないってことね。ユーノ、相変わらず分かりやすくて助かる」

しかし、

「最悪、聖王のゆりかごが軌道上に到達した際の対抗策は?」
「逃げの一手のみだね。とにかく逃げまわって力を付けて対抗。もしくは、こちらも質量兵器を開発してぶつけるくらいかな。僕は専門家じゃないから考えられる策はこの2つしか思いつかないよ」
「なら、ユーノは聖王のゆりかごに対抗した過去の資料がないか探してくれ」
「常に最悪の場合を考えるのはいいけど、ケイタが何とかしてよね。まあ、探してみるけど」

期待はしないでね、と。ユーノはそう言った。
アコースとシャッハさんが敵の本拠地を見つけたは良いが、時既に遅し。
カリムの予言に近い内容が事実として結果を表してしまった。
だが、未来など本来わからないのが当たり前のことだと、はやてがカリムに言って慰めていた。
俺も、カリムの予言があったからこそ機動六課が設立できたし、聖王のゆりかごの対抗勢力として動けるので気にするな、俺達が何とかするさと言ってやった。

「なんや! カリムにまでフラグを立てる気か!?」
「はやては、いろんな意味ですげぇよ」

一応、緊急事態なんだけどいつも通りのはやてであった。



聖王のゆりかごを手に入れたジェイル・スカリエッティ達に対して、こちらは3グループに分かれることになる。
大まかに分けると、
・地上部隊と連携して戦闘機人に相対するグループ。
・大量のガジェットに相対するグループ。
・聖王のゆりかご本体に侵入するグループだ。

「さて、今回の出動は今までで一番厳しい任務になる。俺達はお前達を助けにいけない」

だけど、

「いざと言う時に立ち向かうことが出来る力。抗えないと解った場合に逃げ切れることが出来る力。
──この両方を叩き込んだつもりだ。初出動の時も言ったけど、やばいと思ったら逃げろ。
いいか? 死ぬな、絶対に生き残って帰ってこい。これは、案外難しいことだぞ」

それじゃあ、

「全力全開で、行こうか」
「はい!」



「逃げて良いから生き残って帰ってこいだって、初めて聞いたわ」
「うん。ギン姉は知らないと思うけど、ミウラ教導官はアレが普通なんだよね」
「そうそう、私も初めて聞いた時は驚いたわよ。不敗の名将が逃げろだなんて言うとは思わないものね」
「僕は、剣の稽古で以前から少し聞いてましたから」
「私はミウラ教導官の教えは良いと思います」

キャロの言葉に全員が頷く。

「生き残れば、再戦の機会もあるし取り戻せるモノもあるしね」
「でも、全力全開で気を抜かずにいきましょ」

ティアナは気を引き締めるつもりで言った。
逃げても良いがそれは最終手段だ。
常に、退路を確保しつつ全力全開で戦って生き残る。
結構大変だと思うけど、それが出来ると信用されているのだろう。

「この任務終わったらミウラ教導官に本格的にアタックしようかしら……」
「え?」

重なった声は、全員だった。

「ティアナまずいよ。ミウラさんにはなのはさんがいるよ。だから愛人じゃないとダメだよ」
「スバル! なにいってんの?!」
「愛人かぁ……」
「ティアナさん?! 納得しちゃダメですよ?! ミウラさんはなのはさんと婚約関係にあるんですから」
「ギン姉……、じゃあどうすればいいの?」

ギンガは、答えなかった。

「エリオ君、愛人って何?」
「え? えーと、ぼ、僕はよくわからないなー」

エリオは愛人の意味を知っているが、知らないふりをした。



さあ、いこう。
配点:(仲間)


 
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