ロザリオとバンパイア〜Another story〜
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第7話 決戦・揺るがぬ決意
ジャックside
今は確かに絶望的な状況だ。
傷つき、深手を負ったアカーシャ。
彼女ほどではないが、深手を負っている自分を含めた仲間達…。
そして、今この瞬間も快復し続けるアルカード…
だが、そんな状況でも…
≪手が無いわけじゃない≫
そう、自身の命を懸けることを恐れなければだ。
そして、恐れる事は最早無い。
ジャックにとって、≪失う≫ことの方が何よりも恐ろしいからだ。
だがそれでも、問題はある。
相手の、アルカードの力量を見余った今、その力で倒しきれるかどうかが 分からない所だ…。
確実性が全くと言ってないのだ。
そして、失敗すれば、犬死だけでない。
その負担はすべて仲間たちにいくのだ。
だが…しかし、今の俺に使う事が出来る力。
≪究極超魔(アルテマ・エレメンタル)≫
自身の数多の自然系(ロギア)と魔術を駆使した まだ試したことの無い力。
(いくら不死身のアルカードとは言っても 基本は バンパイアのはず。 あの異常な回復力を上回る 力で破壊すれば再生前に絶命するはずだ。 ここからは、恐怖との戦いでもあるな。)
この力は。
自然系(ロギア)と言う力は、ワ○ピースから貰った所謂、反則能力。
当然だ。物理の攻撃が一切きかない体になれるんだから。
だが、基本的な体は勿論あって、意識的に使用すれば、その能力が得られると言うもの。
使用するためのMPの様なものが所謂自分の妖力なのだ。
そして、何よりあの力は、2つ口にしただけで体が粉々なって死ぬという。
元々はこの力は≪悪魔の呪い≫そのくらいのリスクは当然あるものらしい。
この世界でも使えばただじゃすまないのもわかる。
しかし、俺自身は 全ての力を1つ1つ試した。
だが、使ってもどうでもなかった。
しかし、それは ≪別々に≫使ったときだけ。
重ねての使用ははしていないのだ。
ジャックside out
アカーシャ side
アカーシャは…ほんの僅かに震えるジャックの手の動きに気がついていた。
「はぁはぁ………?ジャック……?」
そして、彼の顔を見る。
彼は、今にも動き出しそうなアルカードを見つめていた。
そんなジャックを見て不安感が頭をよぎった。
これまで決して長く共にいた訳ではないが ジャックという男の事を理解していた。
それは。
決して 仲間を裏切らない。
仲間を見捨てない。
そして仲間の為なら。
彼の理屈っぽくて マイペースなとこ。
それは 本人が無意識に本心を照れ隠ししているのだということも分かっていた。
彼は… 相手の考えを読むテレパシーのような力も使える。
(考えが読めるのにそのことは 一切 面向かって否定しなかったしね……。)
思い出しただけでも笑みがこぼれる……。あの 赤面した顔を思い出すと。
初心な、表情を見ると……。
そのジャックの今の顔は、【不安】【悲しみ】【決意】
そして、何より、【覚悟】がその表情に現れていたのがわかった…。
アカーシャ side out
暫くアルカードを睨みつけるかのように見ていたジャックが皆の方を向く。
『みんな聞いてくれ』
ジャックが口を開いたとほぼ同時に、
まるでわかっていたかのように怒声が飛ぶ。
「だめよ!!! うっ……。」
そう、その声の主はアカーシャだった。
アカーシャが痛みを抑えながら 叫んだのだ。
「どうしたんじゃ?」「無理はするな!」
2人は興奮したアカーシャを宥めていた。
しかし、ジャックは驚いた表情を作る。
「はぁはぁ……何をするつもりか分からないけど 自分が犠牲になろうだなんて思わないで!」
表情から読み取ったもの。
それは、不安や悲しみは仲間がやられてしまうかもしれないこと、を考えた為。
そして、何より一番気にかかったのは。
ジャックの決意と覚悟の表情だ。
それらを、1つの線で繋ぐ。
そして、彼の性格を含めて考えればわかることだった。
それは残されたものには
耐え難い苦しみが残る。
≪自己犠牲≫
『っ!!』
ジャックもまたアカーシャの考えを読むまでもなく。
自分自身の考えが殆どばれていると悟っていた。
(敵わないな……。)
そう敵わない、その一言だった。
(だが……。)
100%彼女が心を読めると言うならば止められるかもしれないが。
止めるつもりは彼には毛頭なかった。
それほど、強い決意と覚悟だったのだ。
『アカーシャ、いいから聞け。そして2人も聞いてくれ……。』
3人は ジャックの方を見た。
アカーシャはまだ納得したわけでは無かったが、傷の深さと有無を言わさぬジャックの迫力に
口を閉ざした。
いや、言葉が出なかった。
だが……。
『これから 最後の反撃に出る。 ただし出るのは俺1人だ!』
この言葉を聴いた瞬間!
「「「ふざけるな!」いで!」
3人が一斉に叫ぶ!
アカーシャも何処にそんな力があったのか。
そんな3人を見て。
ジャックが感じていた事は。
(ここまで 言われるなんてな。ほんとにいい仲間に巡り合えた。俺は幸せ者……だな。)
そう、≪幸せ者≫その一言だった。
「さっき言ったじゃない!そんなこと絶対認めない!ゆるさない」
「わしも認めんぞ!ジャックよ!」
「このままでは、世界は確かに滅ぶかもしれん。だが 貴様を犠牲にした勝利などに価値などは無い」
決意が強いのは他の3人も同じ事だった。
ジャックは、涙が出そなのを必死に耐える。
だが…それだけに…
この大切な仲間を失いたくない…そう強く思った。
そして、彼は説得の仕方を変えることにした。
『みんな勘違いしてないか?誰も命を捨てるなど言ってないぞ?』
そう、100%無事と言う事を説明する事にしたのだ。
「「「は??」」」
3人は声を揃えて言う。
『これからやる術は 俺自身試したことが無い!そしてほぼ全ての魔力を消費する(多分)全て消費すれば 俺は身動きが全く取れなくなるだろう。そこで動けなくなった俺を助けるために 皆は俺から離れたとこで待機してもらいたいんだ。』
3人に
≪まぎらわしいわ!!≫って怒られた。
だが、流石に信じにくいようだ特にアカーシャは。
あの俺の表情を見ているからだ。
だが、
「本当に?信じていいの??」
アカーシャは確認をする。
彼は、約束を破ったりしない。
『ああ 俺が約束破ったことあるか?』
その通りだ。
「数ヶ月間だからのぅ……約束みたいなのした覚えがないのぉ……。」
(空気読めよ!!姿形ジジィ!!)
東方不敗が、 おちゃらけてそう言っていた。
その行為は効をなす。
「ふふふ……分かったわ。信じてる」
「私も異議なし、だ。 貴様に賭けてみよう」
「ふっ 倒れた後はワシらに任せておけ 丁寧に扱ってやるわい」
皆の緊張を、ほぐすのに最適だった。
それはジャックとて例外ではない。
『頼むよ皆。……マジでな、俺、絶対ぶっ倒れるから。全力中の全力。だからな……。』
そう言って笑いかけた。
ジャックは アルカードを見なおす。
(あ、いかんいかん成功率100%なら言わんのだがな 一応言っとくか。)
1つのことを思い出した。
起こって欲しくないことなのだが。
もし、万が一にも失敗それがあったら?
この化け物を止められる者がいなくなるのだ。
『……アカーシャ。』
首だけ振り返り言った。
言いたくはないのだが。
『もし、倒しきれなかったら、その時は……。』
本当に言いたくない…
だが、アカーシャから帰ってきた言葉に驚愕する。
「わかってる… わたしの力で封じるのね。」
彼女は知っていた。
「あれでも同じバンパイアだから わたしの妖力の方が同調して封じやすいだろうって考えは初めから分かってたの でも それはアイツを弱らせないと不可能だから……。」
そういうことだったか。
だが分かってない…今は…
彼女は…
自分の力で封じる意味を後の本当に過酷な運命を。
だが、今言ったとこで意味は無い。
何百年も先の話なのだ。
信じてくれる……と思えるが、今言う事では無い。
意味は無いのだ。
万が一の時は絶対やる人だ、 どんな危険があっても。
(俺がアイツを倒せば、しなくて良いはずだ。余計な事を考えるな……!)
だけど。
ジャックはこれまでの旅を思い返す。
『自分を犠牲にするな。か… こんな考えはお前に似たんだぞ?アカーシャ…』
自然に言葉が出た。
それは、俺たちを触手から守ってくれた事にも繋がることだ。
「え!?」
今度はアカーシャの方が驚いていた。
『俺が考えを…心を読めるのは知っているだろ?お前の弱点は優しさだ。優しすぎること。愛するものを守るためなら……信頼する仲間の為ならばどんな事でもする!お前は この旅の間 そうよく考えていたんだぞ?自覚ないかも知れないがな……。』
そう言ってジャックは笑う。
「ちょっと……まって、それって……!」
“ヒュッ!!”
アカーシャが聞くその前にジャックは、アルカードに向かい飛んだ。
残されたアカーシャには…
不安が…頭を過っていた……
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