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ヘタリア大帝国

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TURN69 遅かった復帰その二

 東郷はその日本に今度は明るい声で言った。
「さて祖国さんいいか」
「はい、今度は何でしょうか」
「実はフランスさんから面白い料理を教えてもらった」
「面白いといいますと」
「オフランス風の肉じゃがだ」
 東郷は微笑んで日本に話す。
「それを作ってみたんだがな」
「相変わらずの料理上手ですね」
「料理はいい。作っていると気分転換にもなる」
「そうですね。私もお料理は好きです」
「そのオフランス風の肉じゃが食べてみるか」
「ご一緒させて頂いて宜しいでしょうか」
「こっちもそれで誘っているからな」
 東郷は飄々とした微笑みで日本に告げた。
「それじゃあな」
「はい、それでは」 
 日本は東郷の誘いに微笑んで応えた。そうしてだった。
 実際にオフランス風の肉じゃがを食べてみた。いるのは彼等だけではなく山下達も共にいる。その中で食べると。
 日本は食べた瞬間にはっとした顔になって述べた。
「これは」
「美味いな」
「はい、かなり」
「お見事です」
 日本妹もこう言う。彼女も兄と共にいる。
「こうした肉じゃがもあるのですね」
「新発見ですね」
「そもそも肉じゃがは祖国さんが作ったものだけれどね」
 南雲も食べながら笑顔で述べる。
「エイリスのビーフシチューから作ったんだったね」
「あの時は素材はわかったのですが調味料がわからずに」
 エイリスのビーフシチューの調味料は西洋のものだ。当然と言えば当然だがそれで日本もわからなかったのだ。
「とりあえずお醤油にみりん、それとお砂糖でしたが」
「それでできたのが肉じゃがだったね」
「作ったその時はどうかと思いましたが」
「食べてみると美味かったね」
「はい、本当に」
 思いも寄らぬ大発見だったのだ、日本にとっても。
「そして今はですね」
「オフランス風もできたね」
「肉じゃがも変わるのですね」
「そうだね。しかし旦那も料理が上手だね」
「男手一つで娘を育てているからな」
 東郷も自分が作った肉じゃがを笑顔で食べながら応える。
「上手にもなるな」
「料理上手の男子はそれだけで高ポイントです」
 小澤もいる。相変わらずの口調だ。
「司令、憎いよこの色男」
「ははは、褒めてもらって何よりだ」
「褒めてるのかよ、今ので」 
 田中は小澤を見ながら首を捻る。
「こいつ感情見せねえからな」
「田中さんはお寿司とお魚ですね」
「元々魚屋の息子だったからな」
「それでお寿司も」
「士官学校に入ってなかったら寿司職人になるつもりだったんだよ」
 若しくは魚屋を継ぐかだったのだ。
「けれど士官学校に受かってな」
「合格させた奴の顔を見たいです」
「わしだが」
 何と宇垣だった。
「試験の成績も身体能力も合格だったからな」
「だったのですか」
「うむ、それで合格としたがな」
 つまり士官学校に入られる資質はあったというのだ。
「それでもな。わしもな」
「後悔されていますか」
「少し無鉄砲に過ぎる」
 宇垣は田中のそうした気質は後になって知った。それで言うのだった。
「全く。問題児が増えたわ」
「問題児は他にもいるんですか」
「わしの目の前にもう一人おるわ」 
 宇垣は今度は東郷を見据えていた。 
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