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仕草で

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第四章

「それでどうしてだ」
「ええと、まあ何ていうか」
 地で言う彼女だった。
「ええと、つまりは」
「つまりは?」
「何でもないわ。とにかくそれでいいのよね」
 真意は何とか隠してだった。そうしてだった。
 真耶子はだ。この機会を逃さずにだった。彼に言ったのである。
「じゃあそういうことでね」
「時間は」
「今日の放課後ね」
 それは即座に自分から決めた真耶子だった。
「絶対によ、絶対に」
「わかった。それじゃあな」
「ええ、それじゃあね」
 こうしてだった。話を決めてだった。
 真耶子は十郎太と二人でだ。放課後町の図書館に行きだ。二人で勉強した。
 そしてそれが終わってからだ。真耶子はこう十郎太に言ったのだった。
「有り難う。お陰でわかってきたわ」
「そうか」
「その作品だけを読んでもわからないのね」
「何でもそうだ。それはだ」
「それは?」
「他の科目も同じだ。社会系にしろ英語にしろだ」
「その部分だけ勉強してもなの」
「それだけではわかりにくい」
 こうだ。十郎太は図書館を後にしながら真耶子に述べる。
「色々勉強してだ」
「ううん、くまなく勉強して」
「そこからわかるものだ」
「そうだったのね」
「勉強するのなら付き合う」
 このことは当然だとだ。十郎太は言い切った。
「これからもな」
「えっ、いいの?」
「二言はない」
 今度はこう返した彼だった。
「そうさせてもらう」
「有り難う、本当に」
「俺にとっても勉強になるしな」
「けれどそれでも何か」
「だから気にすることはない。勉強するなら付き合う」
 こう言ってだ。十郎太は真耶子の勉強に付き合うと言い切った。それを受けてだ。
 真耶子は自然に彼と共にいることが多くなった。そうしてだった。
 二人は次第に関係を深く親密にさせていった。それでだった。
 彼女十郎太と共にいる時が多くなった。図書館でもクラスだもだ。
 主に勉強について尋ねる。その中でだ。
 彼女は自然とだった。十郎太と付き合う様になっていた。
 そしてこのことをだ。友人達に笑顔で話すのだった。
 今彼女達は学校の屋上でだ。昼食のパンやお握りを食べている。真耶子はお握り、明太子のそれを食べながらだ。満面の笑顔でこう言ったのである。
「いや、何か自然にね」
「あんた達付き合う様になったわね」
「なし崩し的に」
「勉強を聞いたのは確かに狙ってたけれど」
 仕草でだ。そうしたというのだ。
「けれどそれからはね」
「そこからはね」
「違ったのね」
「一緒に勉強しているうちに」
 本当にだ。そのうちにだというのだ。 
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