ヘタリア大帝国
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TURN68 連合軍の反撃その二
「負けても失うのは太平洋経済圏の盟主の座とそのプライドだけじゃない」
「こっちは相当なもの失ってんだがな」
イギリスもイギリスで日本が勧める植民地の独立を積極的に認める彼等への感情を何一つ隠そうとしない。
「もう残ってるのはアフリカだけになったよ」
「じゃあアフリカの皆も独立だな」
「そうなってくれると有り難いある」
二人も日本に対してはともかくイギリスには負けていない。
「まあ今はそうならないけれど」
「そのうちある」
「ああ、それだけは防ぐからな」
イギリスは剣呑な顔で二人と対する。
「アフリカまで失ったらエイリスは終わりだからな」
「けれど本国は残るじゃない」
ロシアはイギリスにも言った。
「それだったらいいんじゃないかな」
「よかねえよ。ここまでなるのにどれだけ苦労したか」
エイリスも何もせずに世界帝国になった訳ではない。その苦労を思い出してそのうえでこうロシアに返す。
「御前も知ってるだろ」
「知ってるけれど僕共有主義だから」
ロシアはにこりとさえしてそのイギリスに返した。
「植民地についてはね」
「そうだよな。ったくどいつもこいつも」
イギリスは自分が連合国の中でもどういった状況かあらためて理解しながら応えた。
「この戦争は本当に嫌な戦争だぜ」
「とりあえず太平洋はそっちでやってね」
ロシアはアメリカと中国には今は淡々としている。
「僕はドクツを何とかするから」
「ああ、任せてくれ」
「こっちはどうにかするある」
アメリカと中国も応える。
「こっちは大丈夫だぞ」
「ロシアもイギリスも心配することはないある」
実は既にUSJは陥落しアメリカはハンナ、クーと話をして方針を決めていた。今の四国会議の後でルースに話す予定だ。
「そっちはそっちで頑張ってくれ」
「健闘を祈るある」
イギリスもロシアも二人を今度会う時は敵同士だと確信していた。だがこのこともあえて言わずに今はだった。
「それじゃあまたな」
「お話をしようね」
この言葉で連合国の今回の会合は終わった。欧州と太平洋の彼等は一見すると明暗がはっきりと分かれていた。
ドクツ軍はモスクワで破れた後為す術もなく敗走していた。トリエステは無念の顔で北欧の面々に告げていた。
「最早戦える戦力ではない」
「だからですね」
「全軍このエストニアから撤退する」
こうモニターのフィンランドに答えた。
「そうする」
「ではラトビアまで」
「そこで補給を受け緊急修理を行う」
そしてだというのだ。
「反撃に移ろう」
「わかりました」
「それからだ」
トリエステはドクツ軍は反撃出来ると確信していた、だがそれはレーティアの存在も確信してのことである。
それで実際にフィンランド達にこう述べた。
「総統閣下がおられるからな」
「んだ。あの人がいれば戦える」
スウェーデンもこう答える。
「ドクツは大丈夫だ」
「そういうことだ。ドクツは勝つ」
トリエステは右手を肩の高さで強く握り締めて断言した。
「今はただ下がっているだけだ」
「こういう時も戦争にはあるから」
ノルウェーもぽつりと言う。
「気にすることはないから」
「そうだっぺな。戦いはこれからだっぺ」
デンマークは敗走する中でも明るさを失ってはいない。
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