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ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士

作者:涙カノ
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第75話 =壁を越えろ!!=


「…え、えーと……どうなったの?」

それがもう一度世界樹の前へ降り立ったときレコンが発した言葉だった。まぁ、キリトとリーファが実は兄弟だったー…という事情を知らないから仕方なくも無いけど…。そんなレコンにリーファはにっこりと笑顔で答えた。

「世界樹を攻略するの。この人とキリト君、サウスさん、そしてアンタと、あたしの全員で」

「そ、そうなん………えーーーっ!!?」

顔面蒼白になって後退るレコンを軽く捕まえ「がんばってね」という悪魔のささやき。なにこの娘、怖い。

「何か言った、リクヤ君?」

「イエナンニモゴザイマセン……」

カタコトになるのは仕方がない…と自分の中で区切りをつけて目の前に聳え立つ巨大な石扉に目を向ける。先ほどリーファが攻略するといったがキリトが一度敗れている、という事実があるため人数は倍以上になったとはいえきついものがある。と考えていると不意にキリトが何かを思い出したように顔を上げた。

「ユイ、いるか?」

その言葉が終わらないうちにキリトの目の前に光が凝縮しそこからおなじみピクシーが出現する。その様子を見るに忘れられていたことに相当怒っているらしい。

「もー、遅いです!!パパが呼んでくれないと出てこられないんですからね!!」

「まーまー…キリトにも用事があったんだから許してやれよ…」

なだめると何とか納得してくれたのかフワリと飛んでキリトの肩に止まった……瞬間にレコンが食いつくようにものすごいスピードで首を伸ばしてユイに接近する。

「うわ、こ、これプライベートピクシーってヤツ!?初めて見たよ!!うぉぉ…すげぇ可愛いなぁ!!」

「な、なんなんですかこの人は!!」

「こらレコン!!怖がってるでしょ!!」

とリーファに妖精特有の長い耳を引っ張られて無理やり遠ざけられる。しばらくその光景に呆気にとられていたが「コイツのことは無視していいから」という声にハッと我を返すと改めてユイに声をかける。

「…それであの戦闘で何か判明したことはあるか?」

「はい、あのガーディアン・モンスターはステータス的にはそれほど強くありませんが、湧出量が異常です。ゲートへの距離に比例してポップが増え、再接近時には秒間12体にも達していました」

「ってことはいくら伝説級武具や古代級武具をそろえても攻略不可能の難易度…って解釈でいい?」

「はい……」

個々のガーディアンは言っちゃ悪いけど雑魚、でもそれが幾つも重なって出来た絶対無敵最強の巨大な肉壁と一緒ということらしい。しかも厄介なことに一箇所破られてもすぐにそこを修復しようと待機していたガーディアンが入り込んでくるのでいつまで経っても破れない。

「でも異常なのはパパとにぃのスキル熟練度も同じです。瞬間的な突発力だけならあるいは……」

「問題はその突発力をどこまで持続させられるか…なんだよな」

たとえその突発力で打ち破ろうとしても多分、完全には貫けない。あと1つ、でかい何かが必要だと思う。

「……すまない。もう一度だけ、俺の我侭に付き合ってくれないか。ここで無理するよりはもっと人を集めるか別ルートを探すべきなのわかってる。でも……なんだか嫌な感じがするんだ」

「俺…じゃなくて俺たちだろ。俺だってこの世界樹に用があるんだ…それに、時間もなさそうだし」

今も刻一刻と須郷の決めたタイムリミットが迫っている。

「…解った。もう一度がんばってみよ。あたしに出来ることなら何でもする…それに、コイツもね」

「え、えぇ~…」

「わたしも手伝うよ。ここで逃げるのはガラじゃないし…女の子をあんな場所に閉じ込めておくやつらなんて許せないしね。だからできる限りやらせてもらうよ」

サウスのおかげでレコンの変な呟きは聞こえなかったが、ここにいる全員が頷いて扉へと近づき代表してキリトがウィンドウを開いてYesをタッチする。すると低音を響かせて石扉がまた開く。

「…よし…準備はいいか…?」

「もちろん!」

「任せて!」

「が、がんばります…」

「後ろは任せてね」

そう各々で返事をするとキリトはいつものようにニヤリと笑い一度呼吸をする。

「……行くぞっ!!」

声とともにキリトが地面を強く蹴ると同時に翅を震わせ一気に急上昇する。それを追うように俺もそれを追うように飛ぶ。しばらくしたあとでサウスも飛び上がりレコンとリーファには回復薬に徹してもらうため地面すれすれだ。

「やっぱお出ましか……力を鎧え、バリアー!!」

前回は敵の弱さに見くびっていたのか補助術を使わなかったが今回はふんだんに使わせてもらう、さらに立て続けにキリトにシャープネス、クイックネスを発動する。その間にもキリトは次々とその大剣で敵を斬って行く。

「っ…憎悪値関係ないのかよっ!!」

さらに立て続けに後々来るであろう魔法に対してレジストをかけようとするが、それを数匹の騎士が邪魔しにかかるので一旦中断してキャリバーンを抜刀と同時にそれを屠る。
普通ならば反応圏内に侵入するか、もしくはこちらが相手を攻撃した時向こう側は攻撃を行うはずだがどうやらそのプログラムで動いているのではなく圏内にいる補助スペルにさえ反応するらしい、その証拠に一番下でヒールしか唱えていないはずのレコンとリーファにも一部が向かっている。ただ、その集団はサウスによって殺されるのだが。

「言ったでしょ、後ろは任せてって!」

「わかった!……彼のものに魔に抗う力を…レジスト!!」

最強の盾をもつサウスが微笑みながら言うのでそれを信じキリトに対魔法補助術を使用する。ただイージスの盾の効果範囲はとてつもなく狭いのでさすがに長い時間は苦しいかもしれない。でも今は後退している場合じゃない。

「邪魔だっ!!」

術を使ったことによりこちらへ向かってきた騎士をさらに斬って上へと進む。進みながら出来るのは上から振ってくるガーディアンを出来るだけ蹴散らすことだ。雨のようにレコンとリーファ、サウスを狙って降ってくる騎士をさらにまとめて斬る。

「…一匹逃した!?」

「セィっ!!」

距離的な問題で攻撃が届かなかったのか一匹だけ下に行ってしまう、がその一匹は少年の声とともに発生した風の刃によって真っ二つに切り裂かれる。

「リクヤさん……ガーディアンは僕がなんとかして見せます」

「なんとかって…」

思わず何をするのか聞きたくなったがレコンの表情は先ほどまでのとはまったく違う何かを決意した表情へと変わっていた。レコンは俺やキリトのように今すぐ行かなければならない理由は無いはず、ただリーファについてきたってだけなのにここまで決断できるのは本当にすごいと思った。なら俺はそれを応援するしかない。

「…わかった、俺も援護するよ!」

「あ、ありがとうございます!!」

レコンの礼に頷くと早速レコン狙いで近づいてきた騎士の顔面を掴んでその首筋に剣をつきたてる。さらに新たにやってきた騎士の首根っこを掴みレコンの進行方向のまん前にいたもう1匹にぶつけて2匹まとめて真っ二つにする。

「今ッ!!」

「はいっ」

俺の掛け声に一瞬出来た道をレコンは一気に飛翔する。そしていくつかの騎士を自分へとひきつけるとコントローラを投げ出して詠唱へと取り掛かる。たちまち複雑な立体魔法陣がレコンの周りに出現しどんどん複雑化していく。

「リクヤさん…離れて!!」

「お、おぅ…!」

レコンの声に従い距離をとると次の瞬間、小さく凝縮して次いで恐ろしいほどの閃光を放つ大爆発を起こした。その眩しさで思わず目をそむけてしまったが視界が回復するとともに俺の目に入ってきたのはガーディアンの壁に向こう側が簡単に見えるほど大きく開いた穴だった。

「レコ……再生を願うは我が真なる祈りなり…光は形を宿し具現……っ」

思わず名前を叫ぼうとしてレコンを探すがそこにあったのは小さな炎だけ、急いで使えるかもどうか解らない蘇生術「レイズソウル」の詠唱を開始し、完成間近まで行くがその間にレコンのリメインライトが消失してしまった。

「キリトっ!!あの穴に!!」

「判ってる!」

全力で翅を動かして速度を高めようとするが剣では敵わないと悟ったのか直接体当たりでこちらの邪魔をしてくる。なんとかそれをジグザグ避けて進んでキリトは後一歩の所まで行けたのだが今まで待機していたのか新たな白い壁がキリトと衝突しその行く手を阻む。さらに壁は自己再生してるかのようにレコンによって明けられた穴を再び修復してなかったことにされた。

「くっそぉっ!!」

声をあげ遅れて飛び込むが俺もやはり白い壁にガツンっと衝突し通ることは叶わなかった。さらに追い討ちかのようにキリトの動きを封じたあの光の矢の詠唱が耳に入ってくる。ユイの解析によると当たると数秒のスタンが課せられるようでこのままでは剣の連撃をそのまま喰らってしまう。


ウオォォォォン……


だが、その詠唱は謎の低い啼き声によって中断された。何かと思いその声を下方向を見るとそこにはおよそ10匹の巨大な飛竜
が。だが野生のモンスターではなくどうやらケットシーの軍の1つらしい。その証拠に額と胸、長大な両翼に光輝く金属のアーマーが装備されている。さらにその背にまたがるケットシーも真新しい鎧に身を固めている。
驚くことに来たのはケットシーだけではなくリーファの近くには同じく真新しい装備をしたシルフの軍隊の姿が。その装備はすべて古代級武具に匹敵するものでその数は軽く50は超えている。そしてさらに驚くことはその軍隊を率いるためシルフ領主のサクヤさん、そしてケットシー領主のアリシャさんまでもが出陣していたことだ。

「…すげぇ……これがあのALOかよ…」

ウンディーネのあの邪神狩りパーティとはもう真逆、領主という地位を省みずにしかもリソースの奪い合いを気にせずにただ俺たちのためだけにここまで装備をそろえてきてくれた。ゲームのマナーやルールに縛られた先にあるものを見たような感じはして俺は思わず声を上げていた。

「ドラグーン隊!!ブレス、用ーー意っ!!!」

「シルフ隊、エクストラアタック用意っ!!」

二人の女領主の声とともにシルフの剣にはエメラルド色の電光が迸る。そして飛竜の口からはオレンジ色の光がかすかに漏れていた。それを見た虫のように涌いていた守護騎士はシルフケットシーを排除しようと攻撃にかかるがどうやら世羅が狙いだったらしい。アリシャさんはギリギリまでひきつけると大きく右手を振り指示を出す。

「ファイアブレス、撃てーーーっ!!!」

次の瞬間、飛竜から紅蓮の炎が一斉に発射されシルフ隊と俺たちとを包むように10本の炎の柱が群に突き刺さる。すると一瞬のうちに膨れ上がった火球が次々と騎士を飲み込んでは爆発していく。だがそれでも湧出率がすさまじいのかガーディアンは無理やり炎を突破、俺とキリトを飲み込まんと迫ってくる。
だがそれを許すはずもなくサクヤさんの声が響く。

「フェンリルストーム、放てッ!!」

シルフ隊は領主の声に一糸乱れぬ動作で長剣を突き出し、雷光で宙をジグザグに切り裂いていく。しかもそれが50異常というすさまじい数、次々と騎士たちを粉々に吹き飛ばしていく。

「キリトっ!」

「あぁ!今しかない!!」

俺はキリトに呼びかけ、2度の砲撃で粉砕された壁の中央を目指して一気に翅を震わせる。どうやらこの考えは領主側も同じらしくうしろでサクヤさんの「全員、突撃!」という命令の声が響くのが聞こえた。


――――――

「ぜあっ!!」

「うぉぉぉっ!!」

俺は背をキリトに任せて向かってくる敵を斬っている。いくらあの超巨大な攻撃で消えたとは言ってもリポップがおかしいため中々前に進めない。

「…やばっ」

無駄なことを考えていたため俺は横からくる騎士の一匹に気付かなかった。すでに攻撃モーションに入っており後は振り下ろされるだけ…、なんとかキリトは離れていたため被害を受けることはないと思うが……ちょっとヤバイな…。

「油断、大敵だよっ!!」

その声とともに横に紅い鎧を装備したプレイヤーが俺を襲おうとしていた騎士を一撃で葬る。

「美菜実!?」

「危ないな、もう!」

「悪かった…な!」

注意を受けながら俺たちは前に出てきた騎士を斬り裂く。

「リクヤ、無事か!?」

「悪い、心配かけた……キリト、うしろ!!」

キリトは俺の方を向いていたために騎士に背後から襲われかけていた。だがそれも銀に輝く長刀で突きさされ、首が飛ぶと同時に消滅する。

「スグ!!」「直葉!!」

俺とキリトは思わず本名を言ってしまうがリーファはお構い無しに剣を構える。

「…俺が前やるから他の3方向頼めるか!?」

「ならその方向はヨロシクね」

「うん、うしろは任せて!!」

「お前もミスるなよ!!」

俺の問いにサウス、リーファ、キリトの3人は笑いながら答え全員で背を合わせる。そのままクルクルと回転しながら目の前に出現してくる守護騎士を次々と斬り倒していく。さらに1匹、2匹と倒していくうちに頭が冷えていき、どんどん冷静になれる。そして昔、アインクラッドで結んだ共鳴(リンク)のようなものが俺と3人をまとめて繋いでいるようなそんな感覚すら感じられる。さらにまだまだシルフ隊、ケットシー隊の援護で白い肉壁はどんどん溶かされていくように薄くなっていた。

「せあぁぁっ!!」

力を振り絞って壁を破りその壁に目を向けるとその抜けた先には、レコンが最初に開けてさらにシルフ、ケットシーが攻撃を加えたあの穴がまだぽっかりと開いているのが見えた。



「うぉぉぉぉっ!!」

「あぁぁぁっ!!」

絶叫し俺とキリトは速度を落とさずに肉壁へと突進する。だがそれも阻止しようと怨嗟の声を上げながらさらに体当たりを仕掛けてくる騎士の姿が見える。

「お兄ちゃん!!」「陸也君!!」

その声とともに俺とキリトの真ん中にリーファの剣が投げられ、キリトがそれを掴んで特攻する。さらに隣に紅いものが見えたと思ったらそれはサウスのイージスの盾だった。この世界では向こうの世界のように神聖剣を持つものしか盾攻撃ができないわけじゃない…なら、と俺はそれをもう1本の大剣のように掴む。

「…うぉぉぉぉっ!!」

2つの剣を構えて俺も特攻、そしてかつて俺の中に痛もう1つの人格から教えられた大地の地震のように揺るがす大技を次々とぶつけていく。まとめて2匹、3匹、4匹と次々に引きちぎっていく。

「行っけぇぇぇぇっ!!!」

そしてその願いが通じたのか破ることが出来ないと思われていたあの壁の一歩手前まで来た。まだまだゴールじゃない、というか現実へ帰るためのスタートラインにも立ってないんだ。…だから…負けてたまるかぁ!!

この思いだけで振りぬきその一歩を過ぎるとすぐに遠いと思われていた内部へと繋がるゲートが。ゲートに剣が突き刺さりその下には通り抜けてきたとは信じがたいほど守護騎士でできた肉壁が雲のように存在していた。

「…つ、ついたぁ…」

ゲートに足をついた途端、そんな言葉が出て先に来ていたキリトと一緒に思わず笑ってしまっていた。









 
 

 
後書き
涙「うっわ、タイトル適当ww」

リ「完璧に思いつきだけでつけただろ、これ!」

涙「いいじゃん……さて近状報告と行きましょうか」

リ「やだ」

涙「そんなこと言われてもやるものはやるよ~!!」

リ「誰得なんだろうな…」

涙「祝、テスト終了いたしました!!…結果?聞かないでくださいそんなもの」

リ「お前得意の古典はどうだったの?」

涙「うん…漢文のせいで無理ww何故この世に漢文があるんだ、せめてあって古文だけだ!!」

リ「うわぁ」

涙「アハハ、っと忙しくなくなる!!かと思いきやまさかのバイト、多分始めます!ww」

リ「あっそ」

涙「というわけでこれからも遅くなる可能性が増えるかも知れませんがヨロシクお願いします!!」 
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