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ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士

作者:涙カノ
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第73話 =世界樹攻略=


「……これが世界の中心か!!」

すでに日は出ていてなおかつメンテナンスのあとということもあってかプレイヤーの通行量が多い。しかもそのプレイヤーは翅が統一されているものではなく全てがばらばらだった。巨大な戦斧を背負ったノームに小さな身体に銀色の琴を携えたプーカ、そしてヴォルトとはまた違う紫色の不思議な肌をもつインプなどさまざまなプレイヤーが楽しそうに談笑しながら歩いてる。そしてやっぱりというべきかヴォルトやスプリガンなど不人気といわれていた俺とキリトの同種族までちゃんといる。

「うわぁ……」

「…ここに来るのも久しぶりだなー……」

「そういえばサウスはきたことあるのか」

「まぁね」

など、そんな話をしながら道なりに進むと円錐形に幾重も連なる超巨大な都市の一部が見えてきた。今いるのは中心から結構離れた場所なのだがそれでも街をすべて見ることは不可能だ。
このアルンを作っている建物とは違う質感のモスグリーンの太い円筒が何本も伸びている。それを目で追っていくと円筒が次第に合流していき、その合流した円筒がさらに違う円筒との合流を繰り返して建物など比にならない大きさの樹を作り出していた。

「……あれが…世界樹…」

「あぁ…あの城よりもでかい…な…」

キリトの畏れに打たれたような呟きに思わず俺もそうこぼしてしまう。一体、アインクラッドがこの樹の高さと同じになるまでどれくらい必要なのだろうか。下手すれば宇宙まで伸びてるんじゃないかって思わせるほどのこの樹に。

「えーと確か、あの樹の上にも街があってそこに…」

「妖精王オベイロンと光の妖精アルフが住んでて、王に最初に謁見した種族はアルフに転生できる……って言われてるわ」

「なるほど……ね……」

リーファの解説に全員が無言になって世界樹の上を見上げる。リーファたちは見えないアルンを見ていそうだがキリトは間違いなくあの写真がとられたであろう場所を見つめている。

「あの樹には。外側から登れないのか?」

「残念、幹の周囲は進入禁止エリアだから木登りは不可能……というかよくそんな事考えるね」

「なら飛んでいけば…?」

「飛んでいこうとしても上までいけないうちに翅に限界が来ちゃうらしいわ」

「…そういえば何人も肩車をして限界を突破した連中がいるって話を聞いたんだけど」

キリトの話にサウスとリーファはくすりと笑い、リーファが口を開いた。

「枝までもうちょっと…ってとこまでは迫ったらしいけどね。GMも慌てたみたいで修正がはいちゃって今は雲の少し上に障壁が設定されてるんだって」

「なるほど……とりあえず、根元まで行ってみよう」

「それで途中の店で準備して……って感じでいいかな?」

「だな、まずはそこからだ」

「ん、りょーかい」

返事をし、俺たち4人はこの都市の大通りを歩き始めた。

―――――――――

行き交う混成パーティの間を縫うように抜けて進むと前方に大きな石段と、その上に口を開ける巨大なゲートが。あれをくぐればいよいよ世界の中心のさらに中心『アルン中央市街』だ…というときにキリトの胸ポケットが動いたかと思ったらユイが飛び出してきて食い入るように上空を見上げている。

「お、おい…どうしたんだ?」

周囲の目をはばかるようにキリトが声をかけるがそれすらも無視し、その瞳は上空に向き続けている。

「ママ……ママが…」

「っ!?」

「マジ……か…?」

ユイの呟きに俺とキリトは顔を強張らせる。

「間違いありません!!このプレイヤーIDは、ママのものです。座標は……真っ直ぐこの上、この上空です!!」

それをきいたキリトは燃えるような目をし、顔は逆に蒼白になりながら歯を食いしばる。そして次の瞬間にはクリアグレーの翅がズバンっと空気を切り裂く音がし、砂煙を残して姿を消していた。

「あいつ…!!」

今のキリトは何しでかすか判らない、早く行って止めないと…という俺の気持ちに答えてくれたのかヴォルトの紫の翅も激しい振動をして身体を浮かせ、それを爆発させる。今まで以上の速さで上昇してると思うがいつもは何にも感じない雲が今は壁のようにキリトにたどり着こうとするのを邪魔していた。どうにかして雲を抜けた先には何度も障壁に体を打ち付けている妖精の姿が。

「キリトぉぉ!!!」

ようやく同高度に追いつき再度体をぶつけようとするキリトの腕を掴む。力では俺が勝っているはずなのに今の状況では負けているのかもと錯覚すらさせられる。

「ハァ…ハァ……落ち着け、キリトっ!!!!」

「行かなきゃ……行かなきゃいけないんだ!!だから止めるな、リクヤ!!!」

「っ……うるさいんだよ、この馬鹿!!」

「……っ!?」

俺も絶叫とともにキリトのがら空きな腹を思い切り殴る。肉弾攻撃のエフェクトがキリトの腹の中で爆発して、キリトのHPが少しだが減った。

「ぐぅッ……お前ぇ!!」

「今ここで焦ったってあいつを…あいつ等を助けれるって思ってるのか!!?」

「……でも俺は…行かなきゃならない……!!」

「俺だって行かなきゃならないよ!!ユイのおかげでいるって可能性が増えたんだから!!でもお前のその焦りが助ける手立てを潰すかもしれないんだぞ!!」

もし、これのせいでアスナやユカを助けることが出来なかったら須郷たちだけではなくこの世界、そして目の前にいるキリトすらも恨むかもしれない…それだけは嫌だから今は止める。

「……っ………悪かった…」

「わかったならいいけど………俺も殴ったりして…ごめん」

「さて、仲直りは終わったの?」

声の方向を見ると紅い翅を広げているサウスと緑の翅をもったリーファが。リーファは本当に心配してたようで俺たちが仲直りしたことに安心の表情を浮かべていた。

「ユイちゃん、間違ってたらゴメンだけど……あなたシステム属性だよね」

「はい……あ…警告モードなら!!」

ユイは勢いよくキリトのポケットから飛び出して同じように障壁に向かうが、同じように阻まれる。だが、ここからユイは障壁に両手を着いて口を開く。

「ママ!!!わたしです!!ママーーーー!!!!」


――――――――――――――――――――


「…カード?」

ユイの叫び声から数分後、上空から帰ってきた返事は光を反射しながらゆっくりと風に乗って落ちてくるカードのようなオブジェクト一枚のものという形のみだった。キリトの手に吸い込まれるように入ったカードに俺、リーファ、サウスが覗き込む。カードの表面には文字や装飾のようなものはなんにもないこの世界に似合わないものだった。

「そんなアイテム、見たことないな…リーファちゃんは?」

「ううん、あたしも見たことない。…クリックしてみれば?」

リーファに促されてキリトがカードに触れてみるが必ず表示されるウィンドウが出ない。

「ユイ、これ何かわかる?」

俺の声にユイがカードの縁に触れて目を閉じる。と、すぐに正体がわかったのか声を出す。

「これ…これは、システム管理用のアクセスコードです!!」

「…なら、これを使えばGMの権限が?」

「いえ…ゲーム内からシステムにアクセスするには対応するコンソールが必要です。…私でもシステムメニューは呼び出せないんです…」

「そうか…でも、そんなものが理由もなく落ちてくるわけがないよな」

「当たり前だって。…多分……いや、絶対に向こうが落としてくれたんだ」

そういって再度カードを凝視する。そして落ちてきたであろう樹の上を見上げる。囚われているのなら普通こんなものを手に入れれるわけ無いが間違いなくこれはアスナが落としたもの…ってことはあそこで、アスナも戦ってる。そう思っていると突然ユイが樹の幹らへんを見て小さくだが呟いた。

「……にぃ……ユカ姉の反応もありました!!」

「…本当…か?」

「はい!間違いありません!!」

どうやら俺たちが向かってきた方向は間違ってなかったらしい。あとはこのでかい樹を攻略して助け出すだけ…。

「サウス、リーファ!世界樹に通じてるってゲートどこにあるの?」

「え…あれは樹の根元にあるドームの中だけど…」

「そのためにはガーディアンを突破しなきゃいけない……それでも?」

「あぁ、さっきキリトが言ったから…。行かなきゃならないってな」

男二人で顔を見合わせニヤリと笑う。すでにキリトも迷っていないらしい。ここで全てをぶつけるつもりだ。

「今までありがとう、サウス…そしてリーファ。ここからは俺とキリトだけで十分だよ」

「…リクヤ君……」

泣きそうな声で俯きながら名前を読んでくれるリーファの手を握って、離す。キリトが後退したのを見てから俺も後退し距離をとった。長いポニーテールを揺らして滞空する少女とその隣の巨大な盾を携え短い髪を風に靡かせるサウスに頭を下げて翅をたたんで一気に下降し、先を急いだ。


――――――

「キリト、ドームの場所わかってる?」

上空からものすごい勢いで走っているキリトを見つけ低空飛行で隣につきながら聞く。

「…ユイ、わかるか?」

「はい、前方の階段を上がれば……でも、いいんですか?今までの情報から類推すると…」

「確かにね。でも…それでもやらなくちゃいけないんだよ…な、キリト」

「あぁ…もうあと1秒でもぐずぐずしてたら発狂しちましそうだ。ユイだって早くママに会いたいだろ」

ユイは小さく頷き、その頬をキリトは軽くつつくと、目の前の階段を一気に登り始め、俺もそれに沿って上昇する。軽く減速させて足をつき、しばらく歩くとプレイヤーの10倍はあろうかという大きさの妖精型の石の彫像が2つ、目に入る。その間には華麗な装飾を施した石造りの扉が聳え立っている。

「……人いないな」

「多分、突破不可能っていうのが共通認識になってるんだろ」

「なら、ちょうどいいな」

「あぁ……待ってろよアスナ……」

キリトは自身に言い聞かせるかのように呟いていた。さらに歩くこと数十メートル、扉の前に立つと不意に石像が動いて扉の前で持っている剣を交差させる。そして右の石像から声が聞こえてくる。

『いまだ天の高みを知らぬものよ、王の城へ至らんと欲するか』

その声と同時に俺とキリトの前に最終クエストの挑戦意志を質問する選択肢が現れる。目をあわすことも、迷うことも無く同時にYesを示すボタンに触れる。

『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』

声が聞こえると同時に左右の剣が離れていき扉の姿をはっきりと認識させる。そしてその大扉は中央からぴしりと割れ、轟音とともにゆっくりと左右に開いていく。その音はやはりコピー世界だからか今まで75回行われたボス攻略戦と恐ろしいほど似ており背中を嫌な汗が流れる。

「……よし!!」

ここでは死なない、という甘い考えを頬を叩いて振り払う。

「行くぞ、リクヤ…。ユイ、しっかり頭引っ込めてろよ」

「パパ……にぃ、頑張って」

「当たり前!」

胸ポケットにいるユイにガッツポーズを見せて背中腰にある抜き放ち、扉が開ききると同時に中へと入る。内部は完全な暗闇で隣のキリトの姿が目を凝らしてやっと確認できるほどだった。だが、次の瞬間まばゆい光が頭上から降り注ぐ。そこは大きなドーム上になっていて天蓋部分には円形の扉が確認できた。樹の上に行くためにはあそこを通らなきゃいけないってとこか。

「さ……」

「行けっ!!!」「行くぞ!!!」

互いに自分、そして相手を叱咤するように声を出して地を蹴る。飛んですぐにドーム内に何十枚もある窓が白く光る泡のよう奈者へと変わり何かを生み出そうとする。そしてそれはすぐに人間の形を取っていくつか放出される。それは銀色の鎧をまとった巨躯の騎士だった。顔は鏡のようなマスクに覆われていて見えず、右手にはあの野太刀くらいはあったんじゃないかというほどの長剣を携えている。あれがここを守る守護者…リーファとサウスの言ってた最後の関門だろう。

「そこをどけぇぇぇぇッ!!!」

キリトの絶叫とともに騎士との距離がゼロになってゆく。そして剣がぶつかりあい、弾いた瞬間キリトは騎士の首根っこを掴み密着してそのまま剣を撃ち込む。

「断空剣ってね!!」

その間に飛翔しているスピードにあわせ1回転し周りに来た騎士妖精に一閃する。と…

「……はい?」

騎士は獣のような絶叫を上げ、硬直した後すぐにエンドフレイムに包まれ四散する。最後の壁としては弱すぎないかと疑問を抱かせるほどだった。近くでリーファの動きやサウスの実力、他にもさまざまなプレイヤーの動きを見たがこの騎士を倒すのは赤子の手をひねるよりも簡単なはず…。だが、突破できない理由はゲートを見上げた瞬間に見つかった。

「……多すぎだろ」

いつの間にか天を覆いつくすほどの騎士が出現しており、天蓋はもう騎士と騎士の間に出来た隙間からしか見ることが出来ない。ざっと見ただけでも三桁は軽く飛んでいるだろう。

「っ……うおおおお!!!」

「…だよな」

一瞬相当な数にひるんでしまった俺をキリトの声により鞭が打たれたように意識をその大軍に向かわせる。何匹かかってきてもその全部を斬って斬って飛べばいい、ただそれだけだ。すでにキリトは先に行っている。

「やるしか…ないんだ!!」

言葉と同時にこちらに向かってきた敵を斬り裂いて、再度飛ぶ。その途中に3体ほどまとめてやってくるがまず一体の剣を弾き、その隙にパンチでダウンさせ、首を掴んで残りの騎士にぶつけてまとめて斬る。これでもまだまだ指で数え切れる量しか倒していない。

「……っ!?」

虫のように寄って集ってくるのを斬り続けているとうしろから黄色い閃光のようなものが俺の腕をかする。続けてその光は昇っていく雨のように降り注ぎ、その少しが腕や足に突き刺さる。

「痛……キリト、矢が来るぞ!!!」

俺の警告がギリギリで間に合ったのかキリトはそれを避け、当たるはずだった矢は対峙していた騎士に命中する。矢が放たれた方向を見るといつの間にか遠距離で取り囲まれておりその全てが左手を向けて耳障りに詠唱している。

「第二波ってとこか……」

そう呟くと予想通りいっせいにスペルの詠唱が完成し、ものすごい量の黄色く光る矢が飛んできた。遠距離の相手にするのは今の状況では難しいのでとりあえずダメージを最小限にするために数回回転し打ち落とす。

「…キリトはっ!?」

なんとかHPバーを黄色に留め、思わず上を見上げるとそこには十数匹の守護騎士の長剣に貫かれた姿が目に入る。そして次の瞬間には青い光を纏った黒い炎に包まれあっけなく四散した。

「キリっ……がぁっ!?」

すぐさまリメインライトを回収しようと翅をさらに震わせようとするが上からか、剣が投げられたらしく腹から背中にかけて深々と突き刺さり貫通していた。剣の来た方を見ると、まるで槍投げのように自身の長剣を振りかぶる騎士たちが。そしてうしろからさっきと同じ声でスペルを詠唱する声も聞こえる。詠唱は完成し甲高い音とともに軽く俺を殺せるほどの矢と同時に剣も上から押し寄せてくる。

「リクヤ君っ!!」

終わりか…と思った瞬間突然の声とともに体が引っ張られて俺の体の横を剣が通り過ぎる。さらに下から来るはずだった矢も一向に来ようとはせず不思議な音ともに消えていた。

「リーファ!?…それにサウスも…!?」

「ふぅ…間一髪ってところかな」

「…たく、無茶しかしないんだから!……キリト君は?」

リーファの問いに俺は上にある炎を指すとリーファとサウスは驚きの表情を浮かべていた。俺もだがこの2人も少しだけだと思うがキリトならいけるかもしれないという若干の希望を抱いていたのだろう。

「っ……うしろは任せて!!」

そういうと親指を立てて呪文を詠唱しだす。

「わかった!!…リーファ、行くぞ!」

「うん!!」

頷いたのを見て、後ろをサウスに任せてキリトに向かって飛ぶ。その直後、うしろで炎の壁が出現し光の矢を妨害する。飛ぶときのスピードは種族と才能のせいかリーファのほうが断然速い。だったら俺はその道を作ればいいのかな。

「邪魔だぁっ!」

雷系呪文はそのほとんどが本物の落雷のように落ちるように効果が発揮する。なので横には強いが縦の行動となると範囲が絞られすぎて弱くなる。なので向かってきた騎士を斬ってもう1つの属性の術の詠唱に取り掛かる。

「黒曜の輝き、快速の槍となり、敵を討つ………!!」

これを使うためだけに取った闇属性スキル、まさか階廊でもここでも役に立つとは思わなかった。

「避けられないよ、デモンズランス!!」

俺の上に暗黒のヤリが一本出現し、そのままキリトを囲むように飛んでいる一匹に向かって突撃していく。

「リーファ!!…行っけぇ!!」

「任せてっ!!」

デモンズランスはそのまま飛んでいき、狙っていた一匹に当たると爆発、闇の爆発のようなものを生み出して周りにいた騎士の少しも巻き込み、はっきりとキリトのリメインライトが確認できた。その間をふさごうと妖精騎士も動くがその間にリーファが入り込んでキリトの救出に成功し、一気に下降してくる。

「しつこいんだよっ」

向こうはプレイヤーを殺すという命令しかないのか急降下したにもかかわらず数匹がリーファの後をおって降下している。俺はその間に入って剣を一振りし爆散させる。

「リクヤ君っ」

「はぁぁッ!!」

さらにリーファに近づく騎士を一気に屠り、ついでにライトニングを喰らわせる。

「リーファちゃん、こっち、リクヤ君も!!」

サウスが道を示してくれたおかげで最高速度で光の矢が2,3本刺さることや剣がかすることもあったが比較的安全なルートを通ることが出来た。だが、その先頭にいたサウスでさえもあの攻撃のせいでHPバーを大きく削られており、俺もリーファも同じくギリギリ…もうすぐでキリトと同じ姿になるところだった。

「……危な…かった…」

軽くパーティのHPを小回復させる術「ピクシーサークル」の詠唱をして皆を回復させてからもう一度樹の上を見上げる。一体一体の強さは確かにボスよりかは弱い…でも数が多すぎたのと「この世界は死なない」という気持ちから来たこの世界をなめていたというのが現したのがこの結果…。

「き、キリト君!?」

悔しがっていると突然リーファの叫び声とともに隣で地面を踏む小さな音が聞こえてきた。

「…ありがとうリーファ、サウス……。でも、もうあんな無茶はしないでくれ…。俺は大丈夫だから……これ以上迷惑はかけたくないんだ」

「だな…助けてくれたのは嬉しいけど……ここからは俺たちの問題だ」

グランドクエストを攻略する、という目標ならよろこんでリーファとサウスの力も借りれそうだが今からやろうとするのはそんな立派なものじゃない。

「待ってよ!!2人だけじゃ……」

「それでも…俺とキリトは進まなきゃいけないんだよ……あの先に…!」

「でも、わかってるんじゃないの?…2人だけじゃ無理だって」

確かにサウスの言うとおり絶対に2人じゃここを攻略するのは不可能だ。それでも何度でもここに挑戦して倒れてまた挑戦して…というサイクルを止められるわけもない。

「…けど!!」

「もう……もうやめて……いつものキリト君に戻ってよ……。あたし…あたし…」

キリトの否定しようとした声にリーファの声が重なる。

「…リーファ…ごめん、あそこに行かないと何も終わらないし始まりもしないんだ…。そして会わなきゃ、会わないといけないんだ…もう一度」

だがそれにかぶせるようにキリトは優しくリーファに呟く。俺たちはなんとしてでもあそこへ行って、一区切りつけてこなきゃいけない。その言葉を俺もキリトに続けて出す。



「もう一度……アスナに」

「ついでにユカもたたき起こさないといけないしね」




 
 

 
後書き
リ「……テスト週間じゃないのか?」

涙「正確には今日からね、これ公開日が今日なだけで実際に投稿したのは日曜日だから」

リ「いや勉強しろよ」

涙「……なんとかなるさ」

リ「その発言がお前の住んでる地域の特色だって言ってなかったか?」

涙「ぐっ……確かに言われたけど…」

リ「で、今回もユカのモデルの人と対決するのか?」

涙「いや……あの人想像以上に頭いいからさ、諦めようと思うんだ…」

リ「おいっ!!……たく、この作者は…」

涙「最近こういう雑談しかしてませんが…これからもよろしくお願いします!」

リ「…よし、作者。今週はどうする…?」

涙「さすがに勉強します…ではっ!!」 
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