DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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四章 モンバーバラの兄弟
4-16打ち拉がれて
獅子の魔物、キングレオは、無感動に続ける。
「まあ、良い。まだ、お前を死なせるわけにはゆかぬ。
エドガンの息子と申したな。さあ、来るがいい。私が相手だ。」
戦闘は、一方的だった。
巨大な火球に、一撃のもとにオーリンが倒され。
マーニャが、身をかわす間も無く、切り裂かれ。
一縷の望みを懸けてミネアが引いたタロットが、仲間を照らし回復するも、焼け石に水。
為す術も無く。
あと一歩のところまで追い詰めた仇を、討ち果たすことも無く。
三人の意識は、闇に飲まれた。
気付くと、暗く、湿っぽい場所で、硬いベッドに横たわっていた。
「気付かれたか?若者よ。随分、ひどく、やられたよう、じゃの。ゴホゴホ……。」
隣のベッドに横たわる、やせ細った老人が声をかけてくる。
「ここは……」
「キングレオ城の地下牢だよ」
「ミネア」
「ミネア様が先に気がつかれて。傷を癒してくださったのです」
「オーリン。……しくじっちまったんだ、な」
「あと、一歩だったのに……」
「命があっただけマシだが。時間の問題って奴か」
老人が咳きこむ。
「おじいさん。大丈夫ですか」
「ゴホゴホ……。わしは、もう駄目じゃ。この国から、逃げだそうと、したが。力、尽きたらしい。」
「そんな、おじいさん」
「しかし、お前さんたちは、まだ、若い!奥の箱に、乗船券が、ある、から。それを、あげよう。どうか、わしの、代わりに。逃げて、くれ。そして、生き延びるの、じゃ。」
「それなら、おじいさんも一緒に」
「ミネア。爺さんはもう、動けねえ。わかってるんだろ」
「……」
「動けねえ爺さんを、連れて逃げるのは、無理だ。それも、わかってるだろ」
「ゴホゴホ……。そっちの兄さんの、言う、通りじゃ。わしはもう、何もできん。しかし、若者を助けたと、思えば、救われる。どうか、行って、くれぬか。」
「……すみません、おじいさん」
「ゴホゴホ……。謝らんで、くれ。」
「……ありがとう、ございます……」
「爺さん。恩に、着る」
「ありがとう、ご老人。おふたりには、必ず逃げ延びて頂きます。」
牢屋の奥、老人が密かに掘り進めた抜け道を通り、乗船券を手に入れて、脱出する。
地上に出ようと様子を窺っているところで、衛兵に発見される。
衛兵が驚き、声を上げる。
「あっ、脱獄だー!」
「しまった!見つかったか!」
「走るぞ!」
「オーリンさんも、早く!」
「ここは私に任せてお逃げください!さあ、早く!」
オーリンは出口と逆方向、衛兵に向かい走って行く。
「オーリンさん!」
「ちっ!ミネア、行くぞ!」
「だけどオーリンさんが!」
「いいから行くんだ!」
マーニャに引きずられるようにミネアも走り出し、開けたところに出ると、マーニャの移動魔法でハバリアに飛んだ。
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