鬼の手をもつ男(GS美神の二次)
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5話 犯罪者に襲い掛かる謎の呪!?上
5話 犯罪者に襲い掛かる謎の呪い 上
さて、修行場での修行が終了してから数ヶ月がたった現在。
俺は神父と呼ばれるおじさんの下でこの人を先生と呼び、
研修をさせてもらっているのだが……。
「いや~、すまないね京介君。お陰で助かったよ」
「先生。お願いですからお金がありそうな人にはお金を貰いましょうよ。
俺がいなかったら先生は空腹で死んでますよ?」
先生が空腹で倒れる度に何度したか分からない、会話をする俺と先生
この人は、今のすさんだ世の中では珍しいくらいの善人で近所では有名だ。
しかし、その善人さゆえに依頼者から報酬のお金を受け取らないのだ。
別に報酬を受け取らない相手が貧乏の人だけだったのなら俺も文句を言うつもりは無い。
だけどこの人は、かなりのお金持ちでも貧乏な人と同じように報酬を貰わないのだ。
つまり先生はGSでありながら無職のマダオと変わらない生活を送っているのだ。
もちろん、そんな生活をしている先生がちゃんとしたものを食べるはずもなく、今回のように
倒れては俺が食べ物を送ったり、少ないがお金を貸したりなんかしているわけで…。
正直研修に来ていると言うより、先生が死なないように世話をしに来ている気分だ。
「さて、今日の依頼なんだが……」
「先生。話題をそらすなら、もう少しうまくそらしてください」
このあきらかな話題そらしも何度目だろうか?
「……実はだね、一ヶ月前に捕まった五人で構成された犯罪グループの
メンバー二人が三日前に刑務所の檻の中で
死んでいるのを発見されてね、霊の仕業かもしれないので調べて退治してほしい
らしいんだ」
「わかりました。じゃあ、ささっと終わらせて報酬をもらいましょう」
「いやいやいや、京介君。報酬は受けとらな……」
「先生。先生は俺に借金していますよね?
いい大人が中学生に借金をして、恥ずかしくないんですか?」
「……わかりました」
ミッションコンプリート。
今回はさすがに報酬を貰わないとまずいと思った俺は先生の弱味につけこむ事で
報酬を依頼者からもらう事が決定した。
先生は精神的ダメージをおったが、自業自得なので気にしない。
☆☆
先生の精神がある程度回復した頃、俺達は依頼者である警察署の署長に
現場を見せてもらいながら、当時の状況を説明してもらっていた。
「発見された時刻は深夜0時。
見回りをしていた二人の職員が別々の檻の中で遺体を発見。
医師の診断によると、二人は同時刻に死亡。
死因は二人とも心臓発作と判明しました。」
「なるほど、同じ時刻に同じ死因ですか……確かに奇妙ですが
現場からは霊的な力は感じられません。
もしかしたら呪いの可能性がありますね」
そう、先生の言う通り現場の檻からはこれっぽちも霊的な力は感じないし
手持ちの霊水晶を通して見ても何も映らない。
そうなってくるとこの奇妙な現象の原因は二つ。
一つ目はかなり可能性が低いが、たんなる偶然。二つ目、先生が言った呪いである。
でも何故、グループ全員ではなく二人だけなのだろうか?
正直今は情報が少なすぎて、分からない。
「署長さん。死んだ二人以外の三人は何所にいますか?」
「え?残りの三人ですか?彼等は未成年だったので少年院に入っていますが…
それが何か?」
俺は他のメンバー三人の情報を得るために署長に聞いた。
すると残り三人は未成年でこの刑務所にはいないという事が分かった。
つまりこれは場所的な問題か、未成年の三人には手を出さないのか?
それとも手を出せない理由があるのか?
とりあえず、再犯の防止の為に何か対策を考えた方がいいだろう。
「先生。とりあえず残った三人を一つの部屋に入れた後、結界を張って
様子を見ましょう。」
「そうだね。もし呪いが三人を襲っても結界で犯人を捜す時間を稼げるだろうし、
それがベストだと思うよ。」
作戦が決まった俺と先生は署長さんに捕まった少年三人の個人情報は漏らさない事を
契約した後、残りの三人が居る少年院に向かった。
とりあえず敵の正体がなんであれ、やばそうになったら逃げよう。
命は大事に!が基本です。
☆
活動方針を決めて、結界を張った後、情報を出来る限り集めた俺と先生は、
教会帰り、男二人で三人の少年の身代わりになる藁人形『形代』
を製作していた。
「先生。形代が出来ました」
「こっちも丁度、出来た所だ。
これで呪が来ても形代が呪を受け止めてくれるから大丈夫だろう」
完成したばかりの藁人形を床に寝かせ、深夜0時を待つだけだ。
チラリと教会の壁に掛けてある、時計を確認する。
0時までには、まだ時間がある。
「先生。ちょっとコンビニに行ってカップラーメンでも買ってきます。」
「……京介君」
コンビ二に出かけようとする俺を見る先生。
物欲しそうなその表情を見ると、恐らく自分の分も買って来て欲しいのだろう。
「分かりました。借金追加で先生の分も買ってきます」
「……すまない…」
謝るくらいなら金を少しでも返して欲しいと言いたいが、言ってもこの人は
変わらないだろうと思い、諦める事にした。
☆☆☆
教会を出てコンビニに来た俺は、カップラーメンの商品棚へ行き、
美味そうな物を籠にいくつか放り込む。
後は、お茶を買って教会に帰るか……。
カップラーメンの商品棚から離れ、ペットボトルのお茶が販売しているであろう
ガラス張りの冷蔵庫の前に立ち、扉を開けてお茶を二つ取り出し、カップラーメン
と同様に籠の中に入れる。
これ以上買うものは無いな……。
籠の中身を確認してレジに並ぶが……。
「いらっしゃいませー!」
コンビ二の自動ドア開き、店員の声が聞こえた瞬間、小さいが邪悪な霊気がコンビニの
中に入って来るのを感じた。
波長からして下級悪魔かそれとも力を意図的に抑えている魔族か……。
どちらか分からないが、ゆっくりと顔を動かし、霊力の感じる方向を見る。
「ったく!なんで私が師匠の契約悪魔であるお前の世話をしないといけないワケ!?」
『キキッ、それはお前が弟子だからしょうがないキィ』
視線の先には小さな黒い下級悪魔と小学生くらいの少女だった。
会話を聞く限り、あの少女はGSの弟子らしい。
俺といいあの子といい、師匠には苦労しているようだ。
ほほえましい(?)少女と悪魔の掛け合いを見た後、レジでお金を払い、教会に
帰る俺。
「おお!食りょ……じゃなくて、京介君!!待っていたよ!!」
教会に帰ると、先生が割り箸を片手に笑顔で俺を出迎える。
最近この笑顔を見ると思わず、殴ってしまいたくなる俺はかなりのストレスを
抱えているのではないだろうか?
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