DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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三章 トルネコおばさん
3-12洞窟の防具でふた稼ぎ
再び宝のにおいに釣られて歩き回っていると、背後から何か音がする。
見ると、通路を塞ぐほどの大岩が、ゆっくりと転がってくるところだった。
「あらまあ、大変。潰されちゃうかしら。」
でもずいぶんゆっくりねえ、少し近付くくらいなら大丈夫でしょ、あたしも力はあるほうだし、意外と止められるんじゃないかしら。
などと思い、試しに両足を踏ん張って押さえてみると、果たして岩は止まった。
あら、本当に止まったわ、かといって押し返せるでもないし、身動きが取れないわね。
やっぱり逃げてみましょうか。
と思い直し、大岩を背に歩き回る。すると、分かれ道を曲がっても、大岩がついてくる。
あらやだ、ちょっと面白いわ、どうなってるのかしら、不思議ねえ。
面白がってぐるぐる歩き回るが、さすがに上り坂を転がり上がるようなことはなく、通路の穴を塞ぐように、大岩は落ちた。
「あら。またあんなところに階段が。よいしょっと」
大岩を足場にして渡った先に階段を発見し、さっさと下りる。
階段の先には、転がせるほどの岩が転がっている。
「またいかにもなにかありそうねえ。一応、持っていきましょ。」
岩を転がしながら、奥へと進む。
奥の部屋には、目当ての鉄の金庫があった。
「あったわ。これはもう、いらないわね。なんの代わりにもならないけれど、置いていきましょう。」
鉄の金庫を取り、金庫のあった場所に、岩を放置して部屋を出る。
「仕掛けはもうおしまいなのかしら。最後は嫌に、あっさりしてたわねえ。」
首を傾げるが、簡単であるに越したことはないので、またなにかある前にとさっさと洞窟を後にする。
「ずいぶん荷物が増えたわね。防具もあるし、ちょっとまたボンモールに行ってみましょうか。」
防具の買い取りが終わっていたら、買い集めて売るのは無駄になるが、拾ったものなら損は出ない。
無駄足になっても、王子様にご挨拶に行くと思えばいいわね、また追い出されちゃうかしら。
などと思いつつ、ボンモールに向かう。
ボンモールでは防具の買い取りが続けられており、また担当の老人と世間話などしつつ、防具を売り切る。
王子様にご挨拶に、行こうかしらどうしようかしら、とうろうろしていると、王子様がやってきた。
「あら、王子様。ご挨拶に伺おうかと思ってましたのよ。お会いできてよかったわ。この度は、おめでとうございます。」
「ありがとう。全て、あなたのおかげです。」
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