DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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三章 トルネコおばさん
3-11洞窟でひと山当てる
「君の命に比べれば、何も高いなんてことはないよ。」
「でも、だからって」
「また、何か無茶をしようとしてるだろう。僕たちのためにやってくれてることはわかってる。止めても無駄だろうけれど、せめてこれで、身を守ってくれないか。」
「……あなた。わかったわ。心配ばかりかけてごめんね、ありがとう。」
「いいんだ。そんな君だから、僕は好きになったんだから。」
夫を見送ったトルネコは、今日の予定を考える。
戦争は無くなったが、橋が直って間もないし、急に物が増えるわけではない、防具はまだ買ってもらえるかもしれない。
地道に稼ぐのも良いが、急がなければ店が売れてしまうかもしれない。
洞窟には宝があるらしいし、これから大金を稼ごうというのに、剥き出しの現金を持って歩くのは不安がある。
北の洞窟には、魔法の力で入れた本人にしか開けられず、お金の盗難を防ぐ、鉄の金庫があるという。
場合によっては使い勝手の悪い代物であるが、今のトルネコには丁度良い。
夫にもらった破邪の剣を引っ提げ、今日は北の洞窟を探検に向かうことにした。
「暗いし、なんだかじめじめして。洞窟って、気味が悪いわねえ。」
洞窟に着いたトルネコは、辺りを警戒しながら奥へと進む。
「あら。なんだか、あっちのほうに。宝でもありそうな気がするわ。」
においとでもいうのかしら、なんだか盗賊みたいね、いやあねえ。
と思いつつ、においを頼りに進み、宝箱を発見する。
「本当にあったわ。洞窟ってすごいのね、儲かるのねえ。」
ほくほくしながら歩き回り、次々と宝箱を見つけ、中身を回収する。
「本当に、洞窟って儲かるのねえ。金庫はまだ無いけれど。この後、どっちに行ったらいいのかしら。」
荷物をまとめ直しながら、辺りを見回す。
「このスイッチが怪しいけれど。なんだか、嫌な予感がするのよねえ。この辺に岩でも置いとこうかしら。」
近くに手頃な岩があったので、いざという時につかまったり隠れたりできるよう、背後に岩を設置して、壁のスイッチを押す。
すると壁が開き、勢いよく水が噴き出す。
「あら!あらあら、まあ!まあまあ!」
流されそうになり、必死に岩にしがみつく。
しばらく耐えていると、水の勢いは徐々に弱くなり、やがて止まった。
「いやあねえ、びしょぬれだわ。あら。あんなところに階段が。」
開いた壁の中、水のあった空間に、階段がある。
濡れ鼠になったのが無駄になってはと、急いで階段を下りる。
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