DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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二章 やんちゃ王子の観光
2-24選りすぐり贅を尽くした晩餐
王宮の晩餐に招待され、身形を整え直して向かう。
王族に饗される中でもさらに選りすぐり、まさに贅を尽くしたエンドール宮廷料理が、目の前に並ぶ。
ブライはすまし返りながらも、折を見て給仕に話しかけては、どこのどんな素材を使ったものか、巧みに聞き出している。
クリフトはやや緊張した様子で、ブライに相槌を打ち、料理を味わっている。
姫が話しかけてくる。
「アリーナ様。本当に、ありがとうございました。これで、嫌な結婚をしなくても済みますわ。」
結局のところ、必要無かったようなものだが。
優勝者に逃げられたのでは姫の恥になるし、後になって戻ってこられても困るだろう。
一応は、役に立ったか。
「お力になれて幸いです」
国王が話に入ってくる。
「全く、アリーナ王子はたいしたものじゃ!これで一介の若武者であれば、姫を娶らせてでも、我が国に留めるところじゃな!」
「恐縮です」
王子でなければ、旅が終わるところだ。
危ないところだった。
「まあ、お父様ったら。でも、私も、その。アリーナ様さえ、お嫌でなかったら。」
「わはは、そうじゃな!どうじゃ。いっそ、本当に娶らぬか?ん?」
「ははは、またまた。まだまだ、若輩の身ですから。旅も始めたばかりですし、結婚など、まだ。とても。」
「わはは!もちろん冗談じゃよ!」
「ははは」
「旅を続けるとしても、こたびのことを聞けば、父上のサントハイム王も、さぞかし喜ぶはず。ひとまずは国に帰り、元気な姿を見せてあげることじゃ。」
「そうします」
晩餐を終え、王宮を辞す。
「さすがに王宮の料理は、ひと味もふた味も違いましたな!」
「良かったな。俺は疲れた」
武術大会より、よほど疲れた。
「よろしかったのですかな?モニカ姫といえば、エンドールの至宝、白薔薇のモニカと讃えられる美姫。気立ても良く、才気に溢れ、若い男で憧れぬ者はおらぬといいます。その美姫を、袖にするとは。」
「確かに、美人ではあったな。人気もあるようだったし」
「国同士のことなど、どうにでもなりますぞ。あちらは、乗り気でしたしな」
「嫌に勧めるな。好き合ってもないのに、わざわざ問題の多い相手を選ぶことはない。政略なら、もっと適当な者がいるだろう」
「枯れたようなことを申しますな。ご両親は、恋愛結婚ですぞ」
「見て育ったわけではないし、相手のいることだからな。そう急かさなくても、結婚はするよ、そのうちに。」
クリフトは、黙ってついてくる。
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